テクニカルマイスター

商品、為替、株式相場を,ファンダメンタルズとテクニカルから思いつくままに分析。

2018年05月

【5月23日(水)国内終値】
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【 白金は売られ過ぎの反動で反発か】
*先週の東京白金は下落した。白金独自の需給要因は弱い。英貴金属製錬大手ジョンソン・マッセイは14日、2018年の白金は供給過剰が強まるとの予想を発表した。鉱山からの供給が伸び悩む一方、自動車触媒や投資需要が大きく減少すると予想されている。

供給過剰量は2017年の約3.1トンから約9.8トンに拡大する見通し。白金は需要の4割をディーゼル車の排ガス触媒向けが占めているが、主力市場の欧州で、ディーゼル車は生産台数が減っているほか、技術革新の影響で1台あたりの使用量も減少する傾向にある。投資分野では日本の個人投資家による白金地金の購入が鈍るほか、世界の上場信託投資(ETF)需要も減ると予想、2017年比では3割減が見込まれている。こうした背景のもと、ドル高・金安を受けて白金も売りが優勢となった。

ただ、週明け21日のNY市場は大幅反発となった。これは原油高に伴い商品市況全般が上昇していること、パラジウムの急反発に連れ高となったこと、ファンドの買い玉が減少し、内部要因的に軽くなったことが考えられる。

ジョンソン・マッセイによると、パラジウムは約7.4トンの供給不足となる見通し。ロシアなど生産国からの供給は増えるが、需要の8割を占めるガソリン車向け需要が過去最高を更新すると予想されている。パラジウムには先高期待が強いため、同じ白金属である白金も連動して買われていく可能性は高い。

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*東京白金予想レンジ:3180~3280円。

*CFTC建玉5月15日時点:ファンドの白金買い越しは8196枚(前週比-2192枚)と減少。総取組高は8万0140枚と前週比271枚の減少。

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*白金と金の逆ザヤは、4月26日に1429円と過去最大幅を記録した。その後は売られ過ぎからやや縮小したが、再び拡大に向かっているようだ。


情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。

【 東京金は4600円を軸としたレンジで保ち合いが続きそう】 

*先週のNY金は下落した。米長期金利が再び3.0%の大台に乗せたことを受け、主要通貨に対してドルが上昇し、ドル建て金は割高感に押された。加えて、4月米小売売上高が2カ月連続のプラスとなったほか、5月NY製造業景況指数も市場予想を上回る水準に改善した。堅調な統計から米景気の順調な成長が予想され、NYダウは堅調に推移した。

中東情勢では、パレスチナ自治区ガザで米大使館のエルサレム移転に対する抗議デモを行うパレスチナ人にイスラエル軍が発砲し、数十人が死亡したため地政学リスクは高まったが、ラマダン入りと共にデモは鎮静化し、金買いも先細った。

金利上昇や堅調な株価を受けて、利子を産まない金の需要は後退し、金ETFは減少した。一連の弱材料を背景にNY金は200日移動平均線を下回り、節目の1300ドルも割り込んだ。

ただ、昨年5月からのパターンでは、200日移動平均線を下回ると10営業日程度の下落が続くが、相対力指数(RSI) が30%に達すると、そこで底入れを形成している。RSIは34%台まで低下しているため、現状の1280ドルを下回る安値では警戒感が強まり、下げ止まる可能性が高まるだろう。

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*NY金予想レンジ=1270~1320ドル

*CFTC建玉5月15日時点:ファンドの金買い越しは9万2443枚(前週比-1万4997枚)と減少。総取組高は51万9958枚と前週比2万8560枚の増加。
   
*米長期金利上昇が3.1%まで上昇し、金利先高観が強まっている。ドルインデックスは5ヶ月ぶりの高値に上昇し、為替市場ではドル高基調が強まっている。ドル円は111円台まで円安が進行した。ドル高によりドル建て金は割高感が強まるため、NY金は下落する傾向があるが、東京金は円安がサポート要因になっている。NY金がレンジ節目の1300ドルを下回ったため、東京金も4600円を下回ったものの、4550円では下ヒゲを引き下落に抵抗を見せた。

