【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は下落した。原油相場が反落に転じたことに加え、米中通商協議の不透明感が嫌気されて、売りが優勢となった。第1四半期国内総生産(GDP)は前年比(速報値)+1.3%、前回1.7%、予想1.4%となり悪化した。オブラドール大統領の新空港建設中止や、油田入札中止が経済成長に悪影響を及ぼし始めているとの懸念が高まった。
米国は7日から、メキシコ産トマトの輸入に17.5%の関税を課すとした。両国が米国による反ダンピング(不当廉売)調査の停止協定を更新できなかったため。メキシコのデラモラ経済次官は「17.5%の関税があすから適用される。メキシコの輸出業者の資金フローに影響が出るが、その影響は米消費者に直接転嫁される」と語った。関税措置は、新たに調査停止協定が締結されるまで継続するという。メキシコは年間約20億ドル相当のトマトを米国に輸出しているという。10日に発表された消費者物価指数(CPI)は前年比4.41%、前回4.00%、予想4.5%と予想より下落してたが、前回よりインフレが進んでいることが判明した。
*今週のメキシコペソ円は、上値の重い展開が続こう。米中通商協議が難航する状況で新興国通貨が買われることは想定しにくい。原油相場の上値が重くなっていることもペソの重石になろう。今週は16日にメキシコ中銀会合がある。先週発表された消費者物価指数(CPI)は前年比4.41%と前回4.00%を上回った。メキシコ中銀の目標3%から上方に乖離しており、利下げの見方は後退したようだ。
なお、今回のCPI上昇はアボガドが25.5%上昇したことが要因という。政策金利は8.25%据え置き予想。ロペスオブラドール大統領は10日の定例会見で、2022年5月に国内でガソリンの自給自足体制が整うと宣言した。80億ドル(約8760億円)を投じ、新たな精製施設を建設するほか、既存施設へも増産投資をする。ただ現在は需要の7割程度を輸入に頼っているだけに、大統領の目指す自給自足の実現性は不透明。多くの油田があるメキシコ湾に面するタバスコ州に新たに精製施設を造るほか、今年は125億ペソ(約710億円)を、既存の6施設の増強に投ずる計画。
ただ目標までに設備の新設や増強が進むか、資金調達面も含めて実現は困難と診られている。新たな精製施設の建設も政府の予算上限では不可能として企業が応札しなかった経緯があり、工費が膨らむ恐れがある。増産できても、結果として輸入の方が安上がりになる可能性もある。有力経済団体のメキシコ経営者連盟(COPARMEX)は「設備新設は採算性に乏しく、再考すべきだ」との声明を発表した。
【メキシコ経済指標】
16日木曜日
27:00メキシコ中銀政策金利前回8.25%、予想8.25%
*予想レンジ:5.60円~5.90円
情報提供:㈱ミンカブジインフォノイド
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