テクニカルマイスター

商品、為替、株式相場を,ファンダメンタルズとテクニカルから思いつくままに分析。

2019年09月

【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は堅調に推移した。トルコのロシアへの軍事的接近を受けて、ムニューシン財務長官はトルコへの制裁を検討していると述べた。制裁に関して、米議会では検討どころか要請までされている状況。ただ、制裁に関してはトランプ大統領に最終決定権があり、同大統領はこれらの要請を拒んでいる。

今月末には、エルドアン・トランプ会談が開催される予定で、両国では、米トルコ間の貿易額を年1000億ドルに増額したい意向があるという。現在、米トルコの貿易額は約250億ドルなので、実現すれば4倍に拡大することになる。トルコ中央銀行は12日、政策金利である1週間物レポ金利を19.75%から3.25ポイント引き下げ16.5%とした。前回に続き大幅な利下げを決めた。事前の利下げ幅予想のレンジは1.25-4.00ポイント、中央値は2.75ポイントだった。金融政策委員会は、年末のインフレ率が先の予測を下回るとの見通しを示したが、一段の利下げの余地は小さいとほのめかした。通貨リラは上昇した。

*今週のトルコリラ円は、堅調地合いが継続しそうだ。トルコ中央銀行は12日、政策金利である1週間物レポ金利を19.75%から3.25ポイント引き下げ16.5%とした。金融政策委員会は、年末のインフレ率が先の予測を下回るとの見通しを示したが、一段の利下げの余地は小さいとほのめかした。トルコ中銀は声明で、「現時点で現行の金融政策姿勢は総じて、予想されるインフレ低下の軌道に沿っていると見なされる」と説明した。エルドアン大統領に指名され7月に就任したウイサル総裁は、同月に4.25ポイントの利下げを実施。今回と合わせ利下げ幅は7.5ポイントに達したが、政策金利は依然インフレ率をはるかに上回っている。

経済はリセッション(景気後退)から回復し始めたばかり、財政出動の余力もほとんどないため、エルドアン大統領は中銀に景気下支えを求め、高い金利はむしろ物価を押し上げるとして、中銀に更なる緩和を迫っている。トルコのアルバイラク財務相は講演で、今年全体の同国の経済成長率はプラスになるとの見通しを示した。第2四半期の前年比成長率は3四半期連続のマイナスとなったが、落ち込み幅は市場の予想よりも小さかった。

市場調査では、今年はゼロ成長になるとの予想だった。アルバイラク氏は、経済の再均衡化が望ましいレベルに近づいてきており、物価上昇率は9月に1桁台に鈍化するのは明白と指摘。今年の経済状態は政府目標を上回るだろうと付け加えた。 政府の成長率見通しは今年が2.3%、来年が3.5%。またアルバイラク氏は、13日に発表される7月の経常収支統計で、12カ月累計の黒字額が過去最高を記録する可能性があると述べた。同氏によると、政府は今月中に2020─22年の経済目標を公表するという。


16日に発表された6月失業率13.0%、前回12.8% 前回より悪化。若者層(15-24歳)の失業率が5.4%増加し24.8%になった。トルコ経済の足かせとなっており、シリアからの難民が職を奪っているようで、トルコ国民の不満が高まっている状況。難民が更に増えるようであれば、失業率が増加しエルドアン政権への不満が高まることになる。難民問題では、現在、シリア・アサド政府軍がイドリブを侵攻しようとしており、トルコへの難民が押し寄せる懸念が高まっている。


【トルコ経済指標】
16日月曜日
時間未定:エルドアン・プーチン会談
16:00 6月失業率前回12.8%

17日火曜日
20:30 7月住宅価格指数前年比前回+1.72%

18日水曜日
16:00 8月住宅販売前年比前回-17.5%

19日木曜日
20:00トルコ中央銀行金融政策決定会合議事要旨

20日金曜日
16:00 9月消費者信頼感指数前回58.3

lira0917

*予想レンジ:17.50円~19.50円

情報提供:㈱ミンカブジインフォノイド
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【南アランド円相場、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は上昇した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言や中国の預金準備率引き下げを受けてリスクオンムードが広がった。パウエル議長は6日、景気拡大を維持するため、FRBが引き続き「適切に」行動すると再表明した。中国人民銀行(中央銀行)は6日、市中銀行の預金準備率引き下げを発表した。格付け会社ムーディーズは、南アフリカの格付けについて前向きな見解を示したことも好感された。

ムーディーズの南ア格付けは投機的等級より1段階上となる「Baa3」で、見通しは「安定的」。3大格付け会社で唯一、投資適格級としている。ムーディーズはこの日、南アの格付けについて、財政リスクや経済改革を巡る政治的な制約は既に現在の格付けに反映されているとし、現行格付けを維持できるかどうかは経済改革のペースにかかっているとの見方を示した。ムーディーズはまた、近い将来に南アフリカの格付けを投資不適格級に引き下げる公算は小さいと指摘。ただ経営難に陥っている国営電力会社エスコムなどを含む改革のペースが緩慢であることが深刻なリスクになっているとの見方も示した。南アフリカ商工会議所(SACCI)が発表した8月の企業景況感指数は89.1と7月の92.0から低下し、1985年4月(88.1)以来34年ぶりの低水準となったことは南アランドの重石となった。輸出急減や通貨安などが要因。

*今週の南アランド円は、堅調地合いを維持しよう。18日に8月消費者物価指数(CPI)と、7月小売売上高が発表される。19日には南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)が政策金利を発表する。7月CPIは今年1月と同水準まで低下し、インフレ動向の落ち着きが好感された。もし、先月同様にインフレが落ち着けば、南アランド円は堅調に推移するだろう。またCPIが低下した場合は翌日のSARBの理事会で利下げが決定される可能性もあるが、国内総生産(GDP)が回復したことや、格付け発表前ということを考えれば、今回は金利を据え置くのではないか。逆に、利下げとなれば巨額な債務にあえぐ国営電力会社エスコムの救済に寄与するものとして評価されるのではないか。

