テクニカルマイスター

商品、為替、株式相場を,ファンダメンタルズとテクニカルから思いつくままに分析。

2016年08月

【8月31日(水)国内市況と終値】
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*31日の金は3日続伸。30日のNY金が、米国の早期利上げ観測やドル高を背景に2カ月ぶりの安値に下落したのを受けて朝方は売りが優勢となった。しかし、その後は円安が進行したため、プラス圏に切り返して引けた。白金は反落したが、円安を受けて下げ幅を縮小した。昨日は、米連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシャー副議長が、インタビューで追加利上げに前向きな姿勢を示したほか、8月の米消費者信頼感指数が良好だったことで、早期利上げに対する見方が強まったため、ドルが上昇しNY金は売りが優勢となった。

*31日の中東産原油は続落。30日のNY原油がドル高や供給過剰懸念を受けて下落したため、売りが優勢となった。石油製品も、原油安に連れて下落。ただ、市場は9月下旬に開かれる石油輸出国機構(OPEC)の非公式会合を見極めたいことから、現水準から大きく売り込む向きはほとんどないようだ。

*31日のゴムはまちまち。円安というサポート要因があるが、需給の緩みを受けて地合いは弱いようだ。

*31日のトウモロコシは円安を受けて上伸。一般大豆はまちまち。米農業専門誌ファーム・フューチャーズは30日、2017年の米国産大豆の作付面積は前年度比0.9%増の8440万エーカーと、過去最高を更新するとの予測を発表した。市場価格が低迷するトウモロコシや小麦を減らし、大豆へのシフトが進むと見込んだ。米トウモロコシの作付けは1.1%減の9310万エーカー、小麦は3.4%減の4910万エーカーと予測した。

*31日の東京外国為替市場のドル円相場は、日経平均株価の堅調な展開を受けて103円台で推移した。

*31日の日経平均株価は反発。為替の円安が好感されて輸出企業中心に買われた。

第80回 『おしえて陳さん』 
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8月31日(水)
【8月30日の海外相場および市況】
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*30日のNY金は3日ぶりに反落し、2カ月ぶりの安値を付けた。フィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長はこの日、テレビのインタビューで、労働市場は「完全雇用に近づいている」と発言。利上げの回数に関しては「経済情勢次第」としながらも、複数回に及ぶ可能性も排除しなかったことから、市場では利上げ期待が高まった。このため、金利を生じない金には売りが優勢となった。また、8月の消費者景気信頼感指数(1985年=100)が101.1と、前月の96.7(改定値)から大幅に上昇したことはドル相場を押し上げ、ドル建て金が割高になったことも嫌気された。

*30日のNY原油は、ドル高・ユーロ安の進行や米原油在庫の増加懸念を背景に続落した。米メキシコ湾の複数の石油・ガス会社が熱帯低気圧の暴風雨に備えて生産を停止したことから、米国内の需給が引き締まるのではないかとの期待感はサポート要因になったが、米国の早期利上げ観測や8月の消費者景気信頼感指数が大幅改善したことから、為替市場ではドル高・ユーロ安が加速し、ドル建て原油の割高感が強まったことで売りが優勢となった。イラン当局者はノルウェーで開かれた業界会議で、同国産油量が年末までに日量400万バレルに達するとの見通しを明らかにした。これは西側諸国に制裁を受ける前の生産水準。引け後に発表された米石油協会(API)の週間在庫統計では、直近1週間の原油在庫は94万2000バレル増と、予想の範囲内だった。

*30日のシカゴトウモロコシは7日続落。米国産トウモロコシの生育状況は良好、在庫が一段と増加するとの観測が強まった。シカゴ大豆も、米国産の豊作見通しが弱材料となり6日続落。

*30日のNY外国為替市場では、米国の早期利上げ観測が強まる中、円売り・ドル買いが加速し、ドル円相場は7月下旬以来約1カ月ぶりに103円台を付けた。フィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長はこの日、テレビのインタビューで、労働市場は「完全雇用に近づいている」と発言。利上げの回数に関しては「経済情勢次第」としながらも、複数回に及ぶ可能性も排除しなかったことから、市場では利上げ期待が高まった。8月の消費者景気信頼感指数(1985年=100)が101.1と、前月の96.7(改定値)から大幅に上昇したこともドル相場には強材料となった。

