テクニカルマイスター

商品、為替、株式相場を,ファンダメンタルズとテクニカルから思いつくままに分析。

2019年10月

【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は小幅なレンジで保ち合いだった。メキシコ独自の経済指標に欠けていたため、外部要因に影響された。米中通商協議の部分合意見通しや英国の欧州連合(EU)離脱への見通し、中国国内総生産(GDP)の6.0%維持は支援要因だった。一方、トルコの地政学的リスクは新興国通貨全般には重石となった。

*今週のメキシコペソ円は、保ち合いが続きそうだ。メキシコ中銀は9月26日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き下げた(8.00%⇒7.75%)。メキシコ中銀は2会合連続で金利を引き下げた。メキシコのロペスオブラドール大統領は9月30日の定例会見で、メキシコ銀行(中央銀行)に対して物価上昇だけでなく「経済成長にも配慮すべきだ」と話した。経済成長が停滞する中、さらなる利下げを要求した。ロペスオブラドール大統領は金利引き下げについて「すばらしい決定」と称賛した上で、物価上昇だけでなく経済成長への配慮もすべきだと注文をつけ、さらなる引き下げを暗に求めた。同氏は会見で「もちろんメキシコ銀の独立性は尊重する。私の単なる意見だ」とも話した。

メキシコ経済はロペスオブラドール政権の下で停滞が鮮明になっている。メキシコシティ新空港の建設中止や油田鉱区入札の無期延期など、民間主導による経済成長を目指した従来政権の施策を矢継ぎ早に破棄してきた。投資環境が混乱し、雇用や消費にも影を落としている。2019年の経済成長率は1%を割り込み、金融危機の影響が出た2009年以来の低水準となるのが確実視されている。先週発表された9月消費者物価指数は前年比3.0%、前回3.16%、予想3.2%と予想より低下していた。インフレ低下という結果を受けて、メキシコ中銀の利下げ観測が高まると見られている。通常、利下げは通貨安を招くが、今は景気が落ち込んでいることから利下げにより景気浮揚が計られると思惑されよう。

今年7~9月の実質GDPは-0.8%とマイナス成長に転落した。次回会合は11月14日に開催される。国際通貨基金(IMF)は15日改定した世界経済見通し(WEO)で2019年の成長率を3.0%と予測し、7月時点から0.2ポイント下方修正した。世界経済は3%成長が好不況の境目とされる。米中の貿易戦争を受けて世界的に貿易や投資が減速しており、金融危機直後だった09年以来、10年ぶりの低い伸び率となる。中国は20年の成長率が30年ぶりに6%台を割り込むと予測した。米国も、19年の成長率見通しは2.4%と7月時点から0.2ポイント下方修正した。企業投資などが弱含み、18年の2.9%成長から減速しそうだ。メキシコは緊縮財政の影響で景気後退の瀬戸際にあり、各国・地域とも政策のミスマッチが目立つとされた。

【メキシコ経済指標】
*特になし

peso1021

*予想レンジ:5.5円~5.80円


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*チャートの著作権は、㈱ミンカブジインフォノイドに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、㈱ミンカブジインフォノイドは一切の責任を負いません。

【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は堅調だった。米国は13日、シリア北部に残る駐留米軍およそ1000人を全員撤収させると明らかにした。14日にトランプ大統領は、トルコに対する経済制裁を発表。同日にトルコのエルドアン大統領と電話会談を行い、シリア北部への軍事侵攻を即座に止めるよう求めた。トルコは15日、トランプ大統領がシリア北部でのクルド人勢力に対する攻撃を即時停止するよう求めたにもかかわらず、攻撃を継続した。トルコによる攻撃が続く中、米軍撤退を受け、ロシアが支援するシリア軍が軍事的な要衝であるマンビジが勢力下に置かれた。

