【ドル円今週の予想(1月12日)】
*予想レンジ:103.00~106.00円。
*今週のドル円は堅調に推移しそうだ。
米長期金利の上昇がドルを押し上げていくだろう。昨年12月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が前月比14万人減と、8カ月ぶりにマイナスを記録。市場予想は7万1000人増加だった。秋以降の新型コロナウイルス感染再拡大が響いたが、バイデン次期米大統領は「米雇用統計で一段の新型コロナウイルス対策が必要なことが示された。財政赤字が膨らんだとしても、現時点で行動を起こすことが経済に対する支援になる。支援策は高額ものになるだろう。」と14日木曜日に支援策について表明すると述べた。景気刺激策への期待感が高まっている上に、この日は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が講演を行うが、増発が予想されている米国債の購入増額などの景気刺激策への期待感も高まる可能性がる。長期金利の指標となる米10年債利回りは、バイデン次期政権の財政出動への期待感から、1.1%台に上昇している。金利高にもかかわらずNYダウは3万ドル台で堅調に推移しており、リスクオンモードからもドル買いが入りそうだ。

一方、日本を見れば菅政権が一都三県に緊急事態宣言を発令し、13日には関西(大阪、京都、兵庫)でも緊急事態宣言を発令することが決定された。このため、今年1-3月期実質国内総生産(GDP)がマイナス圏に落ち込むとの見方が強まっている。米民主党が10年ぶりにホワイトハウスと上下両院を支配して「トリプル・ブルー」が実現したことで、財政出動への期待感が高まっていることから、米10年債利回りが1.5~2.0%程度まで上昇する可能性もありそうで、日米の金利差の面からもドル買い優勢の地合いが続きそうだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は6日、昨年12月15、16両日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。新型コロナウイルス感染再拡大により、「今後数カ月の景気回復は一段と減速するとみられる」と警戒。量的緩和策の長期化を約束し、景気を支える新方針を全員が支持したことが分かった。参加者は、ワクチンの実用化は「ポジティブ」と期待しつつ、感染再拡大は「短期的に経済活動や雇用、物価(の改善)を抑え続け、中期的に深刻なリスクをもたらしている」と判断。金融緩和による景気下支えが必要との見解で一致した。

会合では、事実上のゼロ金利政策と米国債などを買い入れて資金を大量供給する量的緩和策の維持を決定。量的緩和については「雇用最大化と物価目標の達成へ一段と大きく前進するまで維持する」との新指針を示し、長期緩和を保ち景気回復を後押しする姿勢を明確に打ち出した。米国債などを月額1200億ドル(約12兆3000億円)購入するペースも全員が支持。市場では追加緩和の観測もあったが、追加緩和の必要性が切迫しているとの意見はなかった。参加者2人は対象資産を長期債にシフトし、緩和効果を高めることに前向きな考えを示した。

シカゴ連邦準備銀行のエバンズ総裁は4日の講演で、連邦準備制度理事会(FRB)が目指す「一定期間で平均インフレ率2%」の達成へ、「金融緩和策がかなりの期間継続される」との認識を示した。エバンズ総裁は、景気悪化に対応するために政策金利を事実上のゼロ金利となる「実効下限(ELB)」まで引き下げることは、「期待インフレ率と実際のインフレ率に下向きのバイアスをもたらす」と説明。現在のゼロ金利政策を継続すれば物価に下振れリスクが大きくなると懸念した。FRBは昨年8月、インフレ率を当面、「2%超」で推移させることで、一定期間の平均インフレ率が2%になることを容認する新たな政策枠組みを導入した。失業率が歴史的な低水準となる一方、景気過熱によるインフレ加速が起きなかったことで、「幅広い雇用の改善」が進むまで金融引き締めを控える姿勢を明確に打ち出した。

FRBはゼロ金利政策とともに、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を市場から買い入れて資金を大量供給する量的緩和策を続けている。エバンズ総裁は、量的緩和も当面は維持されるため、FRBのバランスシートが膨張する見通しだと明言した。エバンズ総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策決定の投票権を持つ。

クリーブランド連邦準備銀行のメスター総裁は4日、新型コロナウイルスの感染再拡大で景気回復が鈍化しているものの、「中期的な見通しが損なわれない限り、金融政策の変更を必要としないだろう」と語った。事実上のゼロ金利政策、量的金融緩和策が「かなりの間」維持される必要があるとの認識を示した。アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁は、FRBの量的緩和策に関し、「かなり迅速に資産買い入れペースの調整を始められることを期待している」と語った。新型コロナウイルスのワクチン普及に伴う景気回復に強気の見方を示し、購入ペース減速に向けた議論が始まると予想した。米フィラデルフィア連邦準備銀行のハーカー総裁は7日、FRBの量的緩和策に関し、米国債などの資産買い入れペースの減速は早くても「2021年のかなり末か22年初め」との見方を示した。購入額の変更は景気と新型コロナウイルス感染動向次第だと説明した。

FRBは現在、米国債を月額800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を同400億ドルを市場から買い入れ、巨額の資金を供給することで景気回復を後押しする金融緩和策を講じている。セントルイス連邦準備銀行のブラード総裁は7日、景気は2021年前半も回復が継続し、失業率も低下余地があるとの見方を示した。ブラード総裁は、新型コロナウイルス流行を受け、20年の実質国内総生産(GDP)は前年を2~2.5%(4000億ドル~5000億ドル程度)下回るとの見通しを示した。ただ、経済対策や連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和策が景気を下支えたと分析した。


*CFTC建玉:1月5日時点のファンドのドル売り・円買いポジションは、5万0190枚(前週比+2840枚)。
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