【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は上昇した。メキシコ中央銀は21日の政策決定会合で、政策金利を7.50%から25ベーシスポイント(bp)引き上げて7.75%とした。声明では、ペソ急落に伴うインフレリスクの高まりを抑制する狙いから利上げしたとした。これを受けて先週に1年半ぶり安値を付けていたメキシコペソは小幅上昇。ただ、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉や7月1日のメキシコ大統領選を巡る懸念から上値は重かった。
22日には、石油輸出国機構(OPEC)加盟国が22日に小幅増産で合意したことを受けた原油高が好感され、メキシコペソが急上昇となった。メキシコは主要な原油輸出国の一つ。また、この日発表された2018年4月国内総生産(GDP)は前月比0.6%減だった。ただ、前年同月比では4.5%に拡大した。
*今週のメキシコペソ円は、7月1日の大統領選挙を控えて保ち合いになりそうだ。新興左派政党「国家再生運動(MORENA)」を率いるロペス・オブラドール元メキシコ市長(64)が選挙戦をリードしており、政権交代の可能性が高まっている。ペニャニエト大統領の任期満了に伴う選挙戦には4人が立候補している。任期は12月1日から6年間。
直近の世論調査(18日)によると、オブラドール氏が支持率50%で優位に立ち、中道右派の野党「国民行動党(PAN)」のリカルド・アナヤ前党首(39)が27%、中道右派の与党「制度的革命党(PRI)」のホセ・アントニオ・ミード前財務公債相(49)が20%という。
今回の大統領選挙の最大の争点は、治安と汚職といわれている。2012年12月から続くエンリケ・ニエト現政権において政府と麻薬カルテルとの間で2006年から続く「麻薬戦争」の激化によって治安が悪化し、汚職スキャンダルも後を絶たずで、現大統領の支持率は2018年2月時点で21%と低迷、政権与党PRIに対する国民の失望感は大きい。
オブラドール氏は、国民の蓄積された不満の受け皿となり、国家による経済介入の拡大、年金増額や奨学金制度拡大といったポピュリズム(大衆迎合主義)的な政策で支持を集めている。トランプ大統領の反メキシコ的な言動を受けて、メキシコのナショナリズムが刺激され、オブラドール氏は「外国のいいようにはされない」と対決する構えを見せている。
しかし、一方では「米国とは対話を行い、正気を取り戻してもらわなければならない」とし、大統領選での勝利を見越して北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉などでは話し合いを継続する考えを示している。経済政策に関しては現実路線をとると見られている。マクロ経済における公的支出の役割に重点を置き、インフレや金利、国際収支や財政収支などのマクロ経済指標のバランスを重視し、均衡財政を維持して債務を拡大させないことを大前提においているという。なお、メキシコ中銀は、大統領選挙における通貨安を警戒しており、適切に対処するとしている。
【メキシコ経済指標】
25日月曜日
22:00 4月小売販売前年比前回1.2% 予想0.8% 結果-0.6%
24:00 4月外貨準備 前回$177.60B 予想$178.5B
26日火曜日
10:00 5月失業率 前回3.4% 予想3.2%
27日水曜日
10:00 5月貿易収支前回$-0.289B 予想$-2.0B
*予想レンジ:5.0円~5.4円
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