*30日のNYダウは反落。フィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長はこの日、テレビのインタビューで、労働市場は「完全雇用に近づいている」と発言。利上げの回数に関しては「経済情勢次第」としながらも、複数回に及ぶ可能性も排除しなかった。このため、市場では利上げ期待が高まったが、株式市場では嫌気された。8月の消費者景気信頼感指数(1985年=100)が101.1と、前月の96.7(改定値)から大幅に上昇したことも早期利上げ観測を後押しした。


【本日の主な経済指標およびイベント】
08:01 (英) 8月GfK消費者信頼感 -12 -8 -7
08:50 (日) 7月鉱工業生産・速報 (前月比) +2.3% +0.8% 0.0%
10:00 (NZ) 8月ANZ企業景況感 16.0 -- --
15:00 (独) 7月小売売上高指数(前月比) -0.1% +0.5% --
15:45 (仏) 8月消費者物価指数 (前年比) +0.2% +0.3% --
16:55 (独) 8月失業者数 -0.7万人 -0.4万人 --
16:55 (独) 8月失業率 6.1% 6.1% --
18:00 (EU) 7月失業率 10.1% 10.0% --
18:00 (EU) 8月消費者物価指数(HICP)・速報 (前年比) +0.2% +0.3% --
21:00 (南ア) 7月貿易収支 +125億ZAR +80億ZAR --
21:15 (米) 8月ADP全国雇用者数 +17.9万人 +17.5万人 --
22:45 (米) 8月シカゴ購買部協会景気指数 55.8 54.0 --
23:00 (米) 7月中古住宅販売保留件数指数 (前月比) +0.2% +0.7%
*数値は順に、前回(改定値)、予想、結果。

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【東京白金は調整安場面】
*23日、南アランドが対米ドルで急落し3週間ぶりの安値をつけた。警察当局がゴーダン財務相に出頭命令を出したとの報道が嫌気された。ゴーダン氏は2009年まで歳入庁長官を務めていたが、その際に汚職に関わった疑惑が出ている。財政健全化に取り組む姿勢を示してきたゴーダン氏が辞任または更迭ともなれば、市場の不安が強まる。ズマ大統領は昨年12月にもゴーダン氏の前任だったネネ氏を突如更迭し、ランド相場が急落した経緯があり、それが連想されたようだ。

そうなると、南アフリカの国債格付けが「投資適格」から「投機的水準」に下がる可能性もある。南アフリカ国債の外国人保有比率は35%超。格下げで資金が流出すればランド売りが加速する可能性がある。

26日、南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)のミネル副総裁は、インフレ率は高止まりし南アランドの大幅な変動が物価に影響していると指摘し、利上げサイクルは終了していないとの見解を示した。南アフリカのインフレ率は現在6.0%であり、SARBが目標とするインフレターゲット(3.0~6.0%)の上限にある。インフレ率が上昇し、利上げともなれば、南アランドには弱材料となり、通貨安への悪循環となる。

白金の需給に大きな変化が期待できない現状では、最大の生産国である南アフリカの通貨ランドの動向に左右される展開が続くだろう。

東京白金は年初来高値3850円(7月29日)と年初来安値3045円(1月21日)の0.5倍(半値)押し=3448円でサポートされて下げ止まっている。上昇基調はまだ崩れていないものの、南アフリカ情勢次第で、急変も想定されるため、下方リスクに注意したい。白金と金の逆ザヤは再び拡大してきている。

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【東京金は下げ止まりから保ち合い局面】
*週末26日のNY金は、3日ぶりに小反発した。同日、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長はワイオミング州ジャクソンホールで講演し、「追加利上げの根拠がこの数カ月で強まっている」と述べながらも、具体的な利上げ時期に言及しなかったことから、為替市場でドル売り・ユーロ買いが加速し、ドル建て金は割安感から買われ、一時1346ドルまで上昇した。

ただその後は、フィッシャーFRB副議長がテレビのインタビューで、9月も含めた早期利上げに前向きな姿勢を示したことから、ドルの対ユーロ相場が反転上昇し金も上げ幅を縮小した。

