テクニカルマイスター

商品、為替、株式相場を,ファンダメンタルズとテクニカルから思いつくままに分析。

2016年07月

【7月29日(金) 国内市況と終値】
tk0729

*29日の金は3日ぶりに反落。日銀金融政策決定会合で、追加の金融緩和が決定されたが市場の期待を下回る規模で為替が大幅に円高となった。これを受けて売りが優勢となった。白金も円高を受けて反落。

*29日の中東産原油は、昨日のNY原油の下落と為替の円高を受けて売りが優勢となった。終値が2万7000円を割り込んだのは、4月19日以来、約3カ月ぶり。石油製品も原油になびいて安い。29日発表される米石油サービス会社ベーカー・ヒューズの石油掘削リグ稼働数が、再びプラスとなればNY原油相場は40ドルを割り込む可能性が高まる。

*29日のゴムは、上海ゴム安や円高を受けて反落。

*29日のトウモロコシと一般大豆は円高を受けて反落。

*29日の東京外国為替市場のドル円相場は、日銀の追加緩和が市場の失望を招き103円60銭で終えた。一時は105円60銭まで急反発したり、102円70銭まで急落する場面もあった。日銀は上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年3.3兆円から6兆円に拡大した。金利はマイナス0.1%で据え置いた。事前には量・質・金利の3次元緩和予想があっただけに、失望感が強まり、ドル売り・円買いが強まった。

*29日の日経平均株価は反発。日銀金融政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年3.3兆円から6兆円に拡大し、金利はマイナス0.1%の据え置きがそれぞれ決定された。緩和規模は市場の期待を下回った。日経平均株価は乱高下したものの、結局は、次回への期待も高まって反発して引けた。


第76回 『おしえて陳さん』 
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7月29日(金)
【7月28日の海外相場および市況】
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*28日のNY金は3日続伸し、2週間ぶりの高値となった。前日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、早期利上げ見通しが後退したため、金は買いが優勢となった。NY白金も金に連れて3日続伸。

*28日のNY原油は、供給過剰懸念が一段と強まり6日続落した。米エネルギー情報局(EIA)が前日に発表した週間在庫統計では、最新週の原油在庫は前週比170万バレル増となり、取り崩し予想に反して10週間ぶりに積み増しに転じた。また、ガソリン在庫も夏のドライブシーズンにもかかわらず、横ばい予想に対して積み増しとなった。また、NY原油の受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫が26日までの1週間で約32万8000バレル増加したとの報告も弱材料視された。

*28日のシカゴトウモロコシは反落。国際穀物理事会(IGC)は、米国での見通しが改善したことを受けて、2016~17年度の世界のトウモロコシ生産予想を引き上げた。シカゴ大豆は3日ぶりに反落。米国中西部産地の天候が良好な状態にあり、今後2週間で生育に好ましい降雨があるとの予報が嫌気された。

*28日のNY外国為替市場では、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて早期利上げ観測が再び後退し、ドル円相場は105円台前半に軟化した。29日は日銀金融政策決定会合の結果が出るため、次第に様子見が強まった。29日のシドニー外国為替市場で、ドル円相場は一時103円33銭まで急落し、3日ぶりに103円台を付けた。投機筋の調整的なドル売り・円買いが出たようだ。しかし、その後は急反発し、104円70銭台に引き戻した。

*28日のNYダウは小幅続落。欧州株安の流れを引き継いで売りが優勢となった。4~6月期の企業決算では、英国の欧州連合(EU)離脱決定によって減益見通しとなる大手企業が多く、投資家心理がやや悪化しているようだ。