一方、シリア軍はタブカ空軍基地のほか、水力発電施設2カ所やユーフラテス川にかかる橋なども掌握した。ペンス副大統領は17日にトルコの首都アンカラを訪問し、エルドアン大統領と会談し、トルコへの経済制裁を維持するという方針を繰り返した。米検察当局は、トルコ国有銀行ハルクバンクが、イランに対する米制裁を回避する数十億ドル規模の計画に関与したとして起訴した。米政権高官によると、米政府はトルコの攻撃を停止させるため、さらなる制裁を科す可能性がある。また、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、現在の中東情勢を巡る懸念から、トルコでの10億ユーロ(11億ドル)規模の工場建設に関する最終的な決定を見合わせる方針を示した。18日、トルコがシリア軍事作戦の5日間停止で合意し、米国が厳しい制裁を科すとの見方が後退し、トルコリラは反発した。

*今週のトルコリラ円は、不安定な動きになりそうだ。トルコ軍によるシリア北部での越境軍事作戦で、攻撃を受ける少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)側は20日、シリア北部の要衝ラスアルアインから全戦闘員を撤退させたと発表した。トルコと米国は18日、YPGをトルコ・シリア国境地帯から撤退させるために120時間(5日間)の攻撃停止で合意したが、トルコ軍とYPGの衝突は続いており、停戦の実現は見通せない状況だ。ラスアルアインはトルコ国境沿いにあり、トルコ軍は完全制圧をめざして地上部隊を投入していた。YPG側は20日に出した声明で、ラスアルアインから撤退したと表明したうえで、「停戦合意にもかかわらずトルコ軍は攻撃を続けている」とトルコ側を非難した。

これに対し、トルコ国防省も20日に声明を出し、「ラスアルアインからのYPG撤退を確認した」としつつも、米国を仲介役とする攻撃停止の合意が発効した後も、YPG側から22回の違反行為があったと非難した。20日にはラスアルアインの約100キロ西にあるシリア北部テルアビヤドで、偵察中のトルコ軍兵士1人がYPGの攻撃で死亡したとしている。エルドアン大統領は20日、合意内容が実行されなければ、22日まで一時停止するとした軍事作戦を再開すると改めて警告した。米国ではグラム上院議員(共和党)が、トルコ国債の購入を禁止する法案を議会に提出したが、海外からの投資が縮小する可能性がある。今週は24日にトルコ中銀理事会が開催される。利下げが予想(16.5%⇒15.5%)されているが、当初より引き下げ幅は縮小する見込み。軍事行動が拡大すると見られる中、利下げを受けてトルコリラの地合いは不安定になりそうだ。

【トルコ経済指標】
22日火曜日
エルドアン・プーチン会談
トルコ軍シリア停戦期限

23日水曜日
16:00トルコ10月消費者信頼感指数前回55.8

24日木曜日
20:00トルコ中銀政策金利前回16.50% 予想15.50%

25日金曜日
16:00トルコ10月景気動向指数前回99.7   
16:00トルコ10月設備稼働率前回76.3%


lira1021

*予想レンジ:17.50円~19.50円


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【南アランド円相場、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は保ち合いだった。週明けは、米中通商協議の部分合意の見通しが立ったことや、ブレグジットの合意の可能性も高まったことで、底堅く推移し、7.3円台に上昇した。その後、国営電力会社エスコムが全土にわたる停電を発表したことが嫌気されてで、7.2円台まで反落した。しかし、発電計画を内閣が承認したことで反発し、再び7.3円台に引き戻した。

中国の第3四半期の国内総生産(GDP)が前年比6.0%増と、予想の6.1%増を下回ったものの6.0%台を維持したことは好感された。また、9月の同国鉱工業生産が前年比5.8%増、小売売上高が前年比7.8%増と、景気刺激策が一定の効果を発揮していることも南アランドをサポートした。

*今週の南アランド円は、保ち合いが続きそうだ。米中通商協議の部分合意に注目が集まるものの、英国の欧州連合(EU)離脱問題が混乱の種となり、リスクオンにはなりにくい環境にある。今週は9月消費者物価指数(CPI)が注目指標。南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)は、財政逼迫や高失業率対策のため利下げの意向が強いが、インフレ率が高止まりしているなら、利下げに踏み切りにくい。もし、CPIの結果が弱かった場合は、利下げへの連想から南ア経済にとってはプラスに働くことが予想され、南アランド円は買われるだろう。

