【原油相場はバイデン政権の景気対策を好感】
NY原油相場は、バイデン新政権が、新型コロナウイルスに関連して打ち出す大型景気対策によって、燃料需要が押し上げられるとの期待から堅調に推移しそうだ。

バイデン大統領が就任前に打ち出した総額1兆9000億ドル規模の追加経済対策案の早急な成立への期待が広がっている。

イエレン次期財務長官が19日に行われた上院財政委員会の承認公聴会で、新型コロナウイルス危機の克服を最優先し、積極的に取り組む決意を表明したことも新たな財政支援につながるとして支援要因となった。


また、バイデン政権は、カナダ・アルバータ州から米中西部に原油を輸送する「キーストンXLパイプライン」建設計画の許可を撤回する方針だが、原油の供給を抑制するとして強材料視されている。

トランプ前大統領は2017年3月29日、カナダのアルバータ州と米国のネブラスカ州を結ぶ「キーストンXLパイプライン」の建設計画を承認する大統領令に署名していた。

「キーストンXLパイプライン」建設は、アルバータ州南部から直径約90センチ、総延長約1900キロのパイプラインを敷設し、ネブラスカ州で既存のキーストーン・パイプラインにつなぐ大規模プロジェクト。

完成すれば、アルバータ州でオイルサンドなどから生産される重質原油を、米国の石油精製能力の5割以上が集中するメキシコ湾岸地域の製油所群まで輸送する能力が大幅に増強されるとして期待されていた。

バイデン新米大統領は、就任初日の20日に、温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」への復帰など7分野で20項目近くの大統領令に署名した。

さらに政権発足100日以内に気候変動サミットを主催し、各国に国別排出目標の引き上げを働きかけ、緑の気候基金への出資、海外における石炭関連融資の停止等を提言するとしている。


炭素排出削減の動きも、原油の供給抑制につながる可能性から、原油相場の支援要因になるとみられている。

世界最大の原油輸入国である中国の需要もサポート要因だろう。昨年の中国の製油所の生産量は3%増加し、過去最高となったが、新型コロナウィルスの感染拡大を抑え込み、景気回復を図っている中国の需要は今後も増加する見込み。

こうした背景から、NY原油は55ドルの節目を突破する動きになると予想する。

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