【本日の主な経済指標およびイベント】
未定 (日) 日銀金融政策決定会合
08:30 (日) 6月全国消費者物価指数 (前年比) -0.4% -0.4% --
   (日) 6月全国消費者物価指数 (生鮮食品除く:前年比) -0.4% -0.4% --
08:30 (日) 6月有効求人倍率 1.36 1.37 --
08:30 (日) 6月失業率 3.2% 3.2% --
08:30 (日) 7月東京都区部消費者物価指数 (生鮮食品除く:前年比) -0.5% -0.4% --
08:50 (日) 6月鉱工業生産・速報 (前月比) -2.6% +0.5% --
15:00 (独) 6月小売売上高指数(前月比) +0.9%(+0.7%) +0.1% --
18:00 (EU) 6月失業率 10.1% 10.1% --
18:00 (EU) 7月消費者物価指数(HICP)・速報 (前年比) +0.1% +0.1% --
18:00 (EU) 4-6月期GDP・速報 (前期比) +0.6% +0.3% --
   (EU) 4-6月期GDP・速報 (前年比) +1.7% +1.5% --
21:30 (米) 4-6月期GDP・速報 (前期比年率) +1.1% +2.6% --
21:30 (米) 4-6月期個人消費・速報 (前期比年率) +1.5% +4.3% --
21:30 (米) 4-6月期GDPデフレーター・速報 (前期比年率) +0.4% +1.9% --
21:30 (米) 4-6月期コアPCEデフレーター・速報 (前期比年率) +2.0% +1.7% --
21:30 (米) 4-6月期雇用コスト指数 (前期比) +0.6% +0.6% --
22:45 (米) 7月シカゴ購買部協会景気指数 56.8 54.0 --
23:00 (米) 7月ミシガン大消費者信頼感指数・確報 89.5 90.0
*数値は順に、前回(改定値)、予想、結果。

第75回 『おしえて陳さん』 
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【7月28日(木) 国内市況と終値】
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*28日の金は続伸。NY金が米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を背景に上伸したのを受けて買いが優勢となった。白金は急伸。一時3831円まで上昇し、2015年11月上旬以来、約9カ月ぶりの高値を付けた。FOMC声明は、9月の利上げを明確に示唆する内容ではなく、市場は利上げがあるにしても12月と受け止めているようだ。NY金は目先、1300ドル台で推移しそうだ。29日の日銀金融政策決定会合、同日の欧州銀行監督機構(EBA)による銀行ストレステスト(健全性審査)結果発表、8月5日発表の7月の米雇用統計の内容が注目される。

*28日の中東産原油は反落。27日のNY原油が、米国内の原油やガソリンの在庫増加を受けて大幅下落した上、為替も円高に振れたため、売りが優勢となった。石油製品も原油に連れて反落。米エネルギー情報局(EIA)が27日発表した週間在庫統計では、原油在庫が前週比170万バレル増と市場予想の230万バレル減に反して増加した。また、ドライブシーズンにもかかわらずガソリン在庫が45万2000バレルの積み増しとなった。EIAによると、ガソリン在庫は2億4150万バレルで、前年同期の2億1590万バレルをおよそ12.0%も上回っている。さらに、米国の原油生産も日量851万5000バレルと、前週比で2万1000バレル増加しており、原油相場に対して弱気の見方が増えているようだ。

*28日のゴムは、期近が上海ゴムの上昇を反映して大幅続伸。期先は依然として150円から160円のレンジで推移した。

*28日のトウモロコシは続伸。一般大豆もしっかり。米中西部の主産地ではトウモロコシの受粉が順調に進み、米農務省が毎週発表している作柄状況も良好に推移している。豊作見通しが広がる中、シカゴ市場ではファンドのポジションが4月22日発表分以来、3カ月ぶりに売り越しに転じた。しかし好調な需要を反映して下げ渋っている。

*28日の東京外国為替市場のドル円相場は、米国の利上げ見送りや日経平均株価の下落を受けて104円60銭台に下落した。

*28日の日経平均株価は反落。下げ幅は一時前日比200円を超す場面があった。明日の日銀の金融政策決定会合の結果発表を前に、買いポジションを手じまう動きが活発化したようだ。


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【米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げ見送り、ドル円と金の動き】

米連邦準備制度理事会(FRB)は、26、27日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。声明では、「経済見通しの短期的なリスクは後退し、労働力が一定の増加を示した」と指摘し、利上げに向けて状況が改善されているとの見方を示した。ただ、「年2%」の目標を下回るインフレ(物価上昇)率や、英国の欧州連合(EU)離脱決定による不透明感が残る世界経済の動向については「引き続き注視する」との文言を残した。