先週、経営が悪化している国営電力大手エスコムは、発電能力不足のため全土での停電(ブラックアウト)を実施し、約2000メガワットの電力供給を削減した。同社の発電能力4万5000メガワットのうち1万0500メガワット以上が利用できなかった。発電所に石炭を運ぶコンベアーやボイラー管に不具合が生じているという。同国では今年2月から3月にかけて計画停電が実施され、第1四半期の経済成長率が大幅なマイナスとなった。

南ア政府は、エスコムを発電・送電・配電の3部門に分割し効率化を進める計画。今後2年で1000億ランド以上の支援も提案しているが、対策が不十分との指摘もある。南アフリカ政府は今週、長期の発電政策を議論する予定。今月中にはエスコムの新最高経営責任者(CEO)も発表するとみられている。ラマポーザ大統領は14日、ロンドンで投資家に対し、国営・南アフリカ航空の株式売却など、厳しい経済改革を進めていく用意があると表明。国営電力会社エスコムについても、民間の出資容認に前向きな姿勢を示唆した。エスコム救済がうまくいくかどうかが今後の南アランド円相場に影響しよう。

【南アフリカ経済指標】
22日火曜日
16:00 8月景気先行指数前回103.9、予想103.7

23日水曜日
17:00 9月消費者物価指数前年比前回+4.3%、予想+4.3%

zar1021

*予想レンジ:7.20円~7.50円


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10月23日(水)
【10月22日の海外相場および市況】
ny1022

*22日のNY外国為替市場のドル円相場は、手掛かり材料に欠ける中、108円台半ばで小動きとなった。108円44〜54銭。欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度理事会(FRB)、日銀による金融政策会合を控えて様子見が広がる中、終日にわたり小幅なレンジ取引が続いた。9月米中古住宅販売件数は、季節調整済み年換算で前月比2.2%減の538万戸と、市場予想の0.7%減の545万戸を大きく下回った。一方で、米中貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱の先行きに対する根強い警戒感は、安全資産としての円の下支えとなった。

*22日のNY金は、ほぼ横ばいとなった。1487.50ドル(-0.6)。英国の欧州連合(EU)離脱問題をめぐる混乱が金相場を支える一方、外国為替市場では対ユーロでドルが強含んでドル建て金の上値を抑えた。NYダウが米中貿易協議の進展期待などを背景に堅調に推移する中、安全資産としての金も売りに押された。ただ、決め手となる材料がこの日は少なく、相場の値動きは総じて限定的だった。

NY白金は反発。896.00ドル(+3.80)。
パラジウムは続伸。1728.50ドル(+3.20)。

*22日のNY原油は、米中貿易協議進展への期待を背景に買いが優勢となり、3営業日ぶりに反発した。54.16ドル(+0.85)。トランプ大統領は21日、米中通商合意の「第1段階」について、11月中旬に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて署名したい意向を強調。中国の楽玉成外務次官は22日、両国間の協議は幾分前進したとした上で、互いに敬意を払えばいかなる問題も解決可能だとの見方を表明した。協議の進展に楽観が漂う中、市場のリスク選好意欲が改善し、一時54.62ドルまで上昇した。ただ、買い一巡後は伸び悩んだ。今週の週間在庫統計でも米原油在庫の増加が予想されている。6週連続の増加となる見込み。北海ブレント原油は、59.70ドル(+0.74)。

*22日のシカゴトウモロコシほぼ横ばい。388.00セント(+0.75)。収穫率の伸びが予想を下回ったことが相場を支援する一方、低調な需要が重しとなった。米農務省によると、同国産トウモロコシの収穫率は30%となり、予想の34%を下回った。米中西部では今後2週間、乾燥天候が予想されている。天候の回復で収穫が進むとみられる。

シカゴ大豆は上昇。934.00セント(+0.75)。中国政府が米国産大豆輸入に1000万トンの無関税枠を大手国内企業などに割り当てたことを受け、中国の需要に対する期待が相場を支えた。ただ、ヘッジ売りや収穫が進む米国からの供給増が上値を抑えた。米農務省は、同国産大豆の収穫率が20日時点で46%となり、予想の42%を上回ったと発表した。

