テクニカルマイスター

商品、為替、株式相場を,ファンダメンタルズとテクニカルから思いつくままに分析。

2018年10月

【10月31日(水)国内終値】
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10月31日(水)
【10月30日の海外相場および市況】
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*30日のNY外国為替市場は、米長期金利の上昇などを背景に円売り・ドル買いが進み、ドル円は10日以来約3週間ぶりに113円台に上昇した。米長期金利の上昇を背景に日米金利差の観点から円売り・ドル買いが先行。また、米中「貿易戦争」に対する過度の警戒感が和らぎ、この日のNYダウが大きく反発したことでリスク回避姿勢が後退し、ドル買いが優勢となった。トランプ大統領は29日夜のFOXニュースとのインタビューで、「中国との貿易交渉では素晴らしい合意に至ると思う」と述べた。また、メルケル独首相は29日、12月に開催されるキリスト教民主同盟(CDU)党大会で党首としての再選を目指さず、現任期限りで政界を引退する意向を表明。その上、欧州連合(EU)統計局が30日発表した7〜9月期のユーロ圏実質GDP(域内総生産)速報値が前期から減速し、市場予想も下回った。これを受け、EU域内の政局や経済の先行きに不安が広がったことから、ユーロ売り・ドル買いが先行し、これがドル円に波及した。日銀は30日に続く31日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決める見通しで、最新の景気予測である経済・物価情勢の展望(展望リポート)を発表する予定。

*30日のNY金は、ドル高基調に伴う割高感などを背景に売りが優勢となり、小幅続落した。外国為替市場ではこの日もドル高・ユーロ安基調が継続し、ドル建て金に割高感が生じた。11月末からの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて開く予定の米中首脳会談が不調に終わった場合、トランプ政権が対中制裁関税の第4弾を12月初旬にも表明する方針だと報道。ただその後、トランプ大統領はFOXニュースとのインタビューで、中国との間で合意に至らなかった場合には新たな制裁を課すと警告しながらも、同国とは通商面で「素晴らしい合意」に至ると思うと強調。この発言を受けて、米中[貿易戦争」に対する過度の懸念が和らぐ中、NYダウが反発し、安全資産である金には売り圧力がかかった。テクニカル的には1220ドル近辺の100日移動平均を下回れば、再びファンドの売りが強まる可能性がありそうだ。NY白金は4日続伸。

*30日のNY原油は、世界的な供給拡大不安や米中「貿易戦争」に伴う需要減退懸念などを背景に売りが優勢となり、続落した。石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の有力産油国であるサウジアラビアとロシアが増産に動くとの警戒感が根強い中、米原油在庫の過剰懸念も加わり、売りが先行した。事前予想では、26日までの1週間の米原油在庫は前週比410万バレル増と、6週連続で積み増しになったとみられている。米中間の貿易摩擦をめぐっては、11月末からの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて開く予定の米中首脳会談が不調に終わった場合、トランプ政権が対中制裁関税第4弾を12月初旬にも表明する方針だと報道。その後、トランプ大統領はFOXニュースとのインタビューで、中国とは通商面で「素晴らしい合意」に至ると思うと強調したとの報が伝わった。両国による交渉の行方は依然不透で、貿易戦争が二大経済大国のエネルギー需要減退を招きかねないと懸念され、一時65.33ドルまで下落し、その後もマイナス圏で推移した。国際エネルギー機関(IEA)は30日、原油高が消費者にとって打撃となり、世界の経済活動が減速するタイミングで燃料需要を減退させかねないとの見解を示した。米国は来週11月5日、イラン産原油に対する制裁を発動する予定だが、同国産原油の輸出量は既に減少し始めた。サウジとロシアは米国の制裁発動後、需要に十分対応できる量の原油を供給する意向を表明している。

*30日のシカゴトウモロコシは、好天で収穫が加速する見通で続落した。米農務省が29日に発表した週間報告によると、28日までの週で米国産トウモロコシの収穫進捗率は63%。前週は49%だった。この時期の5年平均と同水準。ドル高も引き続き相場を圧迫した。シカゴ大豆も収穫進展が重石となって続落。