27日時点におけるCMEのFED WATCHを見ると、利上げする確率見通しは9月が18%、11月が19.3%、12月が36.8%となっている。

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声明では9月の利上げの可能性は残しつつも、経済情勢を注視する慎重姿勢を崩さなかったことで、市場は利上げ見通しを弱めているようだ。

毎年8月に開催されるカンザスシティー連銀が主催するワイオミング州ジャクソンホールでの年次シンポジウムに、イエレンFRB議長は昨年欠席したが、今年は出席する予定。8月26日にジャクソンホールで講演し、経済状況をめぐるFOMC内の認識について話す可能性があり、9月の会合に向けて利上げへの地ならしをするのではないかと市場は注目している。

次回会合は9月20、21日に開催され、終了後に政策当局者の新たな経済予想や金利予測を公表し、イエレンFRB議長が記者会見を行う。


さて、利上げ見送りは市場の予想通りで、NY市場のドル円相場に大きな変動はなく、105円台前半で推移した。昨日、安倍首相が経済対策について「財政措置は13兆円、事業規模は28兆円を上回る」と表明したことを受けて、28、29日に開催される日銀金融政策決定会合で、追加緩和期待が一段と強まっている。果たして、黒田バズーカが発動されるのかどうか。もし、空砲であったり、市場が失望する緩和策であれば、ドル円は急落する可能性が高いだろう。テクニカル的には、75日移動平均線に戻りを抑えられている。

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一方、金であるが米国の利上げ見送りを受けてNY金は一時1340ドル台まで上昇したものの、9月の会合での利上げの可能性を反映して上値を縮小して1326.7ドルで引けた。

東京金は、4400円のサポートラインで跳ね返されて、押し目を確認したような反発を見せている。なお、年初来高値4622円(3月7日)と年初来安値4046円(1月15日)にフィボナッチリトレースメントを当てはめると、0.38倍押し=4403円、0.5倍(半値)押し=4334円、0.62倍押し=4264円となるが、0.38倍押しのレベルでサポートされたことになる。すでに5月の高値4478円(5月17日)を上抜いていることから、年初来高値の4622円を目指して上昇していく可能性が高いだろう。

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7月28日(木)
【7月27日の海外相場および市況】
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*27日のNY金は続伸。米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の予想通りに利上げは見送られた。声明では、米国内の景気認識は上方修正されたが、9月の利上げを明確に示唆するほどタカ派的な内容ではなかったと受け止められ、発表後は上げ幅を拡大し、一時1340ドル台まで上昇した。6月の耐久材受注額は季節調整済みで前月比4.0%減となり、市場予想の1.1%減よりも悪かったため、金買い要因になった。NY白金は大幅続伸し、1年2カ月ぶりの高値を付けた。

*27日のNY原油は5日続落。終値は41ドル台となり3カ月半ぶりの安値となった。米エネルギー情報局(EIA)によると、先週時点の原油在庫は前週比170万バレル増加し、市場予想の230万バレル減に反して大幅な積み増しとなった。ガソリン在庫は45万2000バレル増と市場予想の4万バレル増を大幅に上回った。ガソリン在庫が夏場のドライブシーズンにもかかわらず、増加していることが嫌気されて売りが優勢となった。

*27日のシカゴトウモロコシは、テクニカルや安値拾いの買いに反発。シカゴ大豆は、ショートカバーや中国向け輸出成約で続伸。

*27日のNY外国為替市場のドル円相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明が目先の利上げを明確に示唆するほどタカ派的な内容ではないと受け止められたことから、105円台前半で推移した。米連邦準備制度理事会(FRB)は今回のFOMCで利上げを見送った。声明では、米国内の景気認識を上方修正したほか、「景気見通しへの短期的なリスクは後退した」と表明した。ただ、9月の利上げの可能性は残しつつも、経済情勢を注視する慎重姿勢を崩さなかったことから、声明はさほどタカ派的な内容ではないと受け止められた。

*27日のNYダウは、原油安が嫌気されて小幅続落。注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げは見送られた。声明では、米国内の景気認識を上方修正したほか、「景気見通しへの短期的なリスクは後退した」と表明した。9月の利上げの可能性は残しつつも、経済情勢を注視する慎重姿勢を崩さなかった。声明は、米国景気に対して強気の見方をしつつもタカ派的とはいえず、株式相場を心理的にサポートしたようだ。


