【NY原油は60ドルにトライへ】
10日のNY原油は、需給引き締まり観測などを背景に上昇し、58.68ドルで終えた。

米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計では、原油在庫が前週比660万バレル減と、市場予想の100万バレル増に反して取り崩しとなった。

ガソリン在庫は430万バレル増(市場予想180万バレル増)と大幅な積み増しとなった一方、ディスティレート(留出油)は170万バレル減(同80万バレル減)となった。

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EIAは前日に、2021年の原油生産量見通しを下方修正していたこともあり、需給不均衡に対する警戒感が後退した。

ただ、1年ぶりの高値圏に上昇してきており、60ドルの心理的な節目を目前に高値警戒感も出て上値は重かった。

11日は、利益確定売りが出て反落。58.24ドル(-0.44)。

石油輸出国機構(OPEC)は月報で、変異した新型コロナウイルスの感染拡大や各地でのロックダウン(都市封鎖)延長を理由に今年の世界石油需要見通しを日量10万バレル程度下方修正した。

国際エネルギー機関(IEA)も世界の石油供給量は依然として需要を上回っていると指摘した。

ただ、OPECとIEAはともに今年下半期の需要増大を見込んでいることはサポート要因となった。

OPECは11日付の月報で、2021年の世界石油需要見通しを日量579万バレル増の9605万バレルとした。1カ月前の予想からは11万バレルの下方修正で、回復ペースは従来の想定より鈍化するとみている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の影響が長引いていることが背景。

OPECは「21年の世界経済は健全に回復する兆しがみられている。一方、石油需要は現時点で回復が遅れているが、21年下半期には回復すると予想している」と説明した。

また、新型コロナの変異ウイルス発生やワクチン接種の有効性などの「課題」は残るとしながらも、21年の世界経済成長率を前回予想の4.4%から4.8%に引き上げた。

OPECは「世界各国でワクチン接種のペースが加速し、一部地域では感染率が減少しているほか、治療が改善し、検査施設の利用も急増しているため、第1四半期(1~3月)以降は経済活動が活発化する」との見方を示した。


ただ、ワクチンの普及に伴う世界経済の回復を背景に原油相場は上昇基調を維持する可能性は高く、節目の60ドルをトライする展開が続くだろう。

イラクは10日、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国で構成する「OPECプラス」が3月の会合で、現行の協調減産を維持する見通しを明らかにした。ただ、その後、原油価格が上昇すれば、サウジアラビアが、日量100万バレルの自主減産を停止する可能性があると述べた。

イラクのアブドルジャバル石油相は、2021年の原油価格は58~63ドルで推移すると予想。イラクの輸出量は、平均で日量290万バレルになるとしたほか、クルド自治区がOPECプラスの協調減産を順守すれば、2月の平均産油量は日量360万バレルになるとの見方を示した。

60ドルの水準では産油国の増産も強まる可能性が高く、60ドルからの上値に関してはせいぜい65ドルではないか。

もっともワクチン普及により新型コロナの抑え込みが成功となり、世界経済の回復が目覚ましいものになれば70ドルを目指す可能性も出てくるだろう。


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