*30日のNYダウは、米中貿易戦争に対する過度な警戒が和らぐ中、3営業日ぶりに反発した。前日は、ブルームバーグ通信が11月末からの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて開く予定の米中首脳会談が不調に終わった場合、トランプ政権は知的財産権侵害を理由にした対中制裁関税の第4弾を12月初旬にも表明する方針だと報道。すでに米企業業績にも悪影響を及ぼしつつある米中貿易戦争の一段の激化への懸念からダウは一時560ドル超も急落していた。その後、トランプ大統領は29日夜のFOXニュースとのインタビューで「中国との交渉では素晴らしい合意に至ると思う」と指摘。話し合いによる決着の可能性を示した。これを受けて過度な警戒は和らぎ、30日の相場は半導体関連株を中心に押し目買いが入り、ダウを押し上げた。


【31日の経済指標】
未定   (日) 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表  -0.10%   
未定   (日) 日銀展望レポート 
06:45   (NZ) 9月 住宅建設許可件数 [前月比]  7.8%   
08:50   (日) 9月 鉱工業生産・速報値 [前月比]  0.2%   
09:00   (NZ) 10月 NBNZ企業信頼感  -38.3   
09:01   (英) 10月 GFK消費者信頼感調査  -9  -10 
09:30   (豪) 7-9月期 四半期消費者物価(CPI) [前期比]  0.4%   
09:30   (豪) 7-9月期 四半期消費者物価(CPI) [前年同期比]  2.1%   
10:00   (中) 10月 製造業購買担当者景気指数(PMI)  50.8  50.9 
14:00   (日) 9月 新設住宅着工戸数 [前年同月比]  1.6%   
14:00   (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯  43.4   
15:30   (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見 
16:00   (トルコ) 9月 貿易収支  -24.2億ドル   
19:00   (日) 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績) 
19:00   (欧) 9月 失業率  8.1%  8.0% 
19:00   (欧) 10月 消費者物価指数(HICP、速報値) [前年同月比]  2.1%  2.1% 
20:00   (米) MBA住宅ローン申請指数 [前週比]  4.9%  ― 
21:00   (南ア) 9月 貿易収支  88億ランド   
21:15   (米) 10月 ADP雇用統計 [前月比]  23.0万人  19.0万人 
21:30   (米) 7-9月期 四半期雇用コスト指数 [前期比]  0.6%  0.7% 
22:45   (米) 10月 シカゴ購買部協会景気指数  60.4  60.3 


第188回 『おしえて陳さん』 
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【東京白金は保ち合いが続きそう】
*先週の東京白金は反落した。ファンドは9月25日に売り越しから買い越しに転じているが、NY白金の800ドル以下の水準は割安感が強いということが認識されたからだろう。10月16日時点で買い越しは1万3000枚台に達したが、23日には1万1660枚台に減少している。金が株安や地政学的リスクで買われるのに対し、同じ貴金属である白金はディーゼル車の排ガス除去触媒に主に使用されるため、割安感が解消されれば積極的に買われてこない。欧州ではディーゼル車は生産減少している上に、2040年までに全廃される。需要の先細りがあるため、高値を追いかけて買っていくという展開にはなりにくい。

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同じ白金族であるパラジウムは北米のガソリン車の生産・販売が好調な上、主要生産国であるロシアの供給減少から需給のタイト化が懸念されている。NYパラジウムは年初来高値を更新しており、白金はパラジウムに対する割安感から買われるものの限界があろう。企業業績への不安を背景とする世界的な株安や、貿易摩擦の激化が経済成長に与える影響が懸念されており、非鉄金属や白金等の工業向け商品(コモディティー)に対する需要も様子見となりやすい。東京白金は3000円を挟んだレンジで保ち合いが続きそうだ。

*東京白金予想レンジ:2800~3100円

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*CFTC建玉10月23日時点:ファンドの白金買い越しは1万1662枚(前週比-1418枚)と減少。総取組高は7万4436枚と前週比-1111枚の減少。

*白金と金の逆ザヤは、7月3日に1526円と過去最大幅を記録した。縮小に転じ上値抵抗線だった1350円を一時上抜けたが、継続せずに反落に転じた。 しかし、1500円の逆ザヤは過去のパターンからは白金の割安感が意識されるため、「白金買い・金売り」が有利となりそうだ。
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情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。

【東京金は押し目買い優勢で4500円を目指す可能性】    
*先週のNY金は底堅く推移したが、レンジを抜ける展開にはならなかった。不安定な株価動向、米中貿易戦争の長期化、サウジアラビア人記者殺害疑惑をきっかけとした地政学的リスクの高まりやイタリアの財政不安などが強材料となった。一方、好調な米国景気や米連邦準備制度理事会(FRB)による金利引き上げ見通しを背景に米長期金利が3.0%台で高止まりしていることは弱材料になっている。どちらも決め手に欠けるため、NY金は底堅いものの、レンジを抜けるまでにはいたらなかった。

