【東京金は下げ止まりを探る展開に】
*先週のNY金は下落した。26日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、少なくとも来年夏まで政策金利を据え置く見通しが示された。ECBの予想外のハト派的な姿勢を受けて、ドル買い・ユーロ売りが進み、ドル建て金は割高感から売られた。
また、トランプ大統領と欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は、工業製品の関税撤廃に向けて新たな貿易対話を始めることで合意したため、安全資産である金には売りが強まった。さらに、4-6月期米GDPは前期比年率+4.1%と堅調だった。米景気の好調さを背景にドルの先高感が強まった。ただ、米国と中国の貿易戦争の激化懸念が心理的な支援要因となり、1200ドル台は維持された。
1200ドル台前半まで下落したことで現物需要も復活してきた可能性がある。金ETFも下落傾向に歯止めがかかり、800トンの大台を回復した。1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融政策の現状維持が予想されているが、9月会合での利上げはほぼ確実視されている。米長期金利が反発しているものの、金の下落幅は限定的で、金相場にもかなり織り込まれてきているようだ。NY金の一段安は避けられるだろう。
*NY金予想レンジ=1180~1240ドル
*CFTC建玉7月24日時点:ファンドの金買い越しは4万8597枚(前週比-9244枚)と減少。総取組高は49万6620枚と前週比3万1658枚の減少。
*東京金は、31日に4343円まで売られ、年初来安値を更新し、2017年1月末以来、約1年半ぶりの水準に下落した。しかし、日銀の金融政策会合終了後に、為替が円安に振れると急反発し、下げ止まりを見せた。日銀は金融政策決定会合で、0.0%程度に誘導している長期金利を柔軟に調節することを決めた。これまで0.0~0.1%程度に抑えてきたが、変動幅を広げ、事実上金利の上昇を容認する。短期金利をー0.1%、長期金利を0.0%程度とする現行の政策金利は据え置いた。1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、現状維持が見込まれているが、9月FOMCでの利上げはほぼ確実視されている。
トランプ大統領が利上げを牽制する発言や利上げペースへの不満を表明していることから、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定や政策運営方針が注目される。足元は金相場の弱材料が目立ち、安値圏での低迷が続いているが、米長期金利の反発にもかかわらずドルインデックスの上値が重くなり、恐怖指数(VIX)がやや上向きになってきた点に注意したい。NY金が1200ドルを維持しているのもマーケットの微妙な変化を察知しているかもしれない。東京金も現状の4300円台で下げ止まりの可能性が出て来そうだ。
*東京金予想レンジ:4400~4500円。
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