【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、上値の重い展開になりそうだ。今週は米連邦準備制度理事会(FRB)議長人事がポイントになりそうだ。先週は、FRB議長にタカ派色の強いテイラー・スタンフォード大教授が有力視されているとの見方からドルが押し上げられたが、トランプ大統領は27日、次期FRB議長の指名ついては、来週発表することを明らかにしたが、事情に詳しい関係者によれば、ハト派色の強いパウエルFRB理事を指名する方向に傾いているという。
これを受けて、週末のドル円は114円46銭から一時113円65銭まで急落したわけだが、実際にパウエルFRB理事が指名されれば、ドルの下落基調は強まるだろう。逆に、テイラー氏が任命されても、相場には織り込まれていただけに、ドルの上昇は戻り高値を見せる程度で、115円を超えていくことは困難ではないか。いずれにしてもドル円の上値は重いだろう。
30、31日には日銀金融政策決定会合が開かれ、31日には結果が公表され、展望リポートが発表される。政策は現状維持が見込まれ、物価は上昇基調にあるとの見方が維持され、物価上昇率に関しては2019年頃に2.0%程度に達するとの見方を維持しよう。
10月30、11月1日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、1日に結果が発表される。イエレンFRB議長の会見は予定されていないため、政策変更もなさそうだ。
今週は、日米の金融イベントよりも米国の経済指標に重点が置かれるだろう。30日の9月コアPCEデフレーターと11月3日の10月雇用統計が注目されるだろう。9月雇用統計では、非農業部門就業者数がマイナスに落ち込んでいたため、10月の雇用統計でこれが回復しているかどうか、また、平均賃金が引き続き上昇しているかが注目される。これらが良好であれば、ドル買い要因となろうが、すでに12月の利上げが9割方織り込まれているため、ドルの上昇も限定的と予想する。
11月に入れば、トランプ大統領のアジア歴訪(11月3-14日、訪日は5-7日)が意識されるが、2国間の通商問題が為替相場に影響を与えるようになるのではないか。半期に一度の「為替報告書」では、日本か監視国の対象となっており、トランプ大統領来日では、徐々に円高圧力がかかる可能性が考えられる。また、しばらく鳴りを潜めている北朝鮮の挑発的な行動も警戒される。
<主な経済指標>
*30日に9月米コアPCEデフレーター、1日に10月米消費者信頼感指数、1日に月米ADP雇用統計、10月米ISM製造業景況指数、10月米新車販売台数、3日に米10月雇用統計、米9月貿易収支、米10月ISM非製造業景況指数など。
*予想レンジ:112.00円~115.00円
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