【本日の主な経済指標およびイベント】
16:55 (独) 7月失業者数 -0.6万人 -0.4万人
16:55 (独) 7月失業率 6.1% 6.1%
18:00 (EU) 7月経済信頼感 104.4 103.6
18:00 (EU) 7月消費者信頼感・確報 -7.9 -7.9
18:30 (南ア) 6月生産者物価指数 (前年比) +6.5% +6.7%
21:00 (独) 7月消費者物価指数・速報 (前年比) +0.3% +0.3%
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 25.3万件 26.3万件 
*数値は順に、前回(改定値)、予想、結果。

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【7月27日(水) 国内市況と終値】
tk0727

*27日の金は5日ぶりに反発。昨日のNY金が小幅上昇し、為替も円安に振れたので買いが優勢となった。白金も円安を受けて3日ぶりに反発。今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、追加利上げの見送りが予想されているが、会合後に発表される声明(日本時間28日午前3時)から、利上げ時期に関する手掛かりを得たいとの思惑から、見送り姿勢が強まっている。NY金は心理的節目の1300ドルを割り込むかがどうかが焦点になっている。仮に、割り込んだ場合、1250ドルまでの下落が見込まれそうだ。

*27日の中東産原油は4日ぶりに反発。昨日のNY原油は下落したが、為替が大幅に円安に振れたため、買いが優勢となった。石油製品も原油になびいて堅調。米石油協会(API)が26日に発表した週間在庫統計によれば、原油在庫は前週比82万7000バレル減ったものの、減少幅は市場予想の230万バレル減を大きく下回った。原油受け渡し拠点のオクラホマ州クッシングの在庫は140万バレル増加。ただ、ガソリン在庫は42万3000バレル減と、市場予想の3万6000バレル増に反して取り崩しとなった。

*27日のゴムは3日ぶりに反発。円安と上海ゴムの上昇が好感された。今週は日米の金融政策が決定されるため、ゴム相場も為替の動向に左右されそうだ。来週8月1日には政府と民間の中国製造業購買担当者景況指数(PMI)が発表される。

*27日のトウモロコシは円安を受けて反発。一般大豆はまちまち。トウモロコシは7月後半に入って下げに転じ、2万円の大台水準を試す動きを見せていたが、今週は下げ渋っている。このまま円安・ドル高が進むようであれば、更に買い戻される可能性がありそうだ。

*27日の東京外国為替市場のドル円相場は、政府の経済対策をめぐる報道を受けて乱高下した。朝方は、堅調な日経平均株価の動きや国内輸入企業の買いに支えられて105円10銭台に浮上した。正午すぎには、経済対策の事業規模が27兆円になるとの一部報道で106円50銭台に急騰した。政府が50年債の発行を検討しているとの報道もドル円を押し上げた。その後、50年債発行の検討を財務省が否定したと伝わると、105円台前半に急落したが、午後2時すぎに安倍首相が経済対策について「財政措置は13兆円、事業規模は28兆円を上回る」と表明したことを受け、106円台を再度回復した。買い一巡後は上値を削り、105円台半ばでもみ合いとなった。政府の経済対策の事業規模が28兆円超になることが判明したことで、市場では、日銀の追加緩和期待が一段と強まり、ドル円は上値に敏感な地合いとなった。

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*27日の日経平均株価は4日ぶりに反発。経済対策が27兆円規模になるとの報道を受けて買いが優勢となり、一時は前日比438円高の1万6821円まで急伸した。市場は、29日の日銀金融政策決定会合でどのような政策を出してくるか注目している。


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【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。
19日、トルコ中央銀行は、この日の金融政策決定会合で、翌日物貸出金利(コリドー上限金利)を9.00%から8.75%へ引き下げた。上限金利の引き下げは5カ月連続。ただ、政策金利である1週間物レポ金利は7.50%、翌日物借入金利(コリドー下限金利)は7.25%にそれぞれ据え置かれた。声明文では、Brexit(英国のEU離脱)やクーデター未遂などがあったにも関わらず、内需や外需に対する評価に変更はなかった。