先週、欧州中央銀行(ECB)が3年半ぶりの金融緩和に踏み込んだが、欧州の投資家にとっては、利回り面から見て南アランドがより魅力的になったようだ。ECBは先週12日の理事会で、利下げや量的緩和(QE)の再開など包括的な追加金融緩和策の導入を決定した。ユーロ圏成長の下支えや物価の押し上げに向けあらゆる措置を講じる決意を示した。また、今週は米連邦準備制度理事会(FRB)が18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを実施することがほぼ確実視されており、南アランドは対ドルでも堅調に推移しそうだ。


【南アフリカ経済指標】
18日水曜日
17:00 8月消費者物価指数前年比前回+4.0%、予想+4.2%
20:00 7月小売売上高前年比前回+2.4%、予想+2.6%

19日木曜日
時間未定:日銀金融政策決定会合
時間未定:南ア中銀政策金利前回6.50%、予想6.50%

zar0917

*予想レンジ:7.20円~7.50円


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【ドル円相場、今週の予想】
*今週のドル円は、108円を軸にして堅調に推移しそうだ。週明け16日のNY外国為替市場のドル円相場は、日米の金融政策決定会合を控えて108円台前半で小動きとなった。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は14日、国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設が無人機攻撃を受け、生産が一時的に停止したことを明らかにした。原油供給への懸念からリスクオフが強まり、アジア時間の早朝に107円台半ばに急落。その後は徐々に下げ渋り、前日の米国時間に108円台前半を回復した。

17〜18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が、18〜19日には日銀金融政策決定会合が開かれる。欧州中央銀行(ECB)が利下げを決定し、米国の利下げも確実視される中、日銀の対応を見極めたいとの思惑が広がり、次第にドルは買い戻された。

米連邦準備制度理事会(FRB)は今週のFOMCで追加利下げを決定すると予想されている。パウエル議長は9月6日の討論会で世界経済や米国経済にはやや強気な見方を示す一方、追加利下げを示唆しており、市場は0.25%ポイントの利下げ(2.25%⇒2.00%)を予想している。トランプ大統領は再三、大幅な利下げを要請しており、一部では0.5%ポイントの利下げも予想されているが、12日に発表された8月CPIは、コア指数前年比が18年7月以来の大幅な伸びを記録しと8月小売売上高も市場予想を上回った。インフレが回復しつつある点を踏まえると、大幅な利下げの可能性は小さいだろう。

ポイントは、声明やパウエル議長が会見で、年内の金融政策に関してハト派的な姿勢を見せるか、従来通りタカ派的な姿勢を維持するかであろう。利下げを受けて一時的にドル売りが強まる可能性はあるが、米中通商協議の進展期待が高まっているためドルの下落は長続きしないだろう。

19日の日銀金融政策決定会合では、黒田日銀総裁がマイナス金利の深堀りを示唆したことで、追加緩和への期待感が高まり円安要因となっている。ただ、すでに108円台へ上昇するなど円安基調が強まっている中で、追加緩和策を講じる可能性は低そうだ。

20日に予定されている米中次官級通商協議では、トランプ大統領が「暫定合意」を目指していることで、合意に向けた期待感が高まっている。ただ、ムニューシン財務長官が為替相場と為替操作も協議すると述べており、香港問題が絡無可能性もあり、暫定合意に失敗することも想定される。

懸念要因としては中東の地政学的リスクがある。14日にサウジアラビア東部の国営石油会社サウジアラムコの石油施設が、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による無人機(ドローン)で攻撃され、石油生産が日量570万バレル減少(世界の石油供給の5%超)すると報じられた。ポンペオ米国務長官は、イランによる攻撃の可能性と批判し、トランプ大統領は、「検証の結果次第では臨戦態勢を取る」と警告した。

国際軍事紛争の場合、巷では「有事のドル買い」と言われるが、湾岸戦争時を振り返ると米国が有事の当事者になった場合、「ドル売り・円買い」が進む。実際、週明け16日のアジア市場では一時107円50銭まで急落した。米国とイランとの軍事衝突の可能性が高まったり、実際に軍事衝突となればドル急落場面が出現しよう。


<今週の主な経済指標>
16日は中国小売売上高・鉱工業生産指数、トルコ失業率、NY連銀製造業景気指数、17日は中国新築住宅価格、独ZEW期待指数、米鉱工業生産指数、米FOMC(18日まで)、18日は貿易収支、日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目)、米住宅着工件数、米FOMC政策金利発表・FRB議長記者会見、19日は黒田日銀総裁が会見、豪失業率、英中銀金融政策、米景気先行指数、20日はユーロ圏消費者信頼感指数、ボストン連銀総裁が講演など。

*CFTC建玉9月10日時点:ファンドのドル売り・円買いは3万2591枚(前週比+4909枚)と増加。総取組高は15万1397枚と前週比6391枚の減少。

yen0917

*予想レンジ:106.50円~109.50円


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9月18日(水)
【9月17日の海外相場および市況】
ny0917

*17日のNY外国為替市場のドル円相場は、日米の中央銀行の金融政策決定を控えて様子見が広がり、108円台前半で小動きとなった。108円06〜16銭。米連邦準備制度理事会(FRB)は17日から2日間の日程で金融政策会合を開催。世界経済の減速リスクを背景に、最終日の18日に0.25%の利下げを決定することが有力視されている。一方、日銀は18、19日に会合を開く。この日、攻撃を受けたサウジアラビアの石油関連施設がこう2-3週間でフル生産に戻るとし、想定よりも早く復旧するとの報道を受けてリスク選好姿勢が回復し、一時108円35銭まで上昇した。ただ、主要イベントを控えて買いは長続きしなかった。

*17日のNY金は小幅続伸。1513.40ドル(+1.90)。米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて様子見が広がった。18日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見やFOMCの声明内容などを見極めたいとの見方が広がる中、積極的な商いは手控えられた。FRBは18日まで2日間開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決定すると見込まれている。ただ、外国為替市場では対ユーロでドルが下落し、ドル建て金に割安感が生じ上昇となった。米追加利下げが確実視されていることも相場の支援材料となった。

