【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は堅調に推移した。トルコのロシアへの軍事的接近を受けて、ムニューシン財務長官はトルコへの制裁を検討していると述べた。制裁に関して、米議会では検討どころか要請までされている状況。ただ、制裁に関してはトランプ大統領に最終決定権があり、同大統領はこれらの要請を拒んでいる。
今月末には、エルドアン・トランプ会談が開催される予定で、両国では、米トルコ間の貿易額を年1000億ドルに増額したい意向があるという。現在、米トルコの貿易額は約250億ドルなので、実現すれば4倍に拡大することになる。トルコ中央銀行は12日、政策金利である1週間物レポ金利を19.75%から3.25ポイント引き下げ16.5%とした。前回に続き大幅な利下げを決めた。事前の利下げ幅予想のレンジは1.25-4.00ポイント、中央値は2.75ポイントだった。金融政策委員会は、年末のインフレ率が先の予測を下回るとの見通しを示したが、一段の利下げの余地は小さいとほのめかした。通貨リラは上昇した。
*今週のトルコリラ円は、堅調地合いが継続しそうだ。トルコ中央銀行は12日、政策金利である1週間物レポ金利を19.75%から3.25ポイント引き下げ16.5%とした。金融政策委員会は、年末のインフレ率が先の予測を下回るとの見通しを示したが、一段の利下げの余地は小さいとほのめかした。トルコ中銀は声明で、「現時点で現行の金融政策姿勢は総じて、予想されるインフレ低下の軌道に沿っていると見なされる」と説明した。エルドアン大統領に指名され7月に就任したウイサル総裁は、同月に4.25ポイントの利下げを実施。今回と合わせ利下げ幅は7.5ポイントに達したが、政策金利は依然インフレ率をはるかに上回っている。
経済はリセッション(景気後退)から回復し始めたばかり、財政出動の余力もほとんどないため、エルドアン大統領は中銀に景気下支えを求め、高い金利はむしろ物価を押し上げるとして、中銀に更なる緩和を迫っている。トルコのアルバイラク財務相は講演で、今年全体の同国の経済成長率はプラスになるとの見通しを示した。第2四半期の前年比成長率は3四半期連続のマイナスとなったが、落ち込み幅は市場の予想よりも小さかった。
市場調査では、今年はゼロ成長になるとの予想だった。アルバイラク氏は、経済の再均衡化が望ましいレベルに近づいてきており、物価上昇率は9月に1桁台に鈍化するのは明白と指摘。今年の経済状態は政府目標を上回るだろうと付け加えた。 政府の成長率見通しは今年が2.3%、来年が3.5%。またアルバイラク氏は、13日に発表される7月の経常収支統計で、12カ月累計の黒字額が過去最高を記録する可能性があると述べた。同氏によると、政府は今月中に2020─22年の経済目標を公表するという。
16日に発表された6月失業率13.0%、前回12.8% 前回より悪化。若者層(15-24歳)の失業率が5.4%増加し24.8%になった。トルコ経済の足かせとなっており、シリアからの難民が職を奪っているようで、トルコ国民の不満が高まっている状況。難民が更に増えるようであれば、失業率が増加しエルドアン政権への不満が高まることになる。難民問題では、現在、シリア・アサド政府軍がイドリブを侵攻しようとしており、トルコへの難民が押し寄せる懸念が高まっている。
【トルコ経済指標】
16日月曜日
時間未定:エルドアン・プーチン会談
16:00 6月失業率前回12.8%
17日火曜日
20:30 7月住宅価格指数前年比前回+1.72%
18日水曜日
16:00 8月住宅販売前年比前回-17.5%
19日木曜日
20:00トルコ中央銀行金融政策決定会合議事要旨
*予想レンジ:17.50円~19.50円
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