2018年03月
3月29日の海外相場および市況
*29日のNY外国為替市場では、グッドフライデー(聖金曜日)に伴う連休を前に、米長期金利の低下を背景にドル売り・円買いが優勢となり、ドル円相場は106円台前半に下落した。前日の急騰を受けて利益確定売りが出て、米長期金利の低下もあって一時106円27銭まで下落した。インフレ指標として注目されていた2月米個人消費支出(PCE)物価指数は、コアが前月比0.2%上昇、前年同月比1.6%上昇となったが、いずれも市場予想と一致したため、材料視されなかった。本日は、東京時間に2月有効求人倍率・労働力調査、東京都区部消費者物価、2月鉱工業生産・出荷・在庫が発表される。欧米はイースターで休場。
*29日のNY金は3日続落。ドルが対ユーロで上昇し、ドル建て金は割高感から売りが優勢となった。元ロシア情報員殺人未遂事件をめぐる米欧諸国とロシアの対立や米中間の貿易摩擦問題など、世界的な不確定要素が引き続き相場を下支えしているもよう。NY白金はドル高を受けて3日続落。
*29日のNY原油は、イースター(復活祭)に伴う休場を前に持ち高調整の買いが入り、4日ぶりに反発。 石油輸出国機構(OPEC)のバーキンド事務局長は28日、協調で減産に取り組んでいるロシアなど非加盟国との間で「非常に長期にわたる」協力を模索していると発言。また複数の関係筋からは、6月22日のOPEC総会での見直し協議では、この協調減産措置を年内いっぱい継続する方向との情報が伝えられた。ただ、ドルが対ユーロで上昇しうたため、ドル建て原油は割高感から売りが優勢となった。
最新の米石油掘削リグ稼働数は前週比7基減の計797基となり、3週ぶりにマイナスに転じた。
*29日のシカゴトウモロコシは大幅反発。米農務省は2018年の米トウモロコシ作付面積を8802万6000エーカーと予想。2017年の9016万7000エーカーを下回り、アナリスト予想平均(8942万エーカー)にも届かなかった。3月1日時点の米トウモロコシ在庫は88億8800万ブッシェルと、事前予想を上回ったが、市場では材料視されなかった。
*29日のシカゴ大豆は大幅反発し、2週間ぶりの高値を付けた。米農務省が示した2018年の米大豆作付面積見通しは、8898万2000エーカーと、2017年の9014万2000エーカーを下回り、アナリスト予想平均(9105万6000エーカー)に届かなかった。3月1日時点の米大豆在庫は21億07000万ブッシェルと、予想平均の20億3000万ブッシェルを上回ったが、材料視されなかった。
*29日のNYダウは反発。値頃感からハイテク株に買い戻しが入り、相場全体を押し上げた。堅調な原油相場を好感してエネルギー株にも買いが集まり、一時465ドル高まで上昇した。月末、四半期末の持ち高調整の買いも入ったよう。
【30日の経済指標】
*NZ、豪州、ロンドン、NY、メキシコ休場(イースター休暇)
08:30 (日) 2月失業率 2.4%
08:30 (日) 2月有効求人倍率 1.59
08:30 (日) 3月東京都区部消費者物価指数 (生鮮食品除く:前年比) +0.9%
08:50 (日) 2月鉱工業生産・速報 (前月比) -6.8%
【31日の経済指標】
10:00 (中) 3月製造業PMI 50.3
10:00 (中) 3月非製造業PMI 54.4
第159回 『おしえて陳さん』
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3月29日(木)国内終値
3月28日の海外相場および市況
3月29日(木)
【3月28日の海外相場および市況】
*28日のNY外国為替市場のドル円相場は、米中間の貿易摩擦激化に対する警戒感が後退する中、四半期末要因などによる円売り・ドル買いが進行し、106円台後半に上昇した。月末や四半期末、年度末要因による円売り・ドル買いが進行。また、米中「貿易戦争」に対する懸念が緩和し、リスク回避姿勢が後退したたため、安全通貨の円は売り戻され、ドル円は一時107円01銭まで上昇した。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表ら政権当局者によると、トランプ大統領が発表した総額500億ドル超の中国製品に対する関税措置は6月まで導入されない可能性。パブリックコメント(意見募集)期間や修正作業などで60日はかかると見込まれるため。2017年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)確定値が季節調整済み年率換算で前期比2.9%増と、2月末発表の改定値(2.5%増)から上方修正されたこともドル買い要因となった。本日は欧米時間に3月独雇用統計、3月独消費者物価、2月米個人消費支出(PCE)物価、米週間新規失業保険申請件数、3月シカゴ景況指数、3月米ミシガン大消費者景況感指数確報値など。