NY白金は3日ぶりに反発。944.20ドル(+5.00)。
パラジウムも高い。1597.70ドル(+5.50)。

*17日のNY原油は、サウジアラビアの石油施設が早期に生産復旧するとの見通しが伝わり、急反落した。59.34ドル(-3.56)。16日、主要産油国サウジの供給懸念から急騰。同国国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設が14日、無人機による攻撃を受け、8月の同国産油量の6割に当たる日量570万バレルの生産が停止。産油量が通常の水準に回復するまで数カ月かかる可能性が報じられていた。しかし、この日、施設復旧が当初の想定より早く進んでいるとの報道を受け、58ドル台に急落。ロイター通信は攻撃で中断した570万バレルの生産のうち7割の回復が近いほか、完全復旧までに2、3週間かかる見通しだと報じた。サウジのアブドルアジズ・エネルギー相も、月末までに同国の産油量が施設攻撃前の水準に戻るとの見通しなどを明らかにし、下げ幅が拡大した。北海ブレント原油は、64.55ドル(-4.47)。

*17日のシカゴトウモロコシは反落。368.00セント(-6.00)。原油相場の軟化に加え、米中西部で温暖な天候が予想され、収穫高を押し上げるとの見方が売りの背景。穀物相場は前日は原油高を受けて上昇したが、この日の原油相場は5%超下落。農作物はエタノールやバイオディーゼル燃料に使用されるため、農産物相場と原油相場は関連している。

シカゴ大豆は反落。893.75セント(-6.25)。米農作物の生育に良好な天候や、原油相場の反落が重石となった。農作物はエタノールやバイオディーゼル燃料の原料となるため、農産物相場は時として原油相場に足並みをそろえる。米中西部の各地では今後2週間にわたり、平年を上回る気温が予報されており、一部の作物が降霜による悪影響を受ける可能性があるとの懸念が後退した。


*17日のNYダウは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を控えて様子見が強まり小反発した。2万7110.80ドル(+33.98)。FRBは17日、2日間の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開始した。市場では0.25%の利下げが決まるとの見方が大勢を占めている。ただ、18日に発表される声明文やパウエルFRB議長の記者会見で、年内の追加利下げの有無などを見極めたいとの思惑も強く、積極的な売買が手控えられた。無人機による攻撃を受けたサウジアラビアの石油生産が当初の想定よりも早く復旧するとの報道があった。その後、同国のアブドルアジズ・エネルギー相が会見で9月末までに攻撃前の水準に戻るとの見通しを明らかにした。供給懸念から急騰していた原油相場が下げに転じたため、大幅な原油高が景気を下押しするとの警戒感が和らいだ。トランプ大統領はこの日、中国との貿易協議が近くまとまる可能性があると発言。中国との取引が多い航空機大手ボーイングなどに買いが入り、ダウは終盤にかけて値を上げた。


【18日の経済指標】
未定   (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
未定   (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)  
08:50   (日) 8月 貿易統計(通関ベース、季調前)  -2507億円
08:50   (日) 8月 貿易統計(通関ベース、季調済)  -1268億円 
17:00   (南ア) 8月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  4.0%  4.3% 
17:30   (英) 8月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  2.1%  1.8% 
17:30   (英) 8月 消費者物価指数(CPIコア指数) [前年同月比]  1.9%  1.8%
17:30   (英) 8月 小売物価指数(RPI) [前年同月比]  2.8%  2.4% 
17:30   (英) 8月 卸売物価指数(食品、エネルギー除くコアPPI) [前年同月比]  2.0%  1.9% 
18:00   (欧) 7月 建設支出 [前年同月比]  1.0%  ― 
18:00   (欧) 8月 消費者物価指数(HICP、改定値) [前年同月比]  1.0%  1.0% 
18:00   (欧) 8月 消費者物価指数(HICPコア指数、改定値) [前年同月比]  0.9%  0.9% 
20:00   (米) MBA住宅ローン申請指数 [前週比]  2.0% 
20:00   (南ア) 7月 小売売上高 [前年同月比]  2.4%  2.7% 
21:30   (加) 8月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  2.0% 
21:30   (米) 8月 住宅着工件数 [年率換算件数]  119.1万件  125.3万件 
21:30   (米) 8月 建設許可件数 [年率換算件数]  131.7万件  132.0万件 
27:00   (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表  2.00-2.25%  1.75-2.00% 
27:30   (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見 


第225回
『おしえて陳さん』 
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*マーケットスクランブル出演
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9月17日(火)
【9月16日の海外相場および市況】
ny0916

*週明け16日のNY外国為替市場のドル円相場は、日米の金融政策決定会合を控えて様子見が広がる中、108円台前半で小動きとなった。108円10〜20銭。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は14日、国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設が無人機攻撃を受け、生産が一時的に停止したことを明らかにした。

昨日16日は、原油供給への懸念からリスクオフが強まり、アジア時間の早朝に107円台半ばに急落。その後は徐々に下げ渋り、前日の米国時間に108円台前半を回復した。17〜18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が、18〜19日には日銀金融政策決定会合が開かれる。欧州中央銀行(ECB)が利下げを決定し、米国の利下げも確実視される中、日銀の対応を見極めたいとの思惑が広がり、次第にドルは買い戻された。

*週明け16日のNY金は、中東情勢の緊迫化を背景に買われ、反発した。1511.50ドル(+12.00)。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は14日、東部にある国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設が無人機攻撃を受け、攻撃された2カ所での石油生産が一時的に停止したことを明らかにした。これを受けて、「質への逃避」買いが金に集まった。一方で、外国為替市場では対ユーロでドル高が進行し、ドル建て金は割高感から上値が抑えられた。14日、2カ所のサウジ石油関連施設が無人機に攻撃されたことを受け、石油価格が急騰。金融市場では株価が幅広く下落した。イエメンの反政府武装組織フーシ派が犯行を主張したが、米政府高官はイランの関与を示唆した。