20日、トルコのエルドアン大統領は15日のクーデター未遂を受けて、3カ月間の非常事態宣言を発令した。非常事態宣言が発令された場合、国民の基本的な権利や自由は制限され、大統領が議長として主宰する閣議で、法律と同等の効力を持つ政令を発することができるという。トルコ政府は、トルコ軍の一部によるクーデターは、米国に亡命中のイスラム教指導者のギュレン師が首謀したとし、米国に対してギュレン師の引き渡しを要請している。国内では、ギュレン師と関連する組織・勢力に対する取り締まりを強化している。取り締まりの対象は軍や司法関係者にとどまらず、教育機関や報道機関にまで拡大している。なお、米国はギュレン師引き渡しについては、クーデターに関与した確固たる証拠がない以上、引き渡しは不可能として拒否している。また、クーデターに関連して死刑制度の復活が取り沙汰されている。ただ、欧州連合(EU)に加盟するためには、死刑制度の廃止が必要で、死刑復活となれば、トルコはEUへの加盟を断念することになる。これを受けてトルコリラは売られ、対米ドルで20日に一時、1ドル=3.09リラ前後と、過去最安値を更新した。トルコリラ円は、34円20銭台に下落した。

20日、格付会社のスタンダート・アンド・プアーズ(S&P)は、トルコの外貨建長期債務格付けを「BB+」から「BB」へ、自国通貨建長期債務格付けを「BBB-」から「BB+」へ、それぞれ引き下げた。見通しは「ネガティブ」とした。格下げ理由として、15日のクーデター未遂を受けて政治の分断が進み、投資環境や成長が損なわれる可能性を指摘した。不確実性の高まりを背景に海外からの投資資金流入が抑制される可能性があるとの見方を示した。また、格付会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスも、クーデター未遂がトルコの経済成長や政策当局に及ぼす影響を見極め、同国の格付けを見直す旨を表明した。

*今週のトルコリラ円は上値の重い展開が続くだろう。
クーデターは収束したが、3カ月間の非常事態宣言を受けて格付け会社S&Pはトルコを格下げした。ただ、今回の事件を“奇貨”として、トルコの政情が安定化する可能性がある。クーデターが起きた直後に、公正発展党(AKP)、共和人民党(CHP)そして民族主義者行動党(MHP)がクーデターを認めていないことを議会にて発表し、その後すぐにニュースでトルコ国民に伝えられた。今までこの主要三党が一致団結することはなかったが、今回は「クーデター許すまじ」で一致した。今後のトルコの政治と経済の安定のためには好ましいことだろう。また、これを契機にエルドアン大統領の権力が一段と強化され、同大統領が軍部を完全掌握する可能性が強まるだろう。金融面で言えば、エルドアン大統領は以前から利下げ派であり、今後は政策金利の引き下げが予想される。

欧州復興開発銀行(EBRD)は22日、トルコでのクーデター未遂によって政情不安が高まっているが、同国への融資は継続する方針を明らかにした。EBRDによる最大の融資先はトルコであり、昨年は19億ユーロ(約21億ドル)と過去最大を記録した。EBRD報道官はロイター通信に対し、「先週のエルドアン大統領によるクーデター鎮圧はEBRDの主要出資国からの批判を招いているが、トルコには引き続き関与する」と語った。融資によるプロジェクトの大半は、金融や農業インフラ、エネルギー分野。このほか、シリア難民危機を緩和するためにも、今後数年間で約2億ユーロが費やされる。

対外的には難しい局面を迎えそうだ。クーデターを企んだ士官などに死刑を求めていることで、欧州連合(EU)からは非難が出ている。これに加え、ギュレン師引き渡しを巡って米国とも対立する可能性があり、欧米諸国との関係が冷え込む可能性がありそうだ。一方、クーデター前にはロシアとの関係を正常化することで双方一致しており、ロシアのプーチン大統領は経済制裁を即時解除した。トルコが欧米から距離を置く一方で、ロシアに接近することが予想され、シリア情勢やイスラム国(IS)を巡って、地政学的な変化も予想される。

