【NY金、想定レンジは1600~1700ドルに切り下がるか】
NY金が節目の1700ドルを下回った。

これはドル高が進み、ドル建て金の割高感が強まって売りが続いたことが要因。

欧州各国で新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念される中、外国為替市場では対ユーロでドルが上昇している。ドルは対円でも買いが強まり、1ドル=110円80銭台まで円安が進んでいる。

この結果、ドル指数も4カ月超ぶりの高水準に上昇した。

また、バイデン政権が成長戦略として打ち出すインフラ投資計画が注目されている。インフラ投資に向ける財政支出が4兆ドル規模になるとの観測があり、経済回復が加速するとの期待が高まっている。

バイデン大統領は東部ペンシルベニア州ピッツバーグで31日に行う演説でインフラ投資について発表する予定。

こうした背景からNYダウは上昇基調を強め、安全資産の米国債は売られ、10年物米国債利回りは一時1.76%を超えて1年2カ月ぶりの高水準に上昇した。

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一方、安全資産である金市場からは資金流出が続いている。30日時点の金ETFは、1037.50トンと年初から12.7%も減少している。

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米国の経済指標も好調。30日に発表された3月米消費者景気信頼感指数は109.7と、1年ぶりの高水準となった。1月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前年比11.1%上昇し、2006年以来の大幅な伸びとなった。

31日には3月全米ADP雇用統計が発表される。前月比で+48.5万人が予想されており、前月の+11.7万人より大幅に改善する見込み。 

1日には3月米ISM製造業景況指数が発表される予定。予想は60.5で、前月の60.8とほぼ変わらずの見込み。

そして4月1日には、3月米雇用統計が発表される。
予想は非農業部門就業者数が前月比+58.0万人、前回+37.9万人 。失業率は6.0%、前回は6.2%。平均時給は前年同月比+4.5%、前回は5.3%。

明日以降の経済指標も改善が予想されており、特に雇用統計では大幅な改善が見込まれている。

予想に沿った結果となれば米景気回復への期待は一段と強まり、株高、ドル高が続きそうだ。逆に、NY金相場は一段と売り圧力をうけよう。

ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は、金融緩和を2023年末まで継続しているとしており、低金利がサポート要因になろう。

CFTC建玉を見ると、ファンドの買い越しは減少しており、金の強気見通しは後退している。NY金は下値の目安を探る展開になりそうだ。

テクニカル的には、昨年の高値2112.70ドル(8月7日)と安値1464.20ドル(3月16日)にフィボナッチ比率を当てはめると、高値からの0.38倍=1866ドル、0.5倍=1789ドル、0.62倍=1711ドルが算定される。

0.62倍を下回ったことで、一段安も想定される。

NY金の予想レンジは1600~1700ドルに切り下がると予想する。

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