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10日のNYダウ暴落を受けて、リスクオンモードが後退し、ファンドは過去最大の売り越しから買い越しに転じ、その幅を拡大させている。低調だった金現物投資も徐々に回復し、金ETFは年初来最低量の730.17トンから2.8%増加し、 754.94トンに達した。目立たないながらも金に対する市場の変化が表れており、年初来安値を更新するといった極端な弱気は後退している。テクニカル的には50日移動平均線を超えているものの、100日移動平均線に絡む動きになっており、1230ドル台前後で値固め局面に入ったといえるだろう。

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*NY金予想レンジ=1210~1250ドル

*CFTC建玉10月23日時点:ファンドの金買い越しは2万9388枚(前週比+1万1721枚)と増加。総取組高は47万7832枚と前週比3414枚の増加。

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*先週の東京金は底堅く推移した。10月以降、NYダウが下落に転じ、世界の株価が不安定になる中、金融市場はリスクオンモードが後退している。恐怖指数VIXは警戒ラインである20ポイントを越えており、まだピークに達していない可能性がある。こうした不安要因が金相場をサポートしている。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内あと1回の利上げを予定している上に、来年も引き続き利上げしていく姿勢を見せている。米長期金利は3.0%台で推移し、外国為替市場ではドルが堅調に推移している。

ドル円も円安基調が続いており、これが東京金のサポート要因になっている。このため東京金はNY金よりも水準が引き上げられている。テクニカル的には、NY金が100日移動平均線あたりで保ち合いとなっているのに対し、東京金は100日移動平均線を上抜いている。4400円台前半で値を固め、次の節目である200日移動平均線のある4500円を目指す可能性がありそうだ。

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*東京金予想レンジ:4380~4500円。

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【10月30日(火)国内終値】
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【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は下落した。トランプ大統領が非常事態と強調した7000人規模のホンジュラス移民問題で、トランプ大統領はメキシコが食い止めなければならないと激怒。これに関してメキシコのオブラドール次期大統領がトランプ大統領を批判。トランプ大統領はさらに激怒して中米への資金供給を止めるぞと脅しをかけた。米国とメキシコの関係悪化が懸念された。また、NYダウの大幅安に連れて、メキシコ株は4カ月ぶりの安値を付けたこともペソ売り要因となった。

*今週のメキシコペソ円は、戻り売りが優勢となりそうだ。メキシコ市の空港建設問題や中米移民問題が重石となるだろう。空港建設問題を巡って、ロペスオブラドール次期大統領は「不正は絶対許さない」として建設中止を訴えている。12月に発足するメキシコ次期政権は、現在のメキシコシティ国際空港の代替施設建設を巡る国民への意見調査を25日から28日まで実施した。調査には約100万人が参加し、開票の結果69%が新空港の建設に反対したことが判明した。これを受けて週明け29日のメキシコペソは対ドルで1.0%以上下落した。新空港建設を巡ってはロペスオブラドール氏は選挙期間中から「建設費用がかかり過ぎる」などと批判して中止を訴えていたが経済界からは建設継続を求める声が多く、最終的には「国民の声を聞いて判断する」として意見調査を実施することになった。ただ、実際に中止となれば国際条約違反や企業との契約取り消しなどの問題が生じる恐れがある。

また、ホンジュラスの移民問題も影響が大きい。中南米諸国から米国に向けて7000人を超える不法移民集団が北上している問題で、移民を食い止めるためメキシコが、移民側に難民申請を条件に住居等を手配する案を示したが、移民側はこれを拒否した。一方、トランプ大統領は移民の入国を阻止するため軍を派遣することを決定し、入国を阻止する考え。米兵800~1000人をメキシコとの国境地帯に派遣する方針だと報じた。マティス国防長官が近く派遣を正式に承認する。このまま移民が米国境付近まで進めば、一発触発となり、メキシコも混乱に陥る可能性がある。国境地帯では、既に約2千人規模の州兵部隊が支援活動を展開している。


【メキシコ経済指標】
30日火曜日
23:00 第3四半期GDP前年比(速報値)前回2.6%  予想2.7%
28:00 9月財政収支前回MXN-31.45B  予想MXN -36.15B