ただ、長期的な観点から見れば、独裁的な状況が生まれつつあるが、政治的、軍事的な問題が解決すれば、経済回復への期待が高まっていくと予想する。

予想レンジ:34.00円~36.00円

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7月27日(水)
【7月26日の海外相場および市況】
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*26日のNY金は買戻しが入って3日ぶりに小反発。この日から2日間の日程で始まった米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げが行われる公算は極めて小さいとみられているが、市場関係者は次回の利上げ時期を見極めようと、27日に発表される声明の内容に注目している。6月の新築一戸建て住宅販売件数は季節調整済みで前月比3.5%増となり市場予想を上回った。また、7月の消費者景気信頼感指数は前月からは低下したが、市場予想は大幅に上回った。ただ、これらに対する市場の反応は限定的だった。NY白金は金に連れて上伸。

*26日のNY原油は4日続落。3カ月ぶりの安値を更新し、42ドル台で引けた。新たな弱材料は出現していないが、掘削リグの増加を受けて米国内で生産拡大の兆しが見られ始めていることから売りが優勢となった。引け後に発表れた米石油協会(API)による22日までの1週間の米国の原油在庫は、前週比82万7000バレル減の5億2000万バレルとなり、市場予想の230万バレル減を下回った。受け渡し拠点のオクラホマ州クッシング在庫は前週比140万バレル増。一方、ガソリン在庫は42万3000バレル減と市場予想の3万6000バレル増に反して取り崩しとなった。ディスティレート在庫は29万2000バレル増と市場予想の71万4000バレル増を下回った。これを受けて、NY原油時間外は0.22ドルほど続落し、42.70ドル近辺で推移している。

*26日のシカゴトウモロコシは小幅安。小麦相場安が弱材料視された。シカゴ大豆は3日ぶりに反発。来月の米国中西部の気温が高温に
なるとの予報から買戻しが入った。

*26日のNY外国為替市場のドル円相場は104円台後半で推移した。日本政府による経済対策が予想よりも小規模にとどまるとの観測が浮上したため、東京時間から円高が進行し、ロンドン時間には一時104円を割り込んだ。NY市場に入ると、良好な米経済指標を受けて、ドル円は104円台後半に反発した。6月の新築一戸建て住宅販売件数は季節調整済みで前月比3.5%増となり市場予想を上回った。また、7月の消費者景気信頼感指数は97.3と前月の97.4からは低下したが、市場予想の96.0は大幅に上回った。この日から2日間の日程で始まった米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げが行われる公算は極めて小さいとみられているが、市場関係者は次回の利上げ時期を見極めようと、27日に発表される声明の内容に注目している。

*26日のNYダウは小幅続落。4~6月期決算を発表した主要企業の中で、決算内容が市場予想を下回ったものが先行して売られた。6月の新築一戸建て住宅販売件数や、7月の消費者景気信頼感指数はいずれも市場予想を上回る内容となったが、地合いを大きく改善させるには至らなかった。原油相場が4日連続で下落し、3カ月ぶりの安値を更新したことも嫌気された。


【本日の主な経済指標およびイベント】
10:30 (豪) 4-6月期消費者物価指数 (前期比) -0.2% +0.4%
   (豪) 4-6月期消費者物価指数 (前年比) +1.3% +1.1%
17:30 (英) 4-6月期GDP・速報 (前期比) +0.4% +0.5% 
   (英) 4-6月期GDP・速報 (前年比) +2.0% +2.1% 
21:30 (米) 6月耐久財受注 (前月比) -2.3% -1.4%
   (米) 6月耐久財受注 (前月比:除輸送用機器) -0.3% +0.3%
23:00 (米) 6月中古住宅販売保留件数指数 (前月比) -3.7% +1.2%
27:00 (米) FOMC政策金利発表 0.25-0.50% 
*数値は順に、前回(改定値)、予想、結果。

第75回 『おしえて陳さん』 
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【7月26日(火) 国内市況と終値】
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*26日の金は4日続落。NY金時間外が軟調に推移した上に、為替が大幅な円高となったため売りが優勢となって下げ幅が拡大した。白金も円高を受けて続落。26、27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げは見送られるとの見方が広がっているが、声明で、9月以降の追加利上げの可能性にどこまで言及するかが注目されている。