週明け29日は、市場の利上げ機運が高まっている雰囲気の中、この日発表された7月の米個人消費支出(PCE)が4カ月連続のプラスとなったものの、FRBが重視するインフレ指標のコアPCEデフレーターが横ばいにとどまったことで、9月利上げの見方を強める展開にはならなかった。このため、ドルが対ユーロで軟化し、ドル建て金には割安感が強まった。

NY金は長期的に、昨年12月中旬を起点とする上昇トレンドラインが依然として機能しているが、7月6日以降に形成されたウェッジのサポートラインを下回り、調整安局面に入った。しかし、下げ幅は限定的で、1300ドルのサポートライン手前で下げ止まっている。

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週末26日のイエレン議長の講演では、利上げ時期への言及はなく、「今後のデータ次第」としたことで、市場は9月の利上げに関しては依然として懐疑的のようだ。26日時点のCMEのFED WATCHでは、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げとなる確率は、25日の18%から33%に上昇している。しかし、年内の利上げ時期でもっとも確率が高いのは依然として12月となっている。週明け29日には、9月の利上げ確率は21%に低下している。これは、29日に発表された7月の米個人消費支出(PCE)が4カ月連続のプラスとなったものの、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標のコアPCEデフレーターが横ばいにとどまり、9月利上げの見方を強める材料にはならなかったからだ。

やはり、市場が利上げへの確信を強めるのは、9月2日に発表される8月の米雇用統計を見てからとなるだろう。29日時点の予想は非農業部門就業者数が+18万人(前回は+25.5万人)、失業率は4.8%(前回は4.9%)、平均時給は+0.2%(前回は+0.3%)。

NY金の下げ止まりと円安を受けて東京金、年初来安値4046円(1月15日)と年初来高値4622円(3月7日)の0.62倍押し(4264円)のレベルでサポートされて反発している。今週は、週末の雇用統計待ちの展開で大きくは動きにくいだろう。4300円を挟んで保ち合いになると予想する。

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【8月30日(火)国内市況と終値】
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*30日の金と白金は前日のNY市場の堅調地合いと為替の円安基調を受けて小幅上昇。NY金は底堅いものの、膠着状態に陥っている。早期利上げ観測が高まっているものの、9月2日に発表される8月の米雇用統計の結果を見極めるまでは動きづらい状況にあるようだ。

*30日の中東産原油は小幅安。石油製品も原油に連れて軟調。NY原油は、主要産油国の生産調整に対する期待を背景としたファンドの買いが一巡し、上値が重くなっている。

*30日のゴムは小安い。東南アジア産地が増産期に入り始めたため、今月半ばすぎから当限が急落し、先限との逆ざやは縮小に向かっており、相場は下げやすい状況にある。

*30日のトウモロコシはまちまち。一般大豆は堅調。

*30日の東京外国為替市場のドル円相場は、特段の材料もなく102円台前半で保ち合い。市場は、9月2日に発表される8月の米雇用統計待ちの状態。

*30日の日経平均株価は、前日の急反発を受けた利益確定売りに反落。

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【トルコリラ円、先週の動きと今週の予想】
*先週のトルコリラ円は堅調に推移した。トルコ中央銀行は23日に開いた金融政策決定会合で、主要な政策金利である翌日物貸出金利を0.25%引き下げ8.5%とした。これで6カ月連続の利下げとなった。7月のクーデター未遂事件とその後の反政府勢力への弾圧で経済の先行き不透明感が広がり、消費や投資の冷え込みが懸念され、利下げの継続による景気の下支えが必要と判断されたという。トルコ中銀は声明で、事件後に悪化した市場指標が「おおむね反転した」との認識を示したが、国民の間では不要不急の買い物を控える動きが広がり、消費意欲が落ち込み、企業は、手元の現金確保を優先しており、経費を切り詰め、設備投資を先送りしていると指摘した。シムシェキ副首相は政府目標である2016年の4.5%成長は達成が難しいとの見方を示している。

*トルコ中央銀行は、主要政策金利の1週間物レポ金利を挟み、翌日物貸出金利(上限金利に相当)、翌日物借入金利(下限金利に相当)という「3つの政策金利」によるコリドー(金利レンジ)を形成して、市場金利を誘導する金融政策を採用している。