*28日のNY金は、ドル高・ユーロ安の進行を受けて続落。2017年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)確定値が季節調整済み年率換算で前期比2.9%増と、2月末発表の改定値(2.5%増)から上方修正されて、ドル高・ユーロ安が進行し、ドル建て金に割高感が生じたため、売りが優勢となった。ただ、元ロシア情報員暗殺未遂事件をめぐる米欧とロシアの対立や米中間の貿易摩擦問題など、地政学的な不確定要素が存在するため、下値は比較的底堅かった。NY白金はドル高を受けて続落。
*28日のNY原油は、米エネルギー情報局(EIA)の週報で原油在庫の積み増しが示されことが嫌気されて3日続落。EIAが発表した週間在庫統計では、原油在庫が前週比160万バレル増と、市場予想の30万バレル減に反して積み増しとなった。また、米国内の原油生産量が前週比で増加し、記録的な日量1043万300バレルに達していたことも明らかになった。受け渡し地点のオクラホマ州クッシングの在庫も180万バレル増加していた。これを受けて下げ幅が拡大し、一時は63.72ドルまで下落した。サウジアラビアのムハンマド皇太子は27日、同国とロシアが、減産協定を長期化することを検討していると明らかにした。
*28日のシカゴトウモロコシは小幅安。米農務省による作付け意向面積と四半期在庫の公表を翌日に控え、ポジション調整が中心だった。2018年の作付け意向面積は、前年比で縮小すると予測されている。3月1日時点の四半期在庫は、ここ数年の豊作を反映し1920年代以降で最高水準になると予想されている。シカゴ大豆は続落。米農務省による作付け意向面積と四半期在庫の公表を翌日に控え、ポジション調整となった。
*28日のNYダウは小幅続落。前日の大幅安で割安感の出た銘柄を中心に買いが入り、一時230ドル超上げる場面もあった。ただ、この日は、アマゾンが重石となった。トランプ大統領がアマゾンを独占禁止法による訴追や課税強化で追い詰めることに「執着している」と報じ、同社株は急落した。また、カリフォルニア州で発生したスポーツ用多目的車(SUV)「モデルX」の死亡事故を受けて当局が調査に入ったテスラも売られ、ダウ全般が売りが優勢となった。
【29日の経済指標】
(墨) メキシコ休場(イースター休暇)
06:45 (NZ) 2月住宅建設許可 (前月比) +0.2%
08:01 (英) 3月GfK消費者信頼感 -10
16:00 (トルコ) 10-12月期GDP (前年比) +11.1%
16:55 (独) 3月失業者数 -2.2万人
16:55 (独) 3月失業率 5.4%
17:30 (英) 2月消費者信用残高 +14億GBP
17:30 (英) 10-12月期経常収支 -228億GBP
17:30 (英) 10-12月期GDP・確報 (前期比) +0.4%
(英) 10-12月期GDP・確報 (前年比) +1.4%
18:30 (南ア) 2月生産者物価指数 (前年比) +5.1%
21:00 (独) 3月消費者物価指数・速報 (前年比) +1.4%
21:00 (南ア) 2月貿易収支 -277億ZAR
21:30 (加) 1月GDP (前月比) +0.1%
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 22.9万件
21:30 (米) 2月コアPCEデフレーター (前月比) +0.3% +0.2%
(米) 2月コアPCEデフレーター (前年比) +1.5%
21:30 (米) 2月個人所得 (前月比) +0.4% +0.4%
21:30 (米) 2月個人消費支出 (前月比) +0.2% +0.2%
22:45 (米) 3月シカゴ購買部協会景気指数 61.9 61.5
23:00 (米) 3月ミシガン大消費者信頼感指数・確報 102.0 102.0
第158回 『おしえて陳さん』
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3月28日(水)国内終値
東京金は上値追いの可能性
【東京金は上値追いの可能性】
