【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は、堅調に推移した。メキシコが米国からの追加関税発動を避けるため不法移民対策を強化し始めてから7月22日で中間評価の対象期間となる45日間が経過する。ポンペオ国務長官がメキシコシティでエブラルド外相と会い、メキシコの努力に一定の評価を示したようだ。米政府は今後本格的な評価作業に入った。メキシコのサンチェス内相は「移民問題はもう十分に制御できている。トランプ大統領が関税を持ち出すとは思えない」と述べた。トランプ大統領も7月に入って「メキシコは国境で素晴らしい仕事をしている」「現時点では関税は考えていない」などと一定の評価を見せた。
6月に米・メキシコ両政府が不法移民対策について協議した際に、米側はメキシコ経由の不法移民をゼロにするように求めており、中間評価ではメキシコに追加の対策を求める可能性が高い。米政府は、メキシコを難民申請希望者の待機場所いわゆる「安全な第三国」とすることができれば、中米諸国からの不法移民を大幅に減らせると期待しているが、メキシコはこの提案に警戒を強めている。同国のバルセナ駐米大使は18日にワシントンで講演し「移民の待機場所となるような協定に署名することはない」と語った。
*今週のメキシコペソ円は、保ち合いで推移しそうだ。先週メキシコの不法移民対策の中間成果を審査された。ポンペオ長官はメキシコの移民対策を良好だと評価し、中間審査は無事通過したようだ。一方、米国と中米グアテマラ両政府が26日、米国への不法移民抑制策で合意した。合意では、グアテマラは難民申請手続きを求める中米移民の待機場所となる見返りに、米国での農業分野での就労に関して便宜が図られる。グアテマラが待機場所を受け入れたことで、米政府はメキシコにも同様の合意を求める可能性が高まっており、警戒されている。
国際通貨基金(IMF)は世界の経済成長見通しを再び下方修正した。今年の世界成長率は3.2%、来年が3.5%の見込み。いずれも4月時点の予測から0.1ポイント下方修正した。ブラジルやメキシコなど、政局が混乱する新興国や資源国の成長見通しを大きく下げた。全米商工会議所のトーマス・ドナヒュー会頭は25日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」が施行されれば米経済の大きな支援要因となり、米国はリセッション(景気後退)入りを回避できる可能性があるとの見方を示した。米業界団体もUSMCAの早期承認を議会に要請した。野党・民主党の抵抗で新協定の批准作業が長引くなか、「産業界にとって最優先の政策だ」と強調して実施法案の成立を急ぐよう促した。米産業界は中国との貿易戦争が長引くなか、カナダ・メキシコとの貿易拡大に活路を見いだそうとしている。
今週31日に発表されるメキシコの第2四半期の国内総生産(GDP)速報値は、季節調整済み前期比で横ばいとなりそうだ。鉱工業生産の落ち込み、投資の減少、サービス産業の減速が成長を圧迫したとみられる。季節調整前の年率では0.5%のプラス成長の見通しで、これは2009年第4四半期以来の低い伸びになる見込み。 2019年通年のGDP成長率予想はプラス0.8%、20年は1.4%となった。
【メキシコ経済指標】
29日月曜日
20:00 6月失業率前回:3.51%
7月31日水曜日
22:00 第2四半期GDP(前年比)前回1.2%、予想0.8%
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