*22日のNYダウは、英国の欧州連合(EU)離脱問題をめぐる不透明感の高まりを嫌気し、小反落した。2万6788.10ドル(-39.54)。EU離脱をめぐって英下院は22日、EU離脱法案を3日間で審議・採決する政府提案を否決。10月末に予定していたEU離脱の実現は難しくなり、英国政治の迷走が再び長期化するとの失望が広がった。ただ、米主要企業の2019年7〜9月期決算の発表が山場を迎える中、好業績企業には買いが集まって相場を支えた。調査会社リフィニティブによれば、主要500社のうち決算発表を済ませたのは98社で、このうち83%が市場予想を上回る利益を上げた。


【23日の経済指標】
06:45   (NZ) 9月 貿易収支  -15.65億NZドル 
17:00   (南ア) 9月 消費者物価指数(CPI) [前月比]  0.3% 
17:00   (南ア) 9月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  4.3% 
20:00   (米) MBA住宅ローン申請指数 [前週比]
22:00   (米) 8月 住宅価格指数 [前月比]  0.4% 
23:00   (欧) 10月 消費者信頼感(速報値)  -6.5 

第229回
『おしえて陳さん』 
http://www.sunward-t.co.jp/movies/oshiete/


*マーケットスクランブル出演
https://www.mkt-s.com/past_video/


【ドル円相場、今週の予想】
*今週のドル円は、保ち合いが続きそうだ。強弱材料が混在し方向性が出にくいだろう。市場が注目していたブレグジット問題では、19日の英議会でジョンソン首相が欧州連合(EU)と合意したEU離脱協定案の採決が先送りされた。ジョンソン首相は、離脱延期法の規定により延期を申請したものの、延期申請の書簡に署名はしておらず、延期は誤りと訴える署名入り書簡が添えられた。10月31日を期限とする離脱に拘泥しており、合意なき離脱への懸念は払拭されていない。

今週は米中閣僚級通商協議が予定されている。今月10-11日にワシントンで開催された第13回米中通商協議での「第1段階」としての「部分合意」に関して、電話による米中閣僚級通商協議が予定されている。「部分合意」が正式に合意され、文書化された後、11月16-17日のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に併せて開催される米中首脳会談で、トランプ大統領と習中国国家主席が署名することが見込まれている。

しかし、中国は第13回米中通商協議で関税(第1・2・3弾の約2500億ドルへの25%と第4弾の一部約1250億ドルへの15%)の撤廃を求めている。トランプ大統領が関税を撤廃しなければ中国側も米国に対する報復関税を維持せざるを得ず年間500億ドル相当の米国産農産物の購入は難しいとしている。米下院は15日に「香港人権・民主主義法案」を可決したが、中国外務省は報復措置を警告しており、関税による報復措置と外交による報復措置により、米中通商合意が破棄される可能性もある。

先週発表された9月米小売売上高は予想外に悪化あいており、景気減速への警戒感が広がった。24日発表の10月マークイット製造業PMIが低調な内容であれば、景気減速懸念がさらに強まり、10月29、30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げへの見通しが強まりドル円の重石になりそうだ。

9月日銀短観での大企業・製造業の2019年度想定為替レートは108円68銭で、市場が注目している200日移動平均線は109円08銭になる。先週は一時109円間近まで上昇し、この節目をブレイクする可能性もある。テクニカル的には、この節目で売りが拡大する可能性もある。

CFTC建玉明細によれば、15日時点でファンドはドル売り・円買いに転じており、ドル高基調に変化が訪れる可能性がある。一方、日銀の黒田総裁は18日、「2%の物価目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れがある時は、当然、金融緩和をする」と述べた。10月30、31日の金融政策会合で追加緩和策を導入する可能性があり、円買いにブレーキがかかる可能性もある。

なお、21日に発表された日本の9月対米貿易黒字は1230億円の赤字だった。市場予測中央値540億円の黒字に反し、3カ月連続の赤字となったことは円売り要因になろう。


