【ドル円相場、今週の予想】
*週のドル円は、上値が重く戻り売りが優勢となろう。米連邦準備制度理事会(FRB)が7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、およそ10年ぶりに利下げに踏み切ったが、新興国も相次いで利下げを実施している。先週は9日にニュージーランドが市場予想(0.25%)を上回る0.5%の利下げを行った。同日にはインド、タイも利下げを決めた。それ以前にもオーストラリア、トルコ、南アフリカ、ロシア、インドネシアが金利を引き下げた。トランプ大統領は再三、FRBに大幅な利下げを行うよう発言している。CMEのFED WATCHでは9月の利下げ確率が80%を超えた。欧州中央銀行(ECB)は9月会合で利下げを行う予定と観測されており、日銀も追加金融緩和姿勢を見せている。
問題は、相次ぐ世界各国の利下げにも関わらず株式相場が浮上しない点にあろう。相場の地合いが悪化しているわかで、その背景には米中貿易戦争の激化懸念がある。貿易交渉が進展しなければ、9月1日から中国製品のほぼ中国からの輸入品ほぼすべてに制裁関税を拡大する「第4弾」を9月1日に発動する予定であるが、その交渉が順調でないとしている。中国を「為替操作国」とし、新たな制裁が課せられる可能性があり、人民元も市場予想ほどではないものの、じりじりと元安が進行している。
13日には、人民元の対ドル基準値(中間値)を1ドル=7.0326元と9営業日連続で元安に設定、基準値は11年ぶりの元安水準を更新した。こうしたリスクオフ要因が多い中、安全通貨である円が買われていく可能性は高いだろう。
CFTC建玉を見ると、ファンドは先週から円を買い越している。ドル円は105円の節目を前に下げ渋る可能性はあるが、戻りは売りが優勢となり、上値の重い展開が続くだろう。ドル円は年初来安値の104円台が視野に入りそうだ。
<今週の主な経済指標>
主な国内経済関連は、13日に7月国内企業物価指数、6月第三次産業活動指数、日米貿易協議事務レベル会合(14日まで、ワシントン)、14日に6月機械受注、決算発表。海外経済関連は、12日に米7月財政収支、13日に米7月消費者物価、14日に中国7月都市部固定資産投資、中国7月工業生産、中国7月小売売上高、ユーロ圏4-6月期GDP、米7月輸出入物価、15日に米8月NY連銀製造業景気指数、米8月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米7月小売売上高、米7月鉱工業生産・設備稼働率、米8月NAHB住宅市場指数、米6月企業在庫、16日に米7月住宅着工件数、米7月建設許可件数。
*CFTC建玉8月6日時点:ファンドのドル売り・円買いは1万0561枚(前週比+1万4779枚)と売り越しに転じた。総取組高は15万3338枚と前週比1万4496枚の増加。
*予想レンジ:104.00円~107.00円
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