6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げがほぼ確実視されており、ドル高(円安)基調が続くことが予想されるため、東京金は上値の重い展開が続きそうだ。ただ、米金利上昇のスピードが加速する場合、長期金利の上昇がもたらすリスクが意識されるだろう。株式市場では上値を抑えられ、新興国市場ではドル債務の増加や海外からの投資資金が流出する。すでにアルゼンチンやトルコでそういった流れが強まっているが、これがさらに広まる場合、長期的にはリスクオフモードが強まり、金が買われてくる可能性がある。

中東情勢はひとまず落ち着いているが、これはラマダンの影響によると思われる。ラマダン明けとなる6月中旬以降は、再びデモが起きる可能性がある。また、ポンペオ米国務長官は21日、イランに「史上最強の制裁を科す」と包括的戦略を発表したが、この地域の緊張が懸念される。短期的には上値が重いと予想されるが、反転する材料に注意したい。

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*東京金予想レンジ:4570~4650円。


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5月23日(水)
【5月22日の海外相場および市況】
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*22日のNY外国為替市場のドル円相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表を翌日に控えて様子見姿勢が強まり、110円台後半で小動きとなった。中国政府はこの日、最大25%の自動車輸入関税を7月1日付で15%に引き下げると発表したことなどを背景に、米中間の貿易摩擦に対する警戒感が後退。これを受け、安全通貨である円を売ってドルを買う動きが若干優勢だった。ただ、NY市場に入ってからは、米経済指標の発表がなく新規材料にも乏しかったため、小幅なレンジで推移した。翌日には米連邦準備制度理事会(FRB)がFOMC議事要旨を発表する予定で、様子見ムードも強まった。

*22日のNY金は小反発。ドルが対ユーロで下落し、ドル建て金に割安感が生じた。中国政府が22日、最大25%の自動車輸入関税を7月1日付で15%に引き下げると発表。中国による対米貿易摩擦の解消に向けた動きなどが好感され、投資家のリスク選好意欲が高まったことから、安全資産とされる金の需要は減退した。翌日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表が予定されているため、様子見ムードも強まった。NY白金は続伸。

*22日のNY原油は、世界的な供給逼迫懸念を背景に買いが先行したものの、あと売り戻され、ほぼ横ばいとなった。トランプ大統領は前日、反米左派のニコラス・マドゥロ大統領が再選されたベネズエラに対して新たな経済制裁を科す大統領令に署名。石油などのベネズエラ資産に絡む売掛債権取引などへの米国人の関与を禁止した。原油高や世界的な原油在庫減少で供給逼迫が深刻化する中、ベネズエラの原油生産の落ち込みが強材料視された。また、米国による対イラン経済制裁の再発動方針を受けた供給停滞懸念もあり、一時72.83ドルまで上昇した。しかし、その後は利益確定売りが優勢となり、上値を削る展開になった。トランプ大統領が、最近の米中貿易協議に満足していないと発言したことも嫌気された。米国産シェールオイルの増産の動きに対する警戒感が根強いことも、上値を抑える要因になった。

*石油輸出国機構(OPEC)が6月にも産油量の引き上げを決定する可能性があることが22日、関係筋の話で明らかになった。イランとベネズエラからの供給を巡る懸念が出ていることなどが背景にあるとしている。OPEC加盟国と非加盟のロシアなどの産油国は2018年末まで減産することで合意している。ただ、「すべての選択肢が検討されている」とし、OPECは早くて6月にも産油量の引き上げを決定する可能性があるとした。

*ロシア・エネルギー省のマーシャビン国際協力局長は22日、は石油輸出国機構(OPEC)との協調減産が2019年まで延長される可能性を除外していないと述べた。OPEC加盟国とロシアを含む非加盟産油国は6月、ウィーンで会合を開く予定。