<今週の主な経済指標>
21日は、本邦貿易収支、22日は、日本休場(即位礼正殿の儀)、米中古住宅販売件数、23日は、米MBA住宅ローン申請指数、米FHFA住宅価格指数、マイクロソフト決算、24日は、本邦製造業PMI、米・独・ユーロ圏PMI、トルコ中銀政策金利発表、25日は本邦工作機械受注、ECB専門家調査報告、独IFO企業景況感指数など。

*CFTC建玉10月15日時点:ファンドのドル売り・円買いは6641枚(前週比+1万7653枚)と売り越しに転じた。総取組高は15万7707枚と前週比7688枚の増加。

yen1021

*予想レンジ:107.00円~110.00円


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10月21日(月)
【10月18日の海外相場および市況】
ny1018

*週末18日のNY外国為替市場では、世界的な景気減速懸念が広がる中、ドル円は108円台前半に下落した。108円37~47銭。今年7~9月期の中国国内総生産(GDP)は、実質ベースで前年同期比6.0%増と前期から低下し、四半期ごとの公表を始めた1992年以降で最低となった。9月米景気先行指標総合指数も前月比0.1%低下と低調だった。米中両国の指標悪化を受けて世界的な景気減速に対する警戒感が強まり、安全資産とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。ただ、24日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会、29、30両日には米連邦公開市場委員会(FOMC)、30、31両日には日銀金融政策決定会合を控えていることから様子見が次第に広がり、値動きも限定的になった。


*週末18日のNY金は、英国による欧州連合(EU)離脱や米中貿易戦争の行方に注目が集まる中、小反落した。1494.10ドル(-4.20)。英下院では19日に、ジョンソン英首相がEUと合意した新たなEU離脱案の採決が行われる予定。ただ、英メディアによる票読みでは賛否が拮抗している模様。米中貿易協議の「第1段階合意」の行方にも不透明感が漂っていた。18日に発表した今年7~9月期中国国内総生産(GDP)は、実質ベースで前年同期比6.0%増と、前期から低下し、四半期ごとの公表を始めた1992年以降で最低となった。米中貿易戦争を背景とした世界的な景気減速懸念の高まりは、安全資産とされる金の下値を支える要因となった。

NY白金は3日続伸。895.90ドル(+2.90)。
パラジウムは続落。1717.60ドル(-3.10)。


*週末18日のNY原油は、中国景気の先行きに警戒感が広がる中で売りが先行し、反落した。53.78ドル(-0.15)。2019年7~9月期中国国内総生産(GDP)が前年同期比6.0%増と減速し、市場予想も下回ったほか、四半期ごとの公表を始めた1992年以降で最低を更新した。エネルギー消費大国である中国景気の先行きに懸念が広がった。ただ、9月の中国の製油所の原油処理量は前年同月比9.4%増加した。経済に対する逆風をよそに、同国の石油需要が引き続き堅調であることが示された。外国為替市場では対ユーロでドル安が進行し、ドル建て原油は割安感が強まり、下値は限定的だった。北海ブレント原油は、59.42ドル(-0.49)。


*週末18日のシカゴトウモロコシは反落。391.00セント(-3.75)。週間輸出成約高が弱い内容だったほか、大豆や小麦相場との価格差を利用するスプレッド取引が相場を圧迫した。米農務省によると、10日までのトウモロコシの週間輸出成約高は36万8500トンで、予想レンジの40万~80万トンを下回った。

シカゴ大豆は続伸。934.00セント(+2.50)。不透明な収穫高見通しや好調な週間輸出成約高を受けて、テクニカルな買いやショートカバーが入った。米農務省によると、10日までの大豆の週間輸出成約高は160万1000トンで、予想レンジ(90万~160万トン)の上限をやや上回った。ミネソタ州やノースダコタ州での最近の降雪を受け、米国産大豆の収穫高見通しに不透明感が広がっていることも相場を下支えした。