*今週のトルコリラ円は、ドル円の堅調地合いもあって堅調に推移しそうだ。今後は、ロシアとの関係改善から貿易面での恩恵が高まっていく可能性がある。

来日したトルコのシムシェキ副首相は26日、エルドアン大統領がロシアのプーチン大統領と関係正常化で合意したことで「トルコ経済に相当な好影響が出る」と語った。ロシアからの観光客や貿易の回復につながると指摘。7月のクーデター未遂事件による景気への影響は限定的とし、欧米との関係強化を進める考えを示した。トルコとロシアは8月9日の首脳会談で、昨年11月のトルコによるロシア軍機撃墜で冷え込んだ両国関係を改善させることで一致した。これにより、ロシアで制限されていたトルコ旅行が大幅に増える見込みで、農作物などの対ロ輸出も持ち直していく可能性がある。

経済政策を担うシムシェキ副首相は、トルコ経済は2016年7~9月期にかけて減速が見込まれるものの、事件が景気を下押す影響は限られるとの見方を示した。

一方、地政学的リスクは収まる可能性が低いだろう。トルコ軍は24日、シリアの反体制派武装組織の戦闘員と連携し、過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下にあるシリア北部ジャラブルスの制圧作戦を開始し、空爆や越境砲撃に加え、シリア領内に戦車を侵攻させた。トルコ政府は国境地帯からISを「完全に排除する」と宣言しており、加えて、クルド人武装勢力の壊滅も狙って軍事行動に出ている。トルコ国内でテロ事件が多発する可能性は高く、観光業への影響も懸念される。


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予想レンジ:33.00円~36.00円


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【南アランド円、先週の動きと今週の予想】
*先週の南アランド円は大幅下落となった。23日、南アランドは対米ドルで急落し、3週間ぶりの安値をつけた。警察当局がゴーダン財務相に出頭命令を出したとの報道が嫌気された。26日にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演で利上げに前向きな姿勢を見せ、複数のFRB高官も早期利上げを示唆したことから、ドルが買い戻され、南アランドは対ドルで下落した。

*今週の南アランド円は、上値の重い展開が続きそうだ。ゴーダン財務相に警察への出頭命令が出たのは、ゴーダン氏が2009年まで歳入庁長官を務めた際に汚職に関わった疑惑が出ているためだが、ズマ大統領による冤罪との見方もあって真相は不明。財政健全化に取り組む姿勢を示してきたゴーダン氏が辞任することになれば、市場の不安が強まる。市場はショックの再燃を懸念している。辞任で南アフリカの国債格付けが「投資適格」から「投機的水準」に下がる可能性もある。南アフリカ国債の外国人保有比率は35%超。格下げで資金が流出すればランド売りが加速する可能性がある。ズマ大統領は昨年12月にもゴーダン氏の前任だったネネ氏を突如更迭し、ランド相場が急落した経緯がある。

26日、南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)のミネル副総裁は、インフレ率は高止まりし南アランドの大幅な変動が物価に影響していると指摘し、利上げサイクルは終了していないとの見解を示した。南アフリカのインフレ率は現在6.0%であり、SARBが目標とするインフレターゲット(3.0~6.0%)の上限にある。インフレ率が上昇し、利上げともなれば、南アランドには弱材料となり、通貨安への悪循環となる。情勢が落ち着くまでは上値の重い展開が続くだろう。

日足チャートでは、50日、100日、200日の主要な移動平均線を割り込んでしまい、下方リスクに注意したいところ。


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予想レンジ:6.90円~7.20円


【ドル円、今週の見通し】
今週のドル円相場は、底堅く推移しながらも2日に発表される8月の米雇用統計を睨んで、次第に保ち合いとなるだろう。

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26日、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、ジャクソンホールの会合で、「FRBの政策目標が達成されつつあり、利上げを行う論拠が高まった」と発言した。8月中旬以降、複数のFRB高官が「9月の利上げも含め近い将来の利上げが可能」と述べて来たが、FRB議長が自ら利上げの必要性を示したため、為替市場では、ドル買い・円売りが加速した。イエレンFRB議長は、雇用の改善が進み完全雇用が達成されつつあること、物価は数年のうちに目標の2%に到達するとの見方を示した。これを踏まえて、数ヵ月のうちに利上げを進める可能性があると、市場に利上げへの注意を喚起した。