NY白金は続落。939.20ドル(-13.00)。
パラジウムも安い。1592.20ドル(-8.70)。

*週明け16日のNY原油は、サウジアラビアの石油施設への攻撃で供給懸念が強まり、急騰した。62.90ドル(+8.05)。5月21日以来約4カ月ぶりの高値を付けた。サウジの国営石油会社サウジアラムコは14日、石油関連施設が無人機による攻撃を受け、8月の同国産油量の6割に当たる日量570万バレルの生産が停止したと発表した。関係者からは、通常の産油量に回復するまでに数カ月かかるかもしれないと伝えられた。原油主要輸出国であるサウジからの供給に懸念が広がる中、原油相場は急騰し、一時63.38ドルまで買われた。トランプ大統領は15日に「必要に応じて戦略石油備蓄を放出することを承認した」とツイッターに投稿。原油は一時的に売り戻される場面もあった。ただ、イエメン内戦に軍事介入するサウジ主導の連合軍報道官が16日、攻撃に使われた武器がイラン製だったとする予備調査を明らかにしたことを受けて、中東の地政学的リスクへの警戒感が一段と高まり、再び上げ幅を拡大した。

北海ブレント原油は、69.02ドル(+8.80)。15日の時間外取引で約20%高まで上昇し、ブレントの上昇率はペルシャ湾岸危機(1990〜91年)以来の大きさとなった。ただ、さまざまな国が石油備蓄の放出を表明すると、上げ幅は縮小した。トランプ大統領が戦略石油備蓄の放出を承認したことは、相場上昇の抑制要因になった。

*週明け16日のシカゴトウモロコシは続伸。374.00セント(+5.25)。原油相場の高騰を映し、2週間ぶり高値を付けた。農産物はエタノールやバイオディーゼル燃料に使用されるため、農産物の先物相場と原油相場は関連している。市場予想によると、16日に発表される米農務省のクロップ・プログレスの米トウモロコシの作柄は「良」か「優」が54%で、前週から1%低下する見込み。


シカゴ大豆は続伸。900.00セント(+1.25)。原油相場の高騰を映し、一時7月以来の高値を付けた。一時、7月30日以来の高値となる904.75セントまで上昇した。農作物はエタノールやバイオディーゼル燃料に使用されるため、農産物相場と原油相場は関連している。米農務省は16日、中国向けの米大豆25万6000トンが成約されたと発表した。中国向け販売が確認されたのは2営業日連続。


*週明け16日のNYダウは、サウジアラビアの石油施設への攻撃で緊迫する中東情勢を警戒し、9営業日ぶりに反落した。2万7076.82ドル(-142.70)。国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設が14日、無人機の攻撃を受け、同国の産油量のおよそ半分に当たる日量570万バレルの生産が停止。国際石油市場では供給不安から原油価格が急騰した。米中の通商摩擦激化で減速している世界経済の成長を原油高が一段と押し下げるとの懸念から、世界的に投資家のリスク回避姿勢が強まり、ダウも一時190ドル近く下落した。今週最大のイベントである17、18両日の連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げが確実視されている。しかし、原油高で物価が上昇すれば、連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを続けづらくなるとの思惑も広がった。


【17日の経済指標】
未定   (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
10:30   (豪) 4-6月期 四半期住宅価格指数 [前期比]  -3.0%   
10:30   (豪) 4-6月期 四半期住宅価格指数 [前年同期比]  -7.4%   
10:30   (豪) 豪準備銀行(中央銀行)、金融政策会合議事要旨公表 
18:00   (独) 9月 ZEW景況感調査(期待指数)  -44.1  -36.0 
18:00   (欧) 9月 ZEW景況感調査  -43.6  
22:15   (米) 8月 鉱工業生産 [前月比]  -0.2%  0.2% 
22:15   (米) 8月 設備稼働率  77.5%  77.6% 
23:00   (米) 9月 NAHB住宅市場指数  66  66 
29:00   (米) 7月 対米証券投資  17億ドル

第225回
『おしえて陳さん』 
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*マーケットスクランブル出演
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9月16日(月)
【9月13日の海外相場および市況】
ny0913

*週末13日のNY外国為替市場のドル円は、日米の金融政策決定会合を翌週に控えて様子見が広がり、108円台前半で小動きとなった。108円05~15銭。来週17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が、18~19日には日銀金融政策決定会合が開かれる。欧州中央銀行(ECB)が12日に3年半ぶりの利下げを決め、米国の利下げも確実視される中で、日銀の対応方針を見極めたいとの気分も強く、値動きは限られた。トランプ大統領は12日、中国との貿易協議をめぐり知的財産権保護など幅広い懸案を含めた「包括合意を望んでいる」とした一方で、早期の妥結を目指す暫定合意の可能性も「考えるかもしれない」と述べた。米中協議の進展期待から投資家のリスク回避姿勢が和らいだ。8月米小売売上高は前月比0.4%増加と、市場予想の0.2%増を上回ったが、相場の反応は限定的だった。

CFTC建玉9月10日時点:ファンドのドル売り・円買いは3万2591枚(前週比+4909枚)と増加。総取組高は15万1397枚と前週比6391枚の減少。


*週末13日のNY金は、3日ぶりに反落した。1499.50ドル(-7.90)。トランプ大統領は12日、中国との貿易協議をめぐり知的財産権保護など幅広い懸案を含めた「包括合意を望んでいる」とした一方で、早期の妥結を目指す暫定合意の可能性も「考えるかもしれない」と述べた。また、中国国営新華社通信は13日、米製品に課している報復関税の対象から大豆や豚肉を除外すると報道。米中摩擦緩和への期待が高まり、安全資産である金は売りが優勢となった。8月米小売売上高が予想を上回ったことも、金の押し下げ材料となった。