*週末18日のNYダウは、中国経済の減速を懸念して反落した。2万6770.20ドル(-255.68)。中国の7~9月期GDP(国内総生産)は前年同期比6.0%増。前期(6.2%)から0.2ポイント低下し、四半期ごとの公表を始めた1992年以降で最低を更新した。米中貿易戦争の長期化を受けた中国経済の減速が一段と鮮明となり、リスク選好が後退した。また、ダウ構成銘柄である医薬品・健康関連用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)と航空機大手ボーイングの株価が急落し、相場の下げを主導した。J&Jは米国内で製造・出荷されたベビーパウダー約3万3000個を自主回収すると発表。当局によるサンプル調査でアスベスト(石綿)が検出されたためで、多くの訴訟を抱える中で同社製品への信頼性への懸念が高まった。また、ボーイングは2件の墜落事故を起こした新型旅客機「737MAX」をめぐり、同社のテストパイロットが2016年の時点で機体失速防止装置に欠陥がある可能性を把握していたと報じられたことが嫌気された。


【21日の経済指標】
08:50   (日) 9月 貿易統計(通関ベース、季調前)  -1435億円
08:50   (日) 9月 貿易統計(通関ベース、季調済)  -1308億円   
13:30   (日) 8月 全産業活動指数 [前月比]  0.2% 
15:00   (独) 9月 生産者物価指数(PPI) [前月比]  -0.5% 


第229回
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10月18日(金)
【10月17日の海外相場および市況】
ny1017

*17日のNY外国為替市場のドル円相場は、低調な米経済指標などを受けて、円買い・ドル売りが優勢となり、108円台後半に軟化した。108円61〜71銭。9月米鉱工業生産指数は季節調整後で前月比0.4%低下と市場予想より弱く、9月米住宅着工件数も前月比9.4%減と大幅に減少。さらに、ドイツ経済・エネルギー省は17日、2020年の同国国内総生産(GDP)予想を下方修正した。世界的な景気減速懸念が強まった。ただ、欧州連合(EU)と英国は17日、EU離脱案の見直しをめぐる交渉で合意し、EUは同日の首脳会議で、新離脱案を承認。また、トルコはシリア北部での軍事作戦を5日間停止することで米国と合意したと発表したことから、ドル円の下値は堅かった。

*17日のNY金は、対ユーロでのドル安などを受けて買われ、続伸した。1498.30ドル(+4.30)。英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる修正合意を受けて、リスク回避姿勢が和らぐ中、外国為替市場ではドル安・ユーロ高が進行し、ドル建て金に割安感が強まり、一時1501.10ドルまで上昇した。米景気の先行き懸念が強まったことも、「安全資産」としての金需要を支えた。9月米鉱工業生産指数は前月比0.4%低下と、2カ月ぶりのマイナス。前日公表された9月米小売売上高が前月比0.3%減と7カ月ぶりのマイナスとなったこともなお材料視されていた。このほか、米中貿易協議の行方をめぐる根強い懸念やシリア情勢をめぐる地政学的リスクへの警戒感が相場を支えた。

この日は英国とEUの新離脱案合意を受けてポンド建て金現物相場が一時1.6%下落し、7月26日以来の安値を付けた。英国とEUが合意した離脱案が、英議会で承認を得られない可能性をめぐる懸念あり、承認されなければ英EU関係が混乱する可能性が金相場をサポートしたようだ。英領北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)は、依然北アイルランドの国境管理問題を理由に新離脱案の支持を拒否している。

NY白金は小幅続伸。893.00ドル(+2.30)。
パラジウムは4日ぶりに反落。1730.70ドル(-4.30)。

*17日のNY原油は、米原油在庫の大幅増加を嫌気した売りが先行したものの、あとプラス圏に切り返し、続伸した。53.93ドル(+0.57)。米石油協会(API)が16日に発表した週報によると、11日までの1週間の国内原油在庫は1050万バレル増加し、市場予想の290万バレル増を大きく上回る積み増しとなった。続いて、米エネルギー情報局(EIA)が17日発表した在庫統計でも、原油在庫は930万バレル増と、市場予想(280万バレル増)の3倍超の積み増しを記録。ただ、EIA週報では、ガソリン在庫は、前週比260万バレル減、軽油とヒーティングオイルを含むディスティレート(留出油)在庫は380万バレル減と予想よりも大幅な在庫取り崩しを示したほか、英国と欧州連合(EU)がEU離脱案の見直しをめぐる交渉で合意したとの報が投資意欲を支え、徐々に買い戻しが優勢となった。北海ブレント原油は、59.91ドル(+0.49)。