11月1日木曜日
11:00 10月景況感前回50 予想51.8
24:30 10月製造業PMI前回51.7


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*予想レンジ:5.60円~5.90円


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【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は堅調に推移した。与党公正発展党(AKP)と連立を組む民族主義者行動党(MHP)の党首が、2019年の地方選でAKPと共闘しない方針を示したため、23日には19円前半と15日以来の安値をつけたが、その後は緩やかに持ち直した。米国人牧師の解放で対米関係が改善するとの期待から、トルコ情勢に対する市場センチメントが改善しているようだ。

トルコ中央銀行は25日、政策金利の1週間物レポレートを24.00%で据え置いた。据え置きは予想通り。トルコ中銀は今年に入り政策金利を11.25%ポイント引き上げている。中銀は声明で「内需鈍化はインフレ見通しの悪化を幾分和らげるものの、物価上振れリスクは引き続き広がりをみせている」と指摘した。

*今週のトルコリラ円は底堅く推移しそうだ。対米関係の改善を受けて、米国の経済制裁が解除されるとの示唆がトルコリラを押し上げている。トルコ中央銀行は25日、政策金利の1週間物レポレートを予想通り24.00%に据え置いた。トルコ中銀は9月に通貨の下支えとインフレ高進に対応するため、政策金利を6.25%ポイント引き上げた。加えて米国との外交関係が改善し、今年に入って大幅に下落していた通貨リラは持ち直している。しかし、9月の消費者物価指数(CPI)は前年比24.52%上昇とインフレはなお上昇している。今後、インフレが想定以上に上振れするようであれば、トルコ中銀は一段の利上げに動かざるをえないだろう。

格付け大手S&Pグローバル・レーティングの新興国ソブリン格付け担当は、最近のトルコ経済の混乱が、新興国全体に及ぼす影響は限定されるとの見解を示した。世界経済に占めるトルコの割合は低く、同国の不況が他の新興国に連鎖するリスクは非常に限られると分析し、トルコの商業銀行が相次いでデフォルト(債務不履行)に陥った場合には新興国の銀行株に悪影響が及ぶ可能性はあるが、現在はそのような状況にはないとした。

S&Pは8月、トルコ通貨リラの急落が同国の経常赤字の拡大や民間企業の業績圧迫につながるとして、国債格付けを「Bプラス」に引き下げた。2019年はリセッション(景気後退)に陥ると予想している。そして、予想を上回る急速な景気後退に見舞われ、金融機関が全ての対外債務の借り換えができなかった場合などには、一段の格下げにつながる恐れがあると説明。ただ、トルコの公的債務残高はそれほど高くなく、国内総生産(GDP)比で約28%にとどまっていると加えた。

【トルコ経済指標】
31日水曜日
16:00 10月経済信頼感前回71.0
16:00 9月貿易収支前回-24.2億USD 予想-19.0億USD
16:00 観光収入第3四半期前回$7.44B  予想$11.85B
16:00 9月観光客数前年比前回15.6% 


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*予想レンジ:19.00円~21.00円


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10月30日(火)
【10月29日の海外相場および市況】
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*週明け29日のNY外国為替市場のドル円は、112円台前半から半ばの水準で推移した。欧州株が全般に上伸したことを受けて、リスク回避姿勢が後退する中、ドル買い・円売りが進んだ。9月米個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比2.0%上昇と、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標である2%を7カ月連続で維持したこともあり、ドル買いが継続した。ただ、大幅反発して始まったNYダウがマイナス圏に転じたことから、安全通貨である円も下げ渋った。良好な米物価指標が支援要因となる一方、米株の反落が圧迫要因となる見通しで、上下に動きにくくなっている。

*週明け29日のNY金は、米欧株価の反発を受けて、3営業日ぶりに反落した。米格付け大手S&Pグローバル・レーティングがイタリアの公的債務格付けを据え置いたことから、リスク回避姿勢が後退。米欧株価が持ち直す中、安全資産としての金は売りが優勢となった。外国為替市場では、ドイツのメルケル首相の退任を受けてドル高・ユーロ安が進行し、ドル建て金には割高感が強まったことも売り要因となった。テクニカル的には100日間移動平均付近の1220ドルがサポートラインになると見られている。NY白金は3日続伸。