しかし、一方で、利上げ時期への具体的な言及はなく、今後の「データ次第」としている。為替市場では当初、ドルが急騰・急落したのも、イエレンFRB議長が、早期利上げに意欲を示したものの、具体的な時期には言及せず、慎重に判断する姿勢も示し、全体を通してタカ派というわけではないと見られたからだろう。ドル買いが加速したのは、フィッシャーFRB副議長が、データ次第としつつも9月利上げの可能性を否定しなかったことや、アトランタ連銀のロックハート総裁も年内2回の利上げ可能性を排除しない考えを示したからだ。米国や世界経済の現状を考えると、追加利上げが可能かどうか、市場は依然として懐疑的になっているようだ。

26日時点のCMEのFED WATCHを見ると、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げとなる確率は、25日の18%から33%に上昇している。しかし、年内の利上げ時期でもっとも確率が高いのは依然として12月となっている。週明け29日には、9月の利上げ確率は21%に低下している。

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これは、29日に発表された7月の米個人消費支出(PCE)が4カ月連続のプラスとなったものの、FRBが重視するインフレ指標のコアPCEデフレーターが横ばいにとどまり、9月利上げの見方を強める材料にはならなかったからだ。

やはり、市場が利上げへの確信を強めるのは、9月2日に発表される8月の米雇用統計を見てからとなるだろう。29日時点の予想は非農業部門就業者数が+18万人(前回は+25.5万人)、失業率は4.8%(前回は4.9%)、平均時給は+0.2%(前回は+0.3%)。

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なお、イエレンFRB議長は講演で、将来の景気後退時に、景気を下支えする利下げの余地が過去に比べ限られるとも述べ、過去の金融引き締め時ほど利上げを繰り返すことができないとの見方も示した。利下げ以外の緩和策として、金融危機時に実施した資産買い入れやインフレ目標引き上げにも触れるなど新たな方策を検討する考えも表明していることも、市場の利上げ見通しを弱めたようだ。

今週注目される経済指標は、29日の米7月個人所得、米7月個人消費支出(PCE)、コアPCEデフレーター、30日の米8月消費者信頼感指数、31日の米8月ADP雇用統計、1日の本邦4-6月期法人企業統計、中国の8月製造業PMI、米8月ISM製造業景気指数、米8月自動車販売台数、2日の米8月雇用統計、米7月貿易収支など。

予想レンジ:100.00円~103.00円

*CFTC建玉8月23日時点:ファンドの円買いは6万0316枚(前週比+4310枚)と買い越し幅は増加。総取組高は16万4756枚と前週比1149枚の減少。CFTC建玉明細を見ると、ファンドのポジションはドル売り・円買いに傾いているため、先週末のFRB高官の発言を受けて、今週は断続的にポジションの巻き戻しが入ってきそうだ。経済指標が良好であれば、ポジション整理から突発的な円安場面があるかもしれない。

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8月30日(火)
【8月29日の海外相場および市況】
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*週明け29日のNY金は続伸。26日の講演で米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、「追加利上げの根拠が、この数カ月で強まっている」と発言。加えてフィッシャーFRB副議長がインタビューで、9月利上げの可能性を否定しなかったことから米利上げ観測が再燃した。しかし、この日発表された7月の米個人消費支出(PCE)が4カ月連続のプラスとなったものの、FRBが重視するインフレ指標のコアPCEデフレーターが横ばいにとどまり、9月利上げの見方を強める展開にはならず、ドルが対ユーロで軟化したため、ドル建て金には割安感が強まった。NY白金は金に連れて続伸。

*週明け29日のNY原油は、供給過剰懸念から反落。イラクの石油相は27日、8月に同国南部からの輸出を拡大したが、引き続き生産を増やす意向だと表明。サウジアラビアは前月に引き続き8月も記録的な生産水準を維持したことが明らかになった。これらを受けて供給過剰懸念が強まった。また、石油輸出国機構(OPEC)は9月下旬にアルジェリアで非公式会合を開くが、主要産油国による生産調整への期待感が以前に比べて後退していることも圧迫材料となった。