CFTC建玉9月10日時点:ファンドの金買い越しは26万9725枚(前週比+3万0822枚)と減少。総取組高は61万4753枚と前週比1万9605枚の


白金は3日ぶりに反落。952.20ドル(-0.40)。
パラジウムは4日ぶりに反落。1600.90ドル(-3.90)。

CFTC建玉9月10日時点:ファンドの白金買い越しは3万4919枚(前週比+1760枚)と増加。総取組高は9万4478枚と前週比5781枚の増加。


*週末13日のNY原油は、米中貿易協議の進展期待が下支え要因となった半面、世界的な景気減速懸念が重石となり、4日続落した。54.85ドル(-0.24)。世界的な景気減速懸念がくすぶる中、原油需給の先行き不透明感が下押し要因となった。国際エネルギー機関(IEA)は12日公表の月報で「市場の需給は大幅な供給過剰に戻る見込みで、相場を圧迫するだろう。2020年に入っても当面は市場管理が困難な課題であり続ける」と予想した。OPEC主導による協調減産の効果を米国の増産が相殺するとみられている。ただ、米中貿易摩擦が緩和に向かうとの楽観的な見方からNYダウが上昇したため、同じリスク資産である原油の下げ幅は抑えられた。米中両政府は閣僚級貿易協議を10月上旬に控え、今週に入り歩み寄りの姿勢を見せている。トランプ米大統領は12日、対立が小さい分野に限定し、早期の妥結を目指す暫定合意の可能性も「考えるかもしれない」と述べた。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国のグループ「OPECプラス」は、今のところ協調減産幅の拡大を決めていない。北海ブレント原油は、60.22ドル(-0.16)。

CFTC建玉9月10日時点:ファンドの原油買い越しは42万8205枚(前週比+4万4048枚)と増加。総取組高208万0994枚と前週比1421枚の減少。


*週末13日のシカゴトウモロコシは続伸。368.75セント(+1.50)。貿易をめぐる米中の緊張緩和を受けた大豆相場高が支援材料となった。大豆相場は米中が緊張緩和に向かう兆候と中国の輸入再開を背景に続伸した。一方、米国産トウモロコシの収穫が予想を上回るとの懸念が部分的に下げ圧力となった。

CFTC建玉9月10日時点:ファンドのトウモロコシ売り越しは7478枚(前週比+2万8490枚)と増加、売り越しに転じた。総取組高は162万5371枚と前週比5万4036枚の増加。


シカゴ大豆は続伸。898.75セント(+3.25)。米中貿易摩擦が緩和する兆候を背景に、3%超上昇した前日からさらに上昇した。中国は米国産大豆の輸入を再開。追加関税の対象からも除外した。

CFTC建玉9月10日時点:ファンドの大豆売り越しは4万6627枚(前週比-2万1643枚)と減少。総取組高は66万9501枚と前週比2万7369枚の増加。


*週末13日のNYダウは、米中貿易摩擦の緩和期待を背景に8営業日続伸した。2万7219.52ドル(+37.07)。トランプ大統領は12日、中国との貿易協議をめぐり、対立が小さい分野に絞った「暫定合意」も排除しない考えを示唆。また、中国国営新華社通信は13日、中国が米国産農産物の輸入再開に向け、米製品に課している報復関税の対象から大豆や豚肉などを除外すると報じた。市場では、10月の閣僚級貿易協議を前に両国が歩み寄りの姿勢を示したものと受け止められ、貿易摩擦緩和への期待から中国関連株を中心に買いが入った。8月米小売売上高は季節調整後で前月比0.4%増加し、市場予想の0.2%増を上回った。堅調な経済指標を受けて米景気の先行きに楽観的な見方が広がったことも株価の支援材料となり、一時95ドル高まで買われた。

9月13日(金)
【9月12日の海外相場および市況】
ny0912

*12日のNY外国為替市場では、米中貿易協議の進展期待を背景に円売り・ドル買いが優勢となり、108円台前半に上昇した。108円05〜15銭。トランプ大統領は11日、昨年発動した中国からの輸入品2500億ドルに対する1〜3弾の追加関税率引き上げを10月1日から15日に延期すると表明した。また、中国が知的所有権保護と米農産品の購入を確約した場合、中国製品に対する制裁関税の発動を先延ばししたり一部縮小したりする暫定合意案をトランプ政権が検討したと報じられた。その後、この報道を否定するホワイトハウス高官のコメントが伝わったものの、摩擦緩和への期待感が継続し、安全通貨である円は売りが優勢となった。一方、欧州中央銀行(ECB)は12日の定例理事会で、マイナス金利の深掘りと量的緩和の再開を決定。事前には量的緩和の再開に懐疑的な見方もあったため、ECBの決定は想定以上にハト的と受け止められ、ユーロが急落し、ドル円も連れ安となった。ただ、ドラギ総裁が会見で通貨安の追求を否定したことなどでユーロは反発し、ドル円も買い戻された。米中貿易協議の進展期待から米株高・債券安となったため、ドル円は押し上げられた。

*12日のNY金は、欧州中央銀行(ECB)による利下げ発表を受けて買われ、続伸した。1507.40ドル(+4.20)。ECBはこの日、3年半ぶりとなる利下げを決定。これを受けて、金利を生まない資産である金が買われた。また、ドルが対ユーロで一時の上昇から弱含みに転じたことも、ドル建て金の追い風になった。ただ、米中貿易協議に対する期待からNYダウが上伸し、安全資産とされる金は徐々に上げ幅を削った。

NY白金は続伸。952.60ドル(+12.40)。
パラジウムは史上最高値に上昇。1604.80ドル(+48.00)。一時、1621.55ドルと史上最高値を付けた。主要産地の南アフリカの鉱山で労働争議の可能性が浮上、供給逼迫への懸念が高まった。南アの白金鉱業労組は10日、主要鉱業各社との賃金交渉が行き詰まったと公式に発表した。問題が解決しなければ、ストの可能性が高まるとしている。