*週明け29日のNY原油は、対ユーロでのドル高に圧迫されて反落した。また、株価が先週から世界的に乱高下し、世界景気にも先行き不安が広がったため、株と並んでリスク資産である原油にも売り圧力がかかった。ロシアのノバク・エネルギー相は27日、同国が産油量の凍結もしくは削減を行う理由はないと言及。ロシアが引き続き産油量を高水準で維持する意向を示したことも下押し要因となった。ただ、米国による対イラン制裁の再発動を11月4日に控えて、供給混乱に対する警戒感も広がっているため、下値は限られた。なお、イラン石油省傘下のシャナ通信によると、同国は国内取引所を介した民間企業への原油販売を開始した。米国の制裁再発動は数日後に迫っているが、複数の関係者によると、イラン産原油の主要輸入5カ国のうち、インド、中国、トルコの3カ国は代替供給を十分確保できないとして、イランからの買い付け停止を求める米国の呼び掛けに抵抗している。

原油や銅などの工業向け商品(コモディティー)相場は、企業業績への不安を背景とする世界的な株安や、貿易摩擦の激化が経済成長に与える懸念に影響されている。

*週明け29日のシカゴトウモロコシは反落。米中西部での収穫が、おおむね好条件な天候によって加速しているとの見方が相場を圧迫した。シカゴ大豆は反落し、一時は約1カ月ぶりの安値を付けた。潤沢な供給に加え、米中貿易摩擦を背景として米国産大豆の輸出が伸び悩むとの懸念が強い。

週明け29日のNYダウは、米中「貿易戦争」激化への懸念が再燃し、続落した。前週末に300ドル近く下げた反動で、割安感の出た銘柄が買い戻され、一時352ドル高まで上昇した。しかし、インドネシアで同日発生した旅客機墜落事故を受け、機体製造元で構成銘柄のボーイングが急落し、ハイテク株にも売り圧力が及んで売りが優勢となった。11月末に予定されている米中首脳会談が不調だった場合、米政府は新たな対中制裁関税の発動を表明する方針だと報道。既に企業業績に悪影響が出始めている米中貿易戦争の長期化懸念から、リスク回避の売りが一気に加速した。


【30日の経済指標】
未定   (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
08:30   (日) 9月 失業率  2.4%   
08:30   (日) 9月 有効求人倍率  1.63   
09:30   (豪) 9月 住宅建設許可件数 [前月比]  -9.4%   
17:55   (独) 10月 失業者数 [前月比]  -2.3万人  -1.3万人 
17:55   (独) 10月 失業率  5.1%  5.1% 
19:00   (欧) 7-9月期 四半期域内総生産(GDP、速報値) [前期比]  0.4%  0.3% 
19:00   (欧) 7-9月期 四半期域内総生産(GDP、速報値) [前年同期比]  2.1%  1.8% 
19:00   (欧) 10月 経済信頼感  110.9  110.2 
19:00   (欧) 10月 消費者信頼感(確定値)  -2.7  -2.7 
22:00   (独) 10月 消費者物価指数(CPI、速報値) [前月比]  0.4%  0.1% 
22:00   (米) 8月 ケース・シラー米住宅価格指数  213.76   
22:00   (米) 8月 ケース・シラー米住宅価格指数 [前年同月比]  5.9%   
23:00   (墨) 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) [前期比]  -0.2%   
23:00   (墨) 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) [前年同期比]  2.6%   
23:00   (米) 10月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)  138.4  136.8 


第188回 『おしえて陳さん』 
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【南アランド円相場、先週の動き・今週の展望】
*先週の南アランド円は下落した。23日、ムボウェニ財務大臣は、国営電力会社ESKOM社の人員を30000人削減する必要があると述べた。南アフリカ財務省は24日、2018年の実質経済成長率見通しを0.7%と、2月の予算時点の1.5%から引き下げた。世界景気の減速懸念から資源輸出に懸念が出ており、財政赤字の縮小にも時間がかかる見通し。ムボウェニ財務相は同日、今後3年間の中期的な予算編成方針を発表する際、「世界経済の成長を巡るリスクはより明らかになっている」と述べた。税収の低迷が見込まれるとして、18年度の財政赤字の国内総生産(GDP))比もこれまでの3.6%から4%に下方修正した。市場は従来の見込みを据え置くと予想していたことから、財政悪化が懸念され、南アランドは大幅に下落した。

