【南アランド円、今週の予想(12月28日)】
*予想レンジ:6.80円~7.20円
*南アランド円は、新型コロナの変異種への警戒から上値が重くなりそうだ。南アフリカは、今春以降、主要格付機関3社が新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う財政状況の急速な悪化を理由に相次いで格付けを引き下げられた。11月にも2社が追加の格下げを実施するなど海外投資家が敬遠する状況になっている。しかし、南アランドは新型コロナ対策への楽観的な姿勢を反映して堅調に推移してきた。

南アでは春先以降の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて都市封鎖(ロックダウン)による感染封じ込め策が採られ、秋頃には新規感染者数が頭打ちしたことで、政府は9月以降に都市封鎖を解除するなど経済活動の正常化が図られた。さらに、政府は総額 5000 億ランド規模の景気刺激策の実施を決定したほか、その一部をIMF(国際通貨基金)による緊急収支で賄うとともに、南アフリカ中銀も金融緩和を実施するなどして景気を下支えした。世界経済の回復期待も追い風に南アにおいても製造業が回復を見せ景気の底入れが示されたことで南アランドを押し上げてきた。

しかし、先月末以降に新型コロナウイルスの新規感染者数が再び拡大傾向を強めており、今月に入って以降は感染力の強い「変異種」が発見されるなど、感染が再拡大する可能性が高まっている。南アにおける累計の感染者数は95 万人を上回り、死亡者数も累計で 2.5 万人を上回るなど事態は急速に悪化している。

南ア政府は先月、低迷が続く観光関連産業や外食関連産業を後押しするため、すべての国を対象に往来を解禁する方針を明らかにし、海外からの来訪者の受け入れに向けて幅広い経済活動を戻そうとしていた。しかし、南ア由来とされる変異種の発見を受けて、多くの国が南アからの渡航受け入れを一時停止する動きが広がっている。足下では感染再拡大によって景気の底入れの動きが頓挫する懸念も高まっており、南アランドの上値は重くなりそうだ。さらに、南アフリカで電力供給を独占する国営電力会社エスコムが、巨額の負債により破綻の危機に陥り、電力料金引き上げの必要性を強調していることも足かせになろう。同社の機能不全により、アフリカで最も工業化の進んだ南アでは計画停電が日常化しているはが、景気が冷え込んでいる中、値上げはすんなりと受け入れなれないだろう。


【南アフリカ経済指標】
12月28日月曜日
21:00南ア11月貿易収支前回+361億ZAR

12月30日水曜日
21:00南ア11月財政収支前回-497億ZAR

12月31日木曜日
15:00南ア11月マネーサプライM3前年比前回+9.83%

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