*22日のシカゴトウモロコシは続伸。小麦相場の上昇に追随したほか、米中間の貿易摩擦が和らいだことで、米国産飼料穀物の需要が高まるとの期待感が生じた。米農務省が21日に発表したクロップ・プログレス(20日現在)によると、トウモロコシの作付け進捗率は81%となり、過去5年平均と一致。市場予想平均の80%を上回った。シカゴ大豆は、米中貿易摩擦緩和で続伸。クロップ・プログレス(20日現在)によると、大豆の作付け進捗率は56%となり、市場予想平均や過去5年平均を上回った。

*22日のNYダウは反落。中国政府はこの日、自動車の輸入関税を7月1日付で現行の25%から15%に引き下げる方針を発表。また、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米政府が中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)に発動中の制裁を見直すことで中国政府と大筋合意したと報じた。米中貿易摩擦の解決に向けた両政府の協議が前進していることが好感されたが、前日の大幅高を受けて資本財銘柄などに利益確定の売りも出たため、上値は重くなった。その後、トランプ大統領が、米中貿易摩擦をめぐる前週の閣僚級協議の結果について「満足していない」と発言。ZTE制裁に伴う罰金が13億ドル(約1400億円)に上る可能性にも言及したため、二大経済大国による「貿易戦争」突入への警戒感が再浮上し、NYダウはマイナス圏に沈んだ。


【23日の経済指標】
16:30 (独) 5月製造業PMI・速報 58.1
16:30 (独) 5月サービス業PMI・速報 53.0
17:00 (EU) 5月製造業PMI・速報 56.2
17:00 (EU) 5月サービス業PMI・速報 54.7
17:00 (南ア) 4月消費者物価指数 (前年比) +3.8% +4.6%
17:30 (英) 4月消費者物価指数 (前年比) +2.5%
17:30 (英) 4月小売物価指数 (前月比) +0.1%
      (英) 4月小売物価指数 (前年比) +3.3%
17:30 (英) 4月生産者物価指数 (前年比) +2.4%
23:00 (米) 4月新築住宅販売件数 69.4万件 68.0万件
      (米) 4月新築住宅販売件数 (前月比) +4.0% -2.0%
23:00 (EU) 5月消費者信頼感・速報 0.4
27:00 (米) FOMC議事録(5月1・2日分)


第165回 『おしえて陳さん』 
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【5月22日(火)国内終値】
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【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は、下落した。米長期金利の上昇を背景に「ドル買い・メキシコペソ売り」が継続している中、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る不透明感からメキシコペソは下落した。トランプ大統領は、満足のいくものでなければNAFTA離脱もあると示唆した。NAFTA交渉の不調も嫌気された。

17日、メキシコ中央銀行は、政策金利を予想通り7.50%に据え置いた。メキシコ中銀は、現在のメキシコペソの下落は、国内要因やNAFTAを巡る問題が要因であり、今後も、メキシコ大統領選やNAFTA問題で、さらに下落する可能性があるが、必要に応じて利上げ等の措置を行うと述べた。

*今週のメキシコペソ円は、上値の重い展開が続くだろう。先週、メキシコ中銀は政策金利を据え置いたが、5月9日に発表されたインフレ率は年率4.55%と前回の5.04%を下回り、直近の2018年第1四半期GDP成長率は+1.2%と2017年第4四半期の年率+1.5%から低下している。このような状況で、利上げは決定されるべくもないが、2016年に始まった利上げサイクルは既に終了したとの見方が強い。米金利に先高観が出ている中で、メキシコの利上げサイクルが終了したとなれば、「ドル買い・メキシコペソ売り」が継続しよう。

北米自由貿易協定(NAFTA)について、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、合意からほど遠いとの認識を示した。米政府は現行の議会で承認するため5月17日までの合意を目指していたが不調に終わった。一方、NAFTA再交渉協議についてカナダのトルドー首相は、「前向き」に感じていると述べたほか、メキシコのグアハルド経済相は今月末までに妥結する可能性があるとの見方を示した。メキシコのグアハルド経済相は「来週までに条件が設定されれば、5月末までの妥結を阻むものはなくなる」とし、今月末までに妥結する可能性はあると指摘。ただ、何も合意が得られなければ、協議は7月1日に予定されているメキシコ大統領選挙後にもつれ込むとの見方を示した。