*先週のNY金は上昇した。21日に終了した米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の予想通りに政策金利は1.50%から1.75%に引き上げられた。市場が注目していた2018年の利上げペースは、12月時点と同じく年3回(残り2回)となった。声明内容がハト派的と受け止められ、ドルが下落し、ドル建て金は割安感から上昇した。
トランプ大統領は22日、中国の知的財産権侵害に対する貿易制裁の発動を決定し、最大600億ドル規模の中国製品に25%の関税を課す見通しとなった。23日には主に中国を標的とした鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置も発動した。これに対し中国は同日、米国産豚肉などに関税を課す報復措置を発表。米中が「貿易戦争」に突入する可能性が高まったことから、世界的に株価が急落し、安全資産である金が買われた。一時1350ドルを越え、レンジの上限をブレイクする反発を見せた。
利上げペースが加速しそうにないとの見方から米長期金利は上値を切り下げている。また、米中貿易戦争の激化とその影響が懸念され、金の現物需要が少しづつ増加しており、これも金相場には追い風だろう。NY金は従来のレンジの上限と見られていた1350ドルをブレイクする場面もあり、年初来高値の1365.4ドル(1月25日)を更新する可能性が出てきた。
*NY金予想レンジ=1330~1370ドル
*CFTC建玉3月20日時点:ファンドの金買い越しは14万8731枚(前週比-1万9217枚)と減少。総取組高は54万5499枚と前週比1万8737枚の増加。
*先週の東京金は上昇し、短期的な上値抵抗線である4500円をブレイクした。104円台までの円高が進行したにもかかわらず、NY金が大幅上昇したため、東京金もようやく上昇基調に転じたようだ。FOMCで利上げが決定された後は、「ドル安・金高」が進行していたが、今回もそのパターンが踏襲された。今回はこれと同時に米中貿易戦争という大きな材料が飛び込んできたため、リスクオフモードが増幅された。
もっとも、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が25日、米中両国が通商問題の解決に向けて水面下で交渉を開始したと報道。ムニューシン米財務長官とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が、中国の劉鶴副首相に宛てた書簡で、貿易不均衡是正に向け米政府側の具体的な要求を提示した。ムニューシン財務長官は交渉を推進するために中国訪問も検討しているという。この報道を受けて、先週高まった米中貿易戦争突入への警戒感が和らいだ。
しかし、米国や欧州連合(EU)各国は26日、英国で起きた神経剤による元ロシア情報員暗殺未遂事件への対抗措置として、ロシア外交官を追放する方針を決定した。ロシアが報復措置を取るのは必至で、米欧との対立がさらに深まるのではないかとの懸念が強まり、安全資産としての金が買われた。FOMC前に戻していたドル指数は再び下落に転じ、ドル安トレンドに回帰しており、ドル安が金を押し上げていく展開も続くだろう。東京金は年初高値4754円(1月9日)と年初安値4438円(3月19日)の半値戻しである4600円を超えてくれば、全値戻しが視野に入ってくる。
*東京金予想レンジ:4520~4620円。
情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。
白金は金に連れ高か
【白金は金に連れ高か】
*先週の東京白金は下落した。金が株価の下落を受けて安全資産として買われるのに対し、白金は産業用貴金属のため、株安はマイナス要因となった。ただ、それ以上に市場は、白金最大の生産国である南アフリカに対する格付けに注目していた。
格付け会社ムーディーズは、昨年、南ア国債を格下げの方向で見直すとし、3月23日に発表するとしていた。すでにS&P社により格下げされていたため、ラマポーザ新大統領はこれを懸念し、新体制になってすぐに付加価値税(VAT)の導入を決定し、財政再建の道筋を示した。昨年第4四半期GDPが予想以上に加速していたことに加え、政治的な安定も考慮されて、格付けは据え置きとなり、見通しは「ネガティブ」から「安定的」に引き上げられた。これを好感して、週明けの南アフリカの通貨ランドは上昇し、白金相場も押し上げられた。