*12日のNY原油は、供給過剰懸念や米中貿易協議進展への一時の期待が後退する中で売られ、3日続落した。55.09ドル(-0.66)。サウジアラビアのアブドルアジズ新エネルギー相は、サウジは協調減産合意に基づく以上の生産削減を続けるとしつつも、12月の石油輸出国機構(OPEC)総会まで一段の減産が決まることはないだろうと発言した。これを受けて、需給の不均衡に対する警戒感が高まった。米産油量の増加によって2020年の需給均衡が「非常に困難になる」との見解を国際エネルギー機関(IEA)が示したことも、弱気の地合いを強める要因になった。IEAは今年と来年の需要の伸び見通しを、それぞれ日量110万バレル、130万バレルに据え置いた。トランプ政権では中国との貿易協議をめぐり、同国が知的所有権保護と米農産品の購入を確約した場合、中国製品に対する制裁関税の発動を先延ばししたり、一部縮小したりする暫定合意案を検討したと報道され、米中摩擦緩和への期待が一段と高まった。ただ、米ホワイトハウス高官がこの報道を否定したと伝わると、過度の期待が後退し、原油の売り圧力が強まった。
北海ブレント原油は、60.38ドル(-0.43)。

*12日のシカゴトウモロコシは反発。367.25セント(+7.25)。大豆相場高に連れ高し、米中貿易摩擦が緩和するとの楽観的な見方も支援要因。米農務省は12日発表した9月の需給報告で、米国産トウモロコシの単収予測を1エーカー当たり168.2ブッシェルと、前月の169.5ブッシェルから下方修正した。

シカゴ大豆は反発。895.50セント(+29.00)。中国による新たな買い付けがあり、米中貿易摩擦の緩和兆候が好感された。


*12日のNYダウは、欧州中央銀行(ECB)による金融緩和や米中貿易協議の進展期待を支えに7営業日続伸した。2万7182.45ドル(+45.41)。ECBは12日の定例理事会で、利下げや量的緩和の再開を含む包括的な追加金融緩和策の導入を決定。利下げは2016年3月以来3年半ぶりで、「中銀預入金利」を現在のマイナス0.4%から過去最低のマイナス0.5%に引き下げる。昨年末で終了していた量的緩和については、11月から月200億ユーロの資産購入規模で再開する。マイナス金利の深掘りは予想されていたが、ドイツなどの反対で量的緩和再開までは踏み込まないとの見方もあっただけに、予想以上のハト派的な決定が好感されて、NYダウにも追い風になった。一方、米中貿易摩擦をめぐっては、10月上旬に開かれる閣僚級協議に向けて歩み寄りの動きがみられることが市場センチメントの改善につながった。トランプ米大統領は11日、10月1日に予定していた対中制裁関税第1〜3弾の税率引き上げを15日に延期すると表明。また、中国商務省の報道官は12日の記者会見で中断していた米国産農産物の輸入を再開する意向があることを明らかにした。


【13日の経済指標】
未定   (中) 休場
13:30   (日) 7月 鉱工業生産・確報値 [前年同月比]  0.7%  
13:30   (日) 7月 設備稼働率 [前月比]  -2.6% 
16:00   (トルコ) 7月 経常収支  -5.5億ドル 
16:00   (トルコ) 7月 鉱工業生産 [前月比]  -3.7%   
18:00   (欧) 7月 貿易収支(季調済)  179億ユーロ   
18:00   (欧) 7月 貿易収支(季調前)  206億ユーロ 
21:30   (米) 8月 輸入物価指数 [前月比]  0.2%  -0.5% 
21:30   (米) 8月 輸出物価指数 [前月比]  0.2% 
21:30   (米) 8月 小売売上高 [前月比]  0.7%  0.3% 
21:30   (米) 8月 小売売上高(除自動車) [前月比]  1.0%  0.2% 
23:00   (米) 9月 ミシガン大学消費者態度指数・速報値  89.8  
23:00   (米) 7月 企業在庫 [前月比]  0.0%  0.4%


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9月12日(木)
【9月11日の海外相場および市況】
ny0911

*11日のNY外国為替市場では、米中の貿易協議進展への期待を背景に円売り・ドル買いが優勢となり、107円台後半に上昇した。107円80〜90銭。中国財政省は11日、米国の対中制裁関税への報復として発動した追加関税について、16品目を適用対象から除外すると発表。米中貿易摩擦の緩和期待から安全資産とされる円を売ってドルを買う動きが優勢となった。米長期金利の上昇や堅調なNYダウを背景に円安・ドル高地合いが継続した。8月米卸売物価指数(PPI)が、季節調整後で前月比0.1%上昇、エネルギーと食料品を除いたコア指数は0.3%上昇と、ともに予想を若干上回ったこともドル買いを後押しした。ただ、欧州中央銀行(ECB)定例理事会と米連邦公開市場委員会(FOMC)をそれぞれ12日と17、18両日に控えて値動きは限定的だった。

*11日のNY金は、米欧中銀が一段の金融緩和に動くとの期待などを背景に買いが入り、5営業日ぶりに反発した。1503.20ドル(+4.00)。前日の反動による安値拾いに加え、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策会合を控えて、両中銀が一段の金融緩和に動くとの期待が金利を生まない資産である金の支援要因になった。ただ、米中貿易協議の進展期待や過度の景気減速懸念の後退などを背景にNYダウが上昇し、安全資産としての金買いは盛り上がらなかった。

NY白金は5日ぶりに反発。940.20ドル(+3.60)。
パラジウムは続伸。1556.80ドル(+2.70)。

*11日のNY原油は、トランプ政権による対イラン制裁の緩和観測などが重石となり、続落した。55.75ドル(-1.65)。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計によると、6日までの1週間の国内原油在庫は前週比690万バレル減少と、市場予想(270万バレル減)に比べて大幅なマイナスだった。しかし、トランプ大統領がイランに対する制裁緩和に言及したとの一部報道がきっかけで買いが優勢となった。トランプ大統領は10日、対イラン強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)の更迭を発表した。また、石油輸出国機構(OPEC)が11日に公表した月報で、2019年および20年の世界石油需要の増加見通しを下方修正したことも弱材料。10日にはEIAが月次短期エネルギー見通しで、19年の世界石油需要の増加見通しを引き下げていた。北海ブレント原油は、60.81ドル(-1.57)。一時60.52ドルの安値を付けた。

*11日のシカゴトウモロコシは反落。360.00セント(-1.50)。米中西部の残暑で、遅れて作付けされた作物の成育が促進されるとの見方が重石となった。米コーンベルトでは今後2週間、平年を上回る気温が見込まれており、遅れていた作物の生育が進むほか、霜のリスクが減る可能性がある。中国が対米追加関税の除外品としてトウモロコシやエタノールを含めなかったことによる失望感も、相場を押し下げた。