*週明け29日のシカゴトウモロコシは、小麦の下落につれ安して続落。トウモロコシは飼料で小麦と競合する。国際穀物理事会(IGC)は先週、2016~17年度の小麦、トウモロコシ生産量が過去最高に達するとの見通しを示した。シカゴ大豆は、米国産の豊作見通しで続落。米農業調査会社プロファーマーは先週、同国産大豆の2016年の収穫量が40億9300万ブッシェルと、過去最高を記録するとの見通しを示した。

*週明け29日のNY外国為替市場では、先週からの米連邦準備制度理事会(FRB)高官らによる早期利上げに前向きな発言を受けたドル買いの流れが一服し101円台後半で推移した。9月2日に発表される8月の米雇用統計で、非農業部門就業者数の下振れが警戒された面もある。7月の米個人消費支出(PCE)は前月比+0.3%で、市場予想と一致したため、市場の反応は限定的だった。

*週明け29日のNYダウは4日ぶりに反発。26日の講演で米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、「追加利上げの根拠が、この数カ月で強まっている」と発言。フィッシャーFRB副議長がインタビューで、9月利上げの可能性を否定しなかったことから米利上げ観測が再燃した。しかし、この日発表された7月の米個人消費支出(PCE)が4カ月連続のプラスとなったものの、FRBが重視するインフレ指標のコアPCEデフレーターが横ばいにとどまり、9月利上げの見方を強める展開にはならなかった。このため、株式市場は買いが優勢となった。


【本日の主な経済指標およびイベント】
*イスタンブール休場(勝利の日)
07:45 (NZ) 7月住宅建設許可 (前月比) +16.3% -- -10.5%
08:30 (日) 7月失業率 3.1% 3.1% 3.0%
08:30 (日) 7月有効求人倍率 1.37 1.38 1.37
10:30 (豪) 7月住宅建設許可 (前月比) -2.9% +1.1% --
17:30 (英) 7月消費者信用残高 +18億GBP +17億GBP --
18:00 (EU) 8月経済信頼感 104.6 104.1 --
18:00 (EU) 8月消費者信頼感・確報 -8.5 -8.5 --
21:00 (独) 8月消費者物価指数・速報 (前年比) +0.4% +0.5% --
23:00 (米) 8月消費者信頼感指数 97.3 97.0
*数値は順に、前回(改定値)、予想、結果。

第80回 『おしえて陳さん』 
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【8月29日(月)国内市況と終値】
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*29日の金、白金は大幅な円安を受けて3日ぶりに反発。26日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演やFRBの高官らの早期利上げを示唆した発言で、ドル円は一気に水準を切り上げたため、金と白金は押し上げられた。

*29日の中東産原油は続伸。米国の利上げ観測の高まりを受けた円安・ドル高を受けて買いが優勢となった。石油製品も原油になびき堅調。イラクのルアイビ石油相は27日、原油相場の下支えに向け、石油輸出国機構(OPEC)内で積極的な役割を果たすことに前向きな姿勢を示した。

*29日のゴムは、円安の進行を受けて続伸。

*29日のトウモロコシと一般大豆は円安を受けて反発。米農業調査会社のプロファーマーによると、2016年度の米コーンのイールド(単収)見通しは、1エーカー当たり平均170.2ブッシェルで、生産高が過去最高の147億2800万ブッシェルを記録する見込み。ただ、米農務省の最新の見通しを下回っており、売り材料にはならなかったようだ。

*29日の東京外国為替市場のドル円相場は、日経平均株価の上げ幅拡大を受けて、102円台前半で堅調に推移した。26日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演やFRBの高官らの早期利上げを示唆した発言で、ドル円は一気に水準を切り上げてきた。

*29日の日経平均株価は大幅反発。一時400円を超える上昇場面があった。26日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演やFRBの高官らの早期利上げを示唆した発言を受けて、為替市場では円安が進行した。これを好感して日経平均株価は大幅上昇となった。


第80回 『おしえて陳さん』 
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