*今週の南アランド円は上値の重い展開が続きそうだ。市場は格付け会社ムーディーズが南アフリカの格付けを維持したこともあって、先週発表された中期財政政策は市場の期待を裏切るものとなった。さらに今後の財政赤字の拡大を予測したことで、ムーディーズが格下げ、もしくは見通しをネガティブに変更する可能性も出てきた。リセッション(景気後退)入りしている上に、財政赤字の拡大懸念で南アフリカ経済は停滞しそうだ。

足元の南ア経済は干ばつの影響で農業が振るわず、輸出をけん引する鉱業も中国の景気減速が影を落とす。代表的な輸出品のプラチナは欧州の排ガス不正問題が響き、触媒向けの需要が先細りする懸念がある。失業率は20%台後半と高止まりしている。ラマポーザ大統領は雇用拡大を目財しているが、失業率が悪化していれば、南アランドの売り圧力は強まりそうだ。ムボウェニ財務大臣は「信頼を回復し、民間部門への投資を呼び込みたい」として、規制緩和や民間企業の育成に取り組む方針を強調した。先週発表したムボウェニ財務大臣の中間予算に対して、格付け会社フィッチ社は、経済成長の流れを変えるのは難しいと判断したようだ。


【南アフリカ経済指標】
29日月曜日
15:00 9月マネーサプライM3前年比前回+6.95% 予想+6.83%  
15:00 9月民間部門信用前年比前回+6.74% 予想+6.40%

30日火曜日
18:30 第3四半期失業率前回27.2%  予想27.4%
21:00 9月財政収支前回-79億ZAR 予想-50億ZAR

31日水曜日
21:00 9月貿易収支前回+88億ZAR 予想+42億ZAR

11月1日木曜日
18:00南アフリカ10月製造業PMI前回43.2 予想44.0

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*予想レンジ:7.50円~7.70円


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【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、上値の重い展開が続きそうだ。世界の株式市場で下落基調が強まれば、円高が進行する可能性がある。週明けの日経平均株価は反発していたが、中国上海株が反落したため、日経平均株価もマイナスに転じた。世界同時株安に対する警戒感からリスク回避の円買いが強まり、ドル円は112円台から111円台後半に軟化した。ただ、10日以降の世界同時株安でも円買いは思ったほど強くなく、ドル円の下落も一時的だったともいえる。111円台では本邦実需筋のドル買い意欲が強い上に、最近ではリスク回避時にドル買いが同時に入っているからだろう。

しかし、サウジアラビアを巡る中東の地政学リスクや欧州連合(EU)とイタリア政府との財政規律を巡る確執、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る懸念などのリスク要因があり、リスク要因が強まりつつある中で、世界的な株安が再び強まれば、ドル円も111円台が定着し、さらに一段安を懸念してくるかもしれない。NYダウは200日移動平均線を下回っており、売りが強まる可能性がある。

また、11月6日の米中間選挙でトランプ大統領率いる共和党が苦戦しているという状況もドルの重石になっている。トランプ大統領は27日に米農業団体での集会で演説し、日本が市場を開放しなければ「日本車に20%の関税をかける」と発言した。今後の日米交渉では、米国が強硬姿勢で臨んでくることも意識され、ドル円を押し下げていくかもしれない。

さらに、イタリアの政治情勢やブレグジット懸念を背景に、ユーロ円やポンド円の下落がドル円に波及してくる可能性もあり、下落リスクが高まる可能性があるかもしれない。今週は重要な経済指標も発表される。29日の9月個人消費支出(PCE)指数は、前年比+2.2%と予想されており、8月と変わらない水準が見込まれている。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ指標としてPCEを注視している。コア消費者物価指数(CPI)は2カ月連続して前月比+0.1%に留まっており、コアPCEの動向が注目される。11月2日の10月米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+18.9万人(9月+13.4万人)、失業率は3.7%(9月3.7%)、平均時給は3.2%(9月+2.8%)が予想されている。

結果次第では、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げの可能性が低下する可能性がある。また、30、31日に日銀金融政策決定会合が予定されているが、金融政策に変更はないと予想され、今回も材料にはならないだろう。

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*CFTC建玉10月23日時点:ファンドのドル買い・円売りは9万2804枚(前週比-7817枚)と減少した。総取組高は20万5643枚と前週比5567枚の減少。


<今週の主な経済指標>
29日は米国9月個人所得、30日は米国10月消費者信頼感指数、31日は日銀金融政策決定会合、米国10月ADP雇用統計、1日は新規失業保険申請件数、2日は米国10月雇用統計。

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*予想レンジ:111.00円~113.00円


情報提供:(株)みんかぶ
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