シカゴ大豆は反落。866.50セント(-5.50)。米中西部での良好な天候見通しや、中国が米国からの輸入品に対する追加関税除外リストに大豆を含めなかったため失望感が広がった。米中西部では今後2週間、平年を上回る気温が続くとみられ、霜のリスクが減る可能性がある。

*11日のNYダウは、アップルやボーイングなどの主要銘柄がけん引し、6営業日続伸した。2万7137.04ドル(+227.61)。7月30日以来、約1カ月半ぶりに終値ベースで2万7000ドル台を回復した。アップルは10日、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新モデルに加え、新たに参入する動画配信サービスの詳細などを発表。スマホ市場が世界的に頭打ちとなる中、サービス分野が今後の成長源になるとの期待から買われた。また、ボーイングのミューレンバーグ最高経営責任者(CEO)は11日の会合で、2件の墜落事故を起こした新型旅客機「737MAX」の運航再開時期が10〜12月期の早い時点になるとの見通しを改めて表明し、これを好感した買いが膨らんだ。中国財政省は11日、米国の対中制裁関税への報復として発動した追加関税について、抗がん剤や潤滑油など16品目を適用対象から除外すると発表。10月にワシントンで開かれる閣僚級会合に向け、米中貿易協議が進展するとの期待が広がり、株価を押し上げた。


【12日の経済指標】
08:50   (日) 8月 国内企業物価指数 [前年同月比]  -0.6% 
08:50   (日) 7月 機械受注 [前年同月比]  12.5%  
13:30   (日) 7月 第三次産業活動指数 [前月比]  -0.1% 
15:00   (独) 8月 消費者物価指数(CPI、改定値) [前年同月比]  1.4%
18:00   (欧) 7月 鉱工業生産 [前年同月比]  -2.6%   
20:00   (トルコ) トルコ中銀、政策金利  19.75%   
20:45   (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利  0.00%   
21:30   (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
21:30   (米) 8月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  1.8%  1.7% 
21:30   (米) 8月 消費者物価指数(CPIコア指数) [前年同月比]  2.2%  2.3% 
21:30   (米) 前週分 新規失業保険申請件数 
27:00   (米) 8月 月次財政収支  -1197億ドル 


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9月11日(水)
【9月10日の海外相場および市況】
ny0910


*10日のNY外国為替市場では、主要中銀による金融政策決定を控えて持ち高調整の円売りが続き、107円台半ばに上昇した。107円49〜59銭。来週の日銀金融政策決定会合をめぐる一部の報道を材料に、日米金利差拡大の思惑でドルが買われ、107円50銭前後に上昇した。さらに、中国が華為技術(ファーウェイ)への制裁緩和などを条件に米国の農産物を購入する方針と報じられ、米中貿易協議が進展するとの観測が浮上し、NYダウ・長期金利の上昇も加わってドル買い・円売りが進んで一時107円60銭に迫り、8月初め以来の高値をつけた。12日には欧州中央銀行(ECB)、17~18日には米連邦準備制度理事会(FRB)がそろって利下げを決めるとみられている。18~19日に政策決定会合を開く日銀も追加緩和に関する議論により前向きになっていると一部で報じられた。

*10日のNY金は、リスク投資意欲の回復などを背景に売り地合いが続き、4営業日続落した。1499.20ドル(-11.90)。8月6日以来約1カ月ぶりに心理的な節目である1500ドルを割り込んだ。12日に欧州中央銀行(ECB)、17〜18日に米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策会合を控えて、主要中銀が景気下支えのため一段の金融緩和に踏み切るとの観測が広がっている。米国債利回りはドイツ国債利回りの上昇に足並みをそろえる形で、数週間ぶりの高水準となった。世界の中央銀行が景気刺激策を講じるとの見方が広がり、リスク選好意欲が高まった。米中両政府が閣僚級貿易協議の再開で合意したことも、安全資産である金の売りを強めた。また、外国為替相場では対ユーロでドル高が進み、ドル建て商品に割高感が生じ、相場を押し下げた。

NY白金は4日続落。936.60ドル(-16.10)。
パラジウムは3日ぶりに反発。1554.10ドル(+17.30)。

*10日のNY原油は、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の更迭や米エネルギー情報局(EIA)の見通しなどを受けて売りが優勢となり、反落した。57.40ドル(-0.45)。トランプ大統領は10日、ツイッターで、ボルトン大統領補佐官を更迭したと明らかにした。「ボルトン氏の多くの提案について意見が異なった」と指摘。トランプ大統領と強硬派のボルトン氏は、北朝鮮やイランとの対話やアフガニスタンからの米軍撤退などをめぐって意見対立が表面化していた。これを受け、イランをめぐり高まっていた地政学的リスクに対する警戒感が後退、原油相場は売りに転じた。さらにEIAは、10日発表の月次短期エネルギー見通し(STEO)で2019年、20年のWTIの価格見通しをともに前月予想から下方修正したほか、19年の世界石油需要の増加見通しも引き下げた。また、外国為替相場では対ユーロでドル高が進み、ドル建て商品に割高感が生じ、相場を押し下げた。最近の上昇の反動から利益確定の売りも出やすかったようだ。北海ブレント原油は、62.38ドル(-0.21)。

*10日のシカゴトウモロコシは反発。361.50セント(+7.25)。米国産トウモロコシの作柄状況が予想を下回ったことが支援材料。米農務省は9日、8日現在のトウモロコシの作柄状況について「優」「良」の占める割合が先週の58%から55%に低下したと発表した。

シカゴ大豆は上昇。872.00セント(+14.25)。米中西部の一部で大豆の生育が遅れていることから、単収をめぐる懸念が増した。米農務省が9日発表したクロップ・プログレスによると、8日現在の大豆の作柄状況は「優」「良」の占める割合が55%で前週と変わらず、市場予想通りだった。一方、着さや率については92%と、5年平均の99%を下回った。

