【トルコリラ円今週の予想(12月28日)】
*予想レンジ:12.80円~14.50円。
*トルコリラ円は、通貨安を阻止するべくトルコ中銀が2会合連続で利上げを決定したことで、下値は支えられよう。一方、欧米との関係悪化は今後も重石になりそうだ。

トルコ中央銀行は24日、金融政策決定会合を開き、主要な政策金利の1週間物レポ金利を15.0%から2.0%引き上げ、年17.0%とした。利上げは2会合連続。11月に就任したアーバル総裁の下、引き締め策でインフレに対応し、市場重視の姿勢を継続して示した。トルコ中銀は声明で「引き締め策は長期的なインフレ率の低下が見られるまで断固として維持する」と述べた。トルコ中銀は11月の決定会合で4.75%の大幅な利上げに踏み切った。

その後、消費者物価指数(CPI)が14%と前月から2ポイント超上昇し、実質金利(名目金利から物価上昇率をマイナスしたもの)が下がったため、市場では追加利上げへの期待が高まっていた。アーバル氏は就任後初の記者会見で「物価の安定を最重視する」などとして、引き締めを示唆していた。トルコではエルドアン大統領の娘婿のアルバイラク前財務相の下、景気刺激を優先して金利を低く抑えてきた。実質的にマイナス金利状態にあるため、通貨リラは売られ、アルバイラク氏が辞任した時点で年初から対ドルで3割も値下がりしていた。

政権の意向に従ってきた中銀は利上げのかわりに国営銀行を介してリラを買い支え、過去2年で投じた外貨準備は1000億ドル(約10兆円)を超えるとみられる。外貨準備の減少への不安もさらなるリラ売りを招いた。アーバル氏は市場の信頼や外貨準備を回復させる考えを強調し、リラ相場は下げ止まった。エルドアン大統領は「金利は諸悪の根源」と主張するが、アーバル氏は当面、市場の原理を重視した金融政策を実行する了解を取り付けたようだ。

トルコ国営アナドル通信社が報じたところによると、アーバル中銀総裁は25日までに同国議会の委員会で、2021年に主要な政策手段の代わりとして後期流動性窓口貸出金利ないし金利コリドー(上下幅)を利用しない方針を明らかにした。また、アーバル総裁は、為替レートを決定するために外国為替の売買はしないと述べた。さらに総裁は、透明性のある方法で外貨準備の増加を目指すと付け加えた。

トルコは2019年7月、ロシアから地対空ミサイル「S400」の搬入を開始した。米国はNATOの防衛機密が流出する恐れがあるなどとして反発していた。この件に関してポンペオ米国務長官は14日、ロシア製ミサイルの導入を巡り、対ロシア制裁法に基づく対トルコ制裁の発動を発表した。米国や第三国の企業と金融機関がトルコ大統領府傘下の国防産業庁と取引するのを制限する。北大西洋条約機構(NATO)同盟国に対しては異例の厳しい対応で、両国関係に緊張をもたらす可能性がある。

欧州連合(EU)は11日、ブリュッセルで開いた首脳会議で、東地中海の資源開発をめぐり、加盟国のギリシャやキプロスとの対立が続くトルコに、追加制裁を科すことで合意した。現在、トルコの国営石油会社幹部らに科しているEUへの渡航禁止や資産凍結の制裁措置に新たな対象者を加える。


【トルコ経済指標】
12月29日火曜日
16:00トルコ経済信頼感指数 (12月)前回89.50

12月31日木曜日
16:00トルコ11月貿易収支前回-23.7億USD、予想-51.0億USD
20:00トルコ中央銀行金融政策決定会合議事録  

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