*26日の中東産原油は3日続落。昨日のNY原油が供給過剰懸念から下落し、一時442.97ドルと4月26日以来、約3カ月ぶりの安値を付けた。これに加え、本日の為替は円高で推移したため売りが優勢となった。先限は一時2万8110円まで売られ、5月9日以来、約2カ月半ぶりの安値を付けた。石油製品も原油安になびいて下落。

*26日のゴムは大幅続落。上海ゴムの下落と円高が弱材料となった。

*26日のトウモロコシは円高を受けて軟調。一般大豆も安い。米国ではトウモロコシの受粉期も終え、大豆の着さやに焦点が移っている。米国産地では生育が順調で、豊作観測が強まっているという。

*26日の東京外国為替市場のドル円相場は、まとまった売りが出て104円台前半まで下落した。早朝は、105円70銭前後で推移していたが、日経平均株価の下落を受けて105円を割り込むと、ストップロスが誘発され、104円30銭付近まで水準を切り下げた。日本政府による経済対策の規模が期待外れになるとの見方から、まとまった売りが出たようだ。

*26日の日経平均株価は下落。NYダウの下落や円高が嫌気された。今週の日銀金融政策決定会合では、追加金融緩和が予想されているが、一方で、英国の欧州連合(EU)離脱決定後の金融市場の混乱がとりあえず収束しているため、追加緩和を見送る可能性も予想されている。


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【今週は重要イベント、金、白金はどうなる?】
今週は重要イベントが続く。
26~27日は米連邦公開市場委員会(FOMC)、28~29日は日銀金融政策決定会合。

重要イベントを前に、金相場も調整局面に入っている。NY金は英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けて、その後の世界経済の落ち込み懸念から、7月6日には1375ドルと2014年3月以来の高値を付けたが、米国の利上げ見通し期待や世界的な株価上昇を受けて反落に転じたが、1300ドルの大台は維持されている。

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金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は7月5日に982.72トンと年初来最大量となり、11日以降は減少傾向になった。25日時点では958.69トンまで減少したが、昨年の最少保有量630トン(12月17日)から見ると、依然として52%増の水準にある。過去最高は1333.4トン(2012年10月4日)。

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東京金も7月20日に4523円まで上昇し、5月の高値(4478円)を上抜いたが、調整場面に入ったようだ。年初来の最高値4622円(3月7日)と年初来の最安値4046円(1月15日)にフィボナッチリトレースメントを当てはめると、0.38倍押し=4403円、0.5倍(半値)押し=4334円、0.62倍押し=4265円となり、目先は4400円がサポートラインになりそうだ。ここを下回ると、4334円まで下げる可能性があるが、上昇基調は維持されるだろう。

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NY金の下落に連れてNY白金も調整安場面に入っているが、下げ幅はNY金ほどではない。7月11日に1104.78ドルの年初来高値を付けたが、その後は1100ドルを挟んで保ち合いとなっている。東京白金は、15日に3730円まで上昇し、年初来高値の3743円(5月12日)に迫った。その後は、金に連れて反落に転じているが、下げ幅は金ほどではない。

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白金の最大生産国である南アフリカでは、白金鉱山労働者組合(AMCU)が、賃上げ闘争に入っている。AMCUは、アングロ・プラチナ、インパラ、ロンミンとの賃金交渉を開始した。しかし、世界最大の白金鉱山会社であるアングロ・プラチナは、白金価格の長期低迷を受けて今年上半期の利益が最大70%減少するとの見通しを発表しており、経営側は満額回答が不可能な状況だ。労使交渉の難航が予想されるが、ストライキ突入となれば、供給減少が懸念される。また、南アフリカの通貨ランドは年初から対ドルでおよそ8.0%上昇し、南アランド高の状態にあり、白金のヘッジ売りが出にくい状況にもある。日本では、某大手地金商が今年1~6月に販売した白金地金は、前年同期比2倍増の8601キログラムに達したという。金に対する割安感から白金地金の販売量は昨年から増えているが、金との逆ザヤも再び縮小傾向にある。


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