【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は上昇した。12日、ロシア製ミサイル防衛システムの最初の主要な納品が始まった。米国は、トルコによるロシアからの軍備調達は北大西洋条約機構(NATO)の軍事力を損なう恐れがあるとして、トルコに対する制裁を警告した。米国によればS400はNATO航空機を撃墜するために設計されており、機密情報の収集も可能であるため、F35のステルス機能が侵害される恐れがある。トルコによるS400の購入を阻止しようと、米国は先月、F35共同開発計画から同国を閉め出すと述べていた。
トランプ大統領は16日、ホワイトハウスで記者団に対し、トルコがロシア製の地対空ミサイルシステム「S400」を導入することになった責任はオバマ前大統領にあると主張した。米国防総省は17日、最新鋭ステルス戦闘機F35の多国間共同開発計画からトルコを排除すると発表した。米国内でF35操縦訓練を行っていたトルコ人パイロット約20人の訓練も中止し、帰国させるという。ただ、米国はトルコと安全保障面での協力を続けるとして、関係悪化に歯止めをかけたい意向もにじませた。トランプ大統領が現時点でトルコへの制裁を検討していないと発言したことが好感され、トルコリラは反発した。
*今週のトルコリラ円は売りが優勢となりそうだ。先週18日には、韓国やインドネシア、南アフリカなどの中央銀行が、相次いで政策金利を引き下げた。米中貿易摩擦の影響などで世界経済に先行き不透明感が強まっていることに加え、今月末の米国の利下げが確実視される中、新興国には急激な自国通貨高を抑制するために先手を打つ狙いもあるようだ。今週は25日にトルコ中銀理事会が開催されるが、政策金利の2.0%ポイントの引き下げ(24.0%→22.0%)が予想されている。
エルドアン大統領は、かねてよりトルコの主要政策金利の大幅な引き下げを行う方針を示していた。同大統領は、利下げに反対していた中銀のチェティンカヤ総裁を更迭し、自分の息のかかったウイサル副総裁を中銀総裁に置いた。トルコのインフレ率について、19年末までに15%超から一桁に低下させることを目標とすると述べた。トルコ中銀は昨年9月、同国の通貨リラの急落を防ぐため、主要政策金利を24%まで引き上げた。中銀は、昨年9月以降、リラのさらなる下落を防ぐため、政策金利を据え置いている。トルコ中銀がウイサル新総裁下で7月25日に行われる次回の金融政策決定会合で、利下げが予想されている。同大統領は「われわれには年末までに金利に関する確かな目標がある。これも成し遂げる」と述べた。「大幅に利下げを行う。金利をいったん下げれば、インフレ率が大幅に低下するだろう」とも話した。
トランプ米大統領は18日、ロシア製ミサイル迎撃システムS400導入を進めるトルコに対して、政権が制裁を科すつもりなのかどうかはっきりした態度を示さなかった。米政府は17日、トルコが先週にS400導入を始めたことを受け、最新鋭ステルス戦闘機F35計画からトルコを排除すると発表した。これに対してトルコのエルドアン大統領の報道官が18日、そうした一方的な決定がなされれば同国を含む北大西洋条約機構(NATO)加盟国間の健全な関係が保てなくなると批判するなど、両国関係の緊張が一層高まっている。そうした中で、トランプ大統領の矛盾する発言は混乱に拍車を掛ける恐れがある。
【トルコ経済指標】
23日火曜日
16:00 7月消費者信頼感指数前回57.6
25日木曜日
16:00 7月景気動向指数[季調済]前回99.6
16:00 7月設備稼働率前回77.1%
20:00トルコ中銀政策金利前回24.00%、予想22.00%
*予想レンジ:18.00円~20.00円
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