*10日のNYダウは、米中貿易協議の進展への期待から5営業日続伸した。2万6909.43ドル(+73.92)。香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は10日、米国との貿易協議を有利に進めることを狙い、中国が米農産品の購入を増やすことに同意する見通しだと報じた。10月にワシントンで開かれる閣僚級会合を前に、事務レベルで合意案の内容について話し合われているという。市場では両国の協議進展への期待が広がる中、中国との取引が多い化学大手ダウや航空機大手ボーイングなどの銘柄に買いが入った。また、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)は10日、米政府に押収されていた自社の通信機器が返還されたことを受け、米商務省などに対する訴訟の一部を取り下げたと発表。こうした動きも両国の緊張緩和につながると好感された。一方、12日に欧州中央銀行(ECB)定例理事会、17、18両日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、この日はひとまず利益を確定する動きも目立った。


【11日の経済指標】
08:50   (日) 7-9月期 四半期法人企業景気予測調査・大企業全産業業況判断指数(BSI)  -3.7   
08:50   (日) 7-9月期 四半期法人企業景気予測調査・大企業製造業業況判断指数(BSI)  -10.4   
09:30   (豪) 9月 ウエストパック消費者信頼感指数  100.0   
20:00   (米) MBA住宅ローン申請指数 [前週比]  -3.1%
21:30   (米) 8月 卸売物価指数(PPI) [前年同月比]  1.7% 
21:30   (米) 8月 卸売物価指数(PPIコア指数) [前年同月比]  2.1%  ―
23:00   (米) 7月 卸売在庫 [前月比]  0.0%   
23:00   (米) 7月 卸売売上高 [前月比]  -0.3% 


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【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
先週のメキシコペソ円は上昇した。
2日に発表されたメキシコ景況感は49.7と前回49.4を上回った。また、メキシコ製造業PMIは49.00と前回49.8を下回った。景況感は前回より改善していたが、国内総生産(GDP)に関係するPMIが悪化したことが重石となった。この結果は2011年以来最悪の結果となった。一方、 格付け会社フィッチが3日、アルゼンチンの自国通貨および外貨建て長期発行体デフォルト格付け(IDR)を「RD」(一部債務不履行)から「CC」に引き上げたことは、メキシコペソのサポート要因になったようだ。ただ、CCの格付けは、さらなるデフォルトや何らかの形の債務再編の可能性が高いことを反映しているため、安心は禁物ともいわれている。

ロペスオブラドール大統領は5日、エブラルド外相をワシントンに派遣すると発表した。トランプ政権が持ち出した全てのメキシコ産品への関税発動について、6月に無期延期と引き換えに約束した不法移民対策の成果を報告する。メキシコ政府は実績を強調し、将来的な関税措置を回避したい考え。エブラルド外相は10日にワシントンでポンペオ国務長官と会談する予定。ただ会談日程は現時点では1日のみになっており、今後の不法移民対策や関税措置についての交渉はされず、メキシコ政府から米政府への報告にとどまるとみられる。


*今週のメキシコペソ円は、保ち合いとなりそうだ。メキシコ中央銀行は8月28日、今年の経済見通しを事実上、ゼロ成長に下方修正し、29日には、景気停滞は消費と投資を中心に大半の分野で需要が弱いことを反映しているとする15日の政策会合議事要旨を公表した。これを受けて、9月26日の中銀会合で0.25%の利下げがあるとの観測が高まった。2日に発表されたメキシコ景況感は49.7と前回49.4を上回った。一方、メキシコ製造業PMIは49.00と前回49.8を下回った。景況感は前回より改善していたが、国内総生産(GDP)に関係するPMIが悪化し、2011年以来最悪の結果となった。各経済部門の健全性が悪化している証拠と見られ、オブラドール大統領の経済政策に疑問が高まっている。

ただ、世界各国の中央銀行が相次いで政策金利を引き下げる中、メキシコ中銀が政策金利を現状の8.00%から100ベーシスポイント(bp)引き下げて7.00%にしたとしても、他の通貨と比べた相対的な魅力は低下しないと見られている。メキシコ中銀は2015年12月から18年12月にかけて政策金利を合計で525bp引き上げることで、債務返済のために外国から資金を呼び込むとともに、ペソの急落を防いだ。 だが同中銀は先月には14年6月以降で初めて利下げに踏み切り、政策金利を25bp引き下げて8.0%とした。それでも米国の政策金利(2.0─2.25%)との差は600bpと、アルゼンチンとトルコに次いで世界で3番目に高い水準にある。世界の他国も政策金利を引き下げているため、たとえメキシコ中銀が向こう6カ月間で100bpといった規模の利下げに踏み切ったとしても、メキシコペソは依然として最も魅力的なキャリー通貨になると見られている。

エブラルド外相は6日、米からの関税発動の無期延期と引き換えに約束した対策の結果、メキシコに流入する不法移民が56%減少したと発表した。対策開始前の5月と直近の8月の実績とを比較した。10日に米側に実績を報告する予定だが「もう関税で脅しをかけてくることはないだろう」と交渉に自信をみせ、米政府に不法移民問題の根本解決に向け、中米地域の経済開発による雇用創出のための投資を速やかに実施するように求めるとした。一方で米政府が6月の交渉時に求めたメキシコ国内で米への難民申請を希望する移民の手続き実施と待機を認める協定に関しては「選択肢として全く考えられない」と強く否定した。米政府は5月末にメキシコ政府に対して不法移民対策が十分でないとして、全産品に対して関税をかけ、さらに段階的に税率を引き上げると発表した。メキシコ政府は交渉の末、不法移民対策を約束し、現時点で関税発動は無期延期となっている。


【メキシコ経済指標】
8日日曜日
メキシコ政府予算案提出

9日月曜日
20:00メキシコ8月消費者物価指数前年比前回3.78%  予想3.2%

11日水曜日
20:00メキシコ鉱工業生産前年比 前回-2.9%


peso0909

*予想レンジ:5.35円~5.55円


情報提供:㈱ミンカブジインフォノイド
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