27日の東京白金は、前日比+1.9%も上昇し、3200円のサポートラインを確認した格好になった。米中の貿易摩擦の激化懸念も緩和される状況になる可能性が出てきたことも白金相場には追い風となろう。ただ、同じ白金族のパラジウム相場の上値が重くなっているため、白金相場の上昇も限定的か。金に連れ高となる展開が続きそうだ。
*東京白金予想レンジ:3250~3350円。
*CFTC建玉3月20日時点:ファンドの白金買い越しは2万9071枚(前週比-4362枚)と減少。総取組高は7万8021枚と前週比1204枚の減少。
*白金と金の逆ザヤ幅は、2月23日に-1131円まで縮小していたが、白金相場の下落基調が強まり再び-1200円を下回った。逆ザヤ縮小は一休みだろう。-1200円を軸に保ち合いとなりそうだ。
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3月27日の海外相場および市況
*27日のNY外国為替市場のドル円相場は、NYダウの大幅下落を嫌気して105円台前半に反落した。ナバロ通商製造業政策局長は26日、トランプ米大統領がムニューシン財務長官とライトハイザー通商代表部(USTR)代表に対し、中国との貿易紛争解決を試みるよう指示したことを認めた。これを受けて、米中間の貿易摩擦激化に対する過度の警戒感が和らいだ。これを受けて、NYダウも堅調に推移していたが、ハイテク企業の業績悪化懸念が強まると反落に転じ、下げ幅の拡大に伴って安全通貨である円が買われた。
*27日のNY金は、5日ぶりに反落した。米中「貿易戦争」を警戒した過度のリスクオフムードが後退する中、安全資産としての金買いは後退した。また、ドルが対ユーロで上昇し、ドル建て金に割高感が生じたため、売りが優勢となった。ただ、英国で起きた元ロシア情報員暗殺未遂事件をめぐる米欧とロシアの対立が先鋭化するとの警戒感もあって、金相場の下値は支えられた。米政府は26日、欧州諸国と連携し、元ロシア情報員暗殺未遂事件への対抗措置としてロシア外交官を追放する方針を決定。これに対し、ロシア側も対抗措置を取ると警告している。NY白金は金に連れて反落。
*27日のNY原油は続落。サウジアラビアのムハンマド皇太子はこの日、石油輸出国機構(OPEC)とロシアが協調減産措置の長期延長を検討していると発言。また、欧米諸国とイランが2015年に締結した核合意について、トランプ大統領が離脱の意思を表明していることなども受けて、一時66.41ドルまで上伸した。しかし、高値警戒感やNYダウの下落を受けて利益確定売りが優勢となり反落に転じた。
*終了後に発表された米石油協会(API)による週間在庫統計では、原油在庫が530万バレルの増加だった。市場予想は48.7万バレルの減少。これを受けて電子取引は64.84ドル(-0.41)と続落。
*27日のシカゴトウモロコシは、米農務省の統計を控えて横ばい。29日発表の作付け意向面積報告では、2018年の米国産トウモロコシの作付面積が前年を下回ると予想されている。また、ここ数年にわたる豊作で、3月1日時点の四半期在庫が1920年代以降で最高水準まで増加すると予想されている。シカゴ大豆は続落。米農務省が29日に公表する作付け意向面積報告と四半期在庫の統計を控え、ポジション調整の売りが出た。今回の作付け意向面積報告では、2018年の米国産大豆の作付面積が史上最高となる9110万エーカーと予想されている。また、ここ数年にわたる豊作で、3月1日時点の大豆の在庫も史上最高に達するとみられている。
*27日のNYダウは大幅反落。前日は米中「貿易戦争」への過度の警戒が後退して669ドル高と過去3番目の上げ幅で終了。米側は自動車関税引き下げや米国製半導体の購入増、金融分野の外資規制の緩和を求めていると報じられ、水面下で始まった交渉の進展への期待感から、この日は一時240ドル超上昇する場面もあった。しかし、米配車大手ウーバー・テクノロジーズの自動運転車の死亡事故を受け、昼過ぎにエヌビディアが全世界で自動運転の公道試験を停止したと報じられると同社株が急落し、ハイテク株全般が売られ、ダウ全般を押し下げた。2016年の米大統領選で利用者の個人情報が不正利用されていた問題に揺れるフェイスブックも引き続き相場の重石となっている。27日には同社のザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が米議会で証言する意向と報じられ、個人情報を扱うIT企業に対する規制強
化への警戒が高まっている。
【28日の経済指標】
09:00 (NZ) 3月ANZ企業景況感 -19.0
