【ドル円今週の予想(4月19日)】
【今週の予想】
*予想レンジ:107.00~110.00円。
*今週のドル円は、上値の重い展開が続きそうだ。

先週のドル円は、米長期金利の低下を背景に下落した。先週は、米国債(3年債、10年債、30年債)の入札が行われ、順調に消化された。本邦機関投資家の年度末における持ち高調整の買い戻しも入り、15日の米長期金利は1.58%に低下した。国債が買われ利回りは低下し、金利低下を受けてドル円は下落した。今週は20年債の入札を控えているため、ドル円は上値の重い展開が続きそうだ。

ドルが売られる中で、市場ではドルの弱材料も意識された。米国の2021会計年度上半期(20年10月~21年3月)財政赤字が、1兆7062.45億ドルと上半期での過去最大を記録した。今年度は、バイデン米政権の米国救済計画(1.9兆ドル規模)や米国雇用計画(2.26兆ドル規模)により、昨年度の3兆1319億ドルの過去最大の財政赤字を上回る可能性が高まっている。史上最大規模に拡大している米国の双子の赤字により、米国債格下げへの懸念も高まる可能性がある。7月末には債務上限適用停止期限を迎える。

日米首脳会談後の日米と中国間の緊張、米ロ関係では、ウクライナ情勢やロシアで収監されている反体制派指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏の容体悪化がリスク要因として意識されよう。中国は日米首脳共同声明で台湾への言及があったことで、何らかの政治的。経済的な措置を講ずる可能性がある。また、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は18日、ナワリヌイ氏が死亡した場合、「ロシアは結果を伴うことになる」と制裁措置の発動を警告した。

ただ、市場、ワクチン接種と景気回復は不可分として、新型コロナの感染やワクチン接種状況に注視している。現在、英国と米国が先頭に位置し、次いで欧州、日本は最後尾と認識されていることから、通貨の動きもこれを反映している。今後の各国・地域のワクチン関連の情報や、変異株による感染の普及度合いは、市場心理を左右しよう。

米国の経済指標は大きく改善している。3月の米雇用統計、ISM製造業指数、ISM非製造業指数等はいずれも予想を上回った。全米12地区の連銀景況報告(ベージュブック)は、経済活動が2月下旬から4月初めにかけて「緩やかなペースに加速した」と判断された。NY州製造業景況指数も3年半ぶりの高水準。3月米小売売上高は、前月比9.8%増と市場予想を大きく上回った。

新型コロナワクチン接種の普及により、経済指標は改善し、米国の景気回復は順調で、NYダウは史上初の3万4000ドル台と最高値を更新した。

米景気回復を背景に、ドル円はいずれ上昇に転じると予想するが、もうしばらく時間がかかりそうだ。


*CFTC建玉:4月6日時点のファンドのドル買い・円売りポジションは、5万8312枚(前週比-323枚)。


YEN0419