さて、7月1日に実施されるメキシコ大統領選では、独立候補のマルガリータ・サバラ氏が撤退を表明した。サバラ氏は直近の世論調査で支持率が2.7%と、5人の候補者中最低に落ち込んでいた。市場では、サバラ氏の撤退が、企業寄りで現在2番手の位置にある「メキシコのための前進」のリカルド・アナヤ氏を利するのではないかとの観測が浮上し、通貨ペソを押し上げる場面があった。しかし、直近の世論調査では、元メキシコ市市長の左派候補アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏の支持が圧倒的に高く、アナヤ氏に12%ポイントを超える差をつけている。米国に対抗意識を持つオブラドール氏が優勢を維持しているようだ。大統領選も流動的であり、ペソが買われる可能性は低いだろう。

【メキシコ経済指標】
5月21日月曜日
25:00メキシコ3月小売販売前年比前回1.2%  予想0.9%

5月22日火曜日
25:00メキシコ第1四半期GDP前年比前回1.5%  予想1.6%

5月23日水曜日
25:00メキシコ隔週消費者物価指数前年比前回4.69%  予想4.1%

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*予想レンジ:5.50円~5.60円


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【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。米長期金利の上昇を背景に「ドル買い・トルコリラ売り」が継続している。これに加えて、トルコ中央銀行が、2桁台に加速する物価上昇率を抑制できないのではないかとの懸念が売りを一段と強めている。4月の消費者物価指数(CPI)は前年比で10.85%上昇し、トルコ中銀のインフレ目標である5.0%を大きく上回っている。

一方、トルコ中央銀行は4月、実質的な政策金利となる後期流動性窓口金利を0.75%ポイント引き上げた。次回の金融政策決定会合は6月7日に開かれるが、エルドアン大統領が利下げを示唆しているため、市場はトルコの金融政策に対して疑いの目を向けている。また、6月24日に同時実施される議会選と大統領選を巡る不透明感も圧迫要因となっているようだ。

*今週のトルコリラ円は、下落基調が続きそうだ。先週14日、エルドアン大統領は政府代表団を率いて、ロンドンで有力機関投資家に経済政策の説明会を開いた。通貨リラの急落に見舞われいるトルコとしては、政策運営に安心感を持ってもらう狙いだったが、出席した投資家の間には「衝撃と不信感」が広がった。エルドアン大統領が景気刺激のための金利引き下げを目指しながら、物価上昇と通貨安に歯止めをかけるという計画を述べたことが、投資家の不信感を増大させたようだ。通常、通貨安やインフレ率の上昇に対処するためには利上げを行う。

エルドアン大統領は物価抑制には金融引き締めで対応するという金融政策の理論を無視している。ドル高や原油価格の上昇がトルコ経済を直撃している。15日には、エルドアン大統領が6月24日の大統領選と国会総選挙後に経済の統制を強化する意向を示すと、中央銀行の物価コントロール能力を巡る不安が強まり、トルコリラは対ドルで過去最安値を更新した。

インフレが国民生活を圧迫している中で、6月24日に大統領選挙が行われるが、選挙でエルドアン大統領が勝利した場合、金融政策への関与を強めると発言しており、市場は政治リスクへの警戒を強めそうだ。


【トルコ経済指標】
23日水曜日
16:00トルコ5月消費者信頼感指数 前回71.9

25日金曜日
20:30トルコ5月景気動向指数[季調済] 前回106.8
20:30トルコ5月設備稼働率 前回77.3%


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*予想レンジ:24.00円~25.00円


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5月22日(火)
【5月21日の海外相場および市況】
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*週明け21日のNY外国為替市場のドル円相場は、米中貿易摩擦をめぐる懸念が後退し、111円近辺で推移した。米中両政府は19日に共同声明を発表し、米国の対中貿易赤字の大幅な削減に向け、中国が効果的な取り組みを進めていくことで一致。さらに、両国がともに関税引き上げなどの措置を棚上げすることで合意したため、市場では貿易摩擦激化に対する懸念が後退した。これを受け、「安全通貨」であるとされる円が売られドルを買い戻す動きが強まった。ただ、この日は特に材料もなく、欧州時間に111円40銭まで上昇していたため、利益確定売りが出て、ドルの上値を抑えた。ムニューシン米財務長官は21日、米CNBCテレビのインタビューで、「ドルは世界で最も流動性がある。長期的に見れば、強いドルは米国にとって良いことだ。ドル相場は米国の経済と投資の成功を反映する」と語った。