21:30 (米) 2月卸売在庫 (前月比) +0.8%
21:30 (米) 10-12月期GDP・確報 (前期比年率) +2.5% +2.5%
21:30 (米) 10-12月期個人消費・確報 (前期比年率) +3.8%
21:30 (米) 10-12月期GDPデフレーター・確報 (前期比年率) +2.3% +2.3%
21:30 (米) 10-12月期コアPCEデフレーター・確報 (前期比年率) +1.9%
23:00 (米) 2月中古住宅販売保留件数指数 (前月比) -4.7% +1.5%
未定 (南ア) SARB政策金利発表 6.75%
第158回 『おしえて陳さん』
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3月27日(火)国内終値
ドル円相場、今週の展望
【ドル円相場、今週の展望】
今週のドル円は、戻り売り優勢の展開が続きそうだ。週明け26日の東京市場のドル円相場は、月末・期末の実需のドル買い一時105円台を回復した。先週から104円台では本邦個人投資家のドル買いも入り、やや底堅さを見せている。ただ、トレンドは依然としてドル安・円高で、ドル円の戻りは売りが優勢となろう。ドル円は国内の政治リスクや「貿易戦争」懸念を材料に売りやすくなっている。心理的節目の105円を割りこんだことでテクニカル的にも悪化している。弱材料が重なれば103円台への急落も想定される。一方、貿易摩擦への懸念が後退し、世界的に株価が回復すれば、106円台への戻り場面があるかもしれない。
先週21日、米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ(1.50%⇒1.75%)が決定され、今年の利上げ回数は12月時と同じ3回が想定されたが、来年と再来年の利上げペースに関しては加速が示唆された。長期的にはタカ派的な見方になったが、市場は年内の利上げペースに関心を集めており、FOMC終了後はドル売りが優勢となった。トランプ大統領は22日、中国製品に対し最大600億ドルの関税を課すことを決定した。さらにマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を解任し、対外強硬派のジョン・ボルトン氏を後任に充てた。市場のリスク回避的な動きが強まり、ドル円は東京時間に一時104円63銭まで下落し、1年4カ月ぶりの安値を付けた。これに対し中国側も報復措置を決定し、米国債の売却を仄めかすなど「貿易戦争」激化が懸念され始めている。ムニューシン財務長官は25日、トランプ大統領は姿勢を軟化させるつもりはなく、貿易戦争も恐れていないと語った。
日本では27日、財務省による決済文書書き換え問題について、佐川前国税庁長官の証人喚問が行われる。麻生太郎財務相や安倍晋三首相の責任問題に発展し、アベノミクス継続が危惧されれば株価が下落し、円高が進行する可能性が高まるだろう。チャート的には101円台まで目立った節目がないため、ファンドの売りが活発化する可能性がある。一方、節目の105円を割り込んだことで、本邦個人投資家のドル買いが入ってきているようだ。国内の機関投資家や実需筋などのドル買いも期待されている。しかし、米中貿易戦争の落とし所が見えてこない以上、ドル買いにも限界があり、ドル円は戻り売りが優勢となろう。
*CFTC建玉3月20日時点:ファンドのドル買い・円売りは2万1999枚(前週比-5万7540枚)と大幅減少。総取組高は16万0250枚と前週比11万9421枚の大幅減少。ファンドのドル買いポジションは大幅に減少し、先週の105円前半から105円割れでは、本邦個人投資家のドル買いがかなり入った可能性がある。今後、ファンドが新たなドル買いポジションを構築するのか、あるいはドル売りに転じていくのか注目される。
<主なイベント・経済指標>
*26日は米2年債入札、27日は日本・佐川前国税庁長官証人喚問、米国3月消費者信頼感指数、米5年債入札、28日は米国第4四半期GDP、米国2月中古住宅販売成約、29日は米国2月個人所得、米国2月個人支出、新規失業保険申請件数など。なお、30日の米国市場は休場(Good Friday)。
*予想レンジ:103.00円~106.00円
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※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。