*週明け21日のNY金は、米中貿易摩擦の懸念後退を受けて売りが先行したものの、徐々に買い戻され、ほぼ横ばいとなった。米中両政府は19日に共同声明を発表し、米国の対中貿易赤字の大幅な削減に向け、中国が効果的な取り組みを進めていくことで一致。また、ムニューシン米財務長官が前日とこの日、今回の米中貿易協議では「互いに関税を課すのを控えることで一致した」と表明したほか、「大きな前進があった」と成果を強調したことから、市場では貿易摩擦激化に対する懸念が後退した。これを受け、「安全資産」である金は売られ、一時1281.20ドルまで下げた。しかし、その後はドルが対ユーロが下落すると、ドル建て金に割安感が生じ、買い戻しが活発化した。ただ、米長期金利の高止まりから、金利を生まない金の上値は重かった。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が6月に利上げに踏み切るとの観測も、金相場には重石となっている。NY白金はパラジウムの上昇に連れて反発。

*週明け21日のNY原油は、米中通商協議の進展などを好感した買いに反発。終値は2014年11月下旬以来約3年半ぶりの高値を更新。米中両政府は19日、貿易摩擦解消に向けた2日間の協議を終え、中国が米国産農産物やエネルギーを大量に輸入する一方、両国がともに関税引き上げなどの措置を棚上げすることで合意したとの共同声明を発表した。また、20日のベネズエラ大統領選で反米左派のニコラス・マドゥロ大統領の再選が決まったことを受け、同国産原油の生産量が米国の経済制裁強化によって一段と落ち込む可能性があるとの懸念が浮上した。トランプ大統領はベネズエラによる国有資産の売却能力を制限する大統領令に署名した。ベネズエラの資金調達や物流、電力供給が制限されれば、同国の石油生産が一段と低迷する恐れがある。

*週明け21日のシカゴトウモロコシほぼ横ばい。米中間の貿易をめぐる緊張緩和を受け、2週間ぶり高値を付けたが、買い一巡後は値を消した。シカゴ大豆は、米中貿易摩擦の緊張緩和で大幅続伸。ムニューシン米財務長官は20日、米中の「貿易戦争」を「保留」にすると表明。トランプ大統領は、巨額の米国の農産品購入を中国が約束したと述べた。

*週明け21日のNYダウは、米中貿易摩擦に対する懸念が後退し続伸した。米中両政府は週末19日に共同声明を発表し、米国の対中貿易赤字の貿易削減に向け中国が取り組みを進めることで一致。さらに、両国が実施の可能性に言及してきた巨額の追加関税についても棚上げで合意した。世界1、2位の経済大国による「貿易戦争」がひとまず回避される見通しとなったことが好感された。中国への収益依存度が高い資本財をはじめ、幅広い銘柄が買われ、ダウは一時、371ドル高を付けた。


【22日の経済指標】
17:30 (英) 4月財政収支 +3億GBP
21:30 (加) 3月卸売売上高 (前月比) -0.8%
23:00 (米) 5月リッチモンド連銀製造業指数 -3


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【南アランド円相場、先週の動き・今週の展望】
*先週の南アランド円は下落した。米長期金利が上昇する中、ドルが買われ、新興国通貨が売り戻された。しかし、16日発表の3月小売売上高が前年比+4.8%と予想を上回ったことを受けて、8円60銭台で下げ止まった。

*今週の南アランド円は、上値の重い展開が続きそうだ。米長期金利の上昇を背景に、「ドル買い・新興国通貨売り」が継続しよう。今週は23日に4月消費者物価指数(CPI)、24日には南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)理事会が開催される。政策金利は現行の6.50%に据え置かれる見込み。昨年秋以降、CPI伸び率は低下傾向だったが、前月から上振れが予想されている。

SARBは3月に利下げを実施したが、景気刺激のために引き続き利下げしたいところだろうが、CPIの伸びを背景に金利を引き下げるわけにもいかない。

また、25日には、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)社が、南アフリカの格付けを発表する。3月に格付け会社ムーディーズ社が「Baa3(投資適格級)」を維持し、見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げている。ラマポーザ新政権の構造改革にある程度の評価をしたわけだが、S&Pがどのような判断をするか注目される。


【南アフリカ経済指標】
22日火曜日
16:00南アフリカ3月景気先行指数 前回108.3

23日水曜日
17:00南アフリカ4月消費者物価指数前年比 前回+3.8% 予想+4.7%

24日木曜日
時間未定 南アフリカ政策金利 前回6.50%  予想6.50%
18:30南アフリカ4月生産者物価指数(前年比)

25日金曜日
時間未定 S&P社南アフリカ格付け発表

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*予想レンジ:8.60円~8.80円


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【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、米長期金利高にサポートされて堅調く推移しそうだ。米中両政府は19日、ワシントンで17、18日に開いた通商協議の共同声明を発表した。中国が米国の製品やサービスの購入を大幅に増やすことで合意したが、米国が求めていた対米貿易黒字の2000億ドル削減への言及はなかった。

ただ、米国のエネルギーや農産物の中国への輸出拡大につながる措置について協議を続けることで一致した。ムニューシン財務長官は20日、米中貿易戦争をいったん「保留」し、関税措置もいったん保留することで合意したと述べた。これが好感され、週明け21日の東京市場におけるドル円は111円台に上昇した。

基本的に米金利高にサポートされてドルは堅調に推移するだろう。ただ、金利上昇が株価の下げを引き起こすようなリスクが意識された場合、リスクオフからドル売り・円買いに転じる可能性はあるだろう。イタリアの連立協議や北朝鮮、イラン情勢といった政治問題も懸念が表面化すれば、ドル円の値位置が高いだけに利益確定売りが優勢となろう。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックス指数は93.431(終値)と年初来高値を更新した。ドル円も111円台と4カ月ぶりの高値をつけた。

ドル上昇の最大の要因は米長期金利の上昇で、先週は一時3.12%に達した。節目の3.1%を上抜けたため、米金利は一段高の公算が高いの見方が強く、ドル相場を押し上げよう。先週の米国債入札では3年債の最高落札利回りが11年ぶり、10年債が4年ぶり、30年債が1年ぶりの高水準だった。今週も22日に2年債330億ドル、23日に5年債360億ドル、24日に7年債300億ドルが予定されている。入札が好調であれば、金利上昇を反映してドルが一段高になる可能性がある。

しかし一方で、一段高の金利は米株式市場や新興国にネガティブな影響を与える可能性があり注意が必要ではないか。新興国では、アルゼンチンやトルコなどの経常赤字国から資本が流出している。隣国のメキシコは米金利上昇に加え北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉難航もあって、市場が不安定になっている。21日にはポンペオ米国務長官が包括的なイラン政策を発表する予定。23~25日は北朝鮮が核実験場を廃棄する。イタリアでは極右政党「同盟」と大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」が、連立政権樹立のための合意書に署名。歳出拡大路線を目指している。こうしたリスクが顕在化する可能性がある。

*CFTC建玉5月15日時点:ファンドのドル売り・円買いは3680枚(前週比+9142枚)と増加。ドル売りに転じた。総取組高は16万3411枚と前週比5835枚の増加。ファンドはドル円に関して、方向性を決めあぐねているようだ。


<主なイベント・経済指標>
*21日は4月シカゴ連銀全米活動指数、22日は米韓首脳会談、23日は5月米製造業PMI、4月米新築住宅販売件数、5月FOMC議事録公表、24日は新規失業保険申請件数、4月米中古住宅販売件数、4月米耐久財受注、5月ミシガン大学消費者信頼感指数。

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*予想レンジ:109.00円~112.20円


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