*17日のシカゴトウモロコシは反発。394.75セント(+3.00)。コーンベルト北西部での最近の降雪を受けて、米国産トウモロコシの収穫高をめぐる懸念が支援材料。

シカゴ大豆は反発。931.50セント(+3.50)。米国産大豆の収穫高をめぐる不透明感が相場を押し上げた。米農務省は16日、最近の降雪を受けて、ミネソタ州やノースダコタ州でのトウモロコシや大豆の作付け状況に関する追加情報を収集し、来月8日に発表する米需給報告に変更点を反映する可能性があると説明した。

*17日のNYダウは、英国が欧州連合(EU)と修正離脱案で合意したことが好感され、小反発した。2万7025.88ドル(+23.90)。英国とEUはこの日、離脱案の修正で合意し、EUは首脳会議で新たな離脱案を承認した。離脱の期限を月末に控える中、社会・経済に混乱をもたらす「合意なき離脱」の回避に向け大きく前進した。ただ、EU離脱案への英議会の承認に不透明感が漂っていることが、株価の上値を抑えた。英政府は19日に英下院に離脱案を諮る予定だが、与党・保守党は過半数に満たず、閣外協力している北アイルランドの地域政党、民主統一党もこの日、離脱案への不支持を表明した。調査会社リフィニティブによれば、主要500社のうち、決算発表を済ませた63社の8割超が予想を上回った。


【18日の経済指標】
08:30   (日) 9月 全国消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  0.3%   
08:30   (日) 9月 全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く) [前年同月比]  0.5%
08:30   (日) 9月 全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く) [前年同月比]  0.6%
11:00   (中) 9月 小売売上高 [前年同月比]  7.5%  7.8% 
11:00   (中) 9月 鉱工業生産 [前年同月比]  4.4%  5.0% 
11:00   (中) 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) [前年同期比]  6.2%  6.1% 
17:00   (欧) 8月 経常収支(季調済)  205億ユーロ   
17:00   (欧) 8月 経常収支(季調前)  298億ユーロ  
23:00   (米) 9月 景気先行指標総合指数 [前月比]  0.0%  0.1%


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10月17日(木)
【10月16日の海外相場および市況】
ny1016

*16日のNY外国為替市場のドル円相場は、108円台後半で方向感のない動きとなった。108円72〜82銭。9月米小売売上高は前月比0.3%減、変動の激しい自動車・同部品ディーラーを除くと0.1%減。それぞれ0.3%増、0.2%増とする市場予想に反して減少した。米景気の先行きに不安が広がり、安全資産とされる円が一時に買われた。ただ、英国が「合意なきEU離脱」を回避することへの期待感から円は対欧州通貨では弱かった。対ユーロでの円売りの流れがドル円にも波及し、ドル円の下値は限定的だった。米連邦準備制度理事会(FRB)が午後に発表した全米12地区の連銀景況報告(ベージュブック)によると、景気は「幾分から緩やかに」拡大。前回8月下旬の「緩やかに拡大」から判断が下方修正された。


*16日のNY金は、香港情勢をめぐる米中両国の対立を懸念した買いなどに反発した。1494.00ドル(+10.50)。米下院は15日、香港の自治と人権の擁護を目的とする法案を可決し、香港のデモ行動を支持する方針を明らかにした。米政府が中国の人権問題に踏み込む姿勢を示したことを受け、先週の貿易協議で一定の歩み寄りが実現した米中関係が再び冷え込むのではないかとの懸念が浮上。また、英国の欧州連合(EU)離脱期限が月末に迫る中、依然として交渉の成否が見通せない状況が続いていることも金買い要因となった。9月米小売売上高が市場予想に反して減少、7カ月ぶりのマイナスとなったことも支援要因。米経済の主軸である個人消費が不安定になり始めていることが示唆され、米政策金利をさらに引き下げる論拠が強まった可能性がある。NYダウの下落も金相場を支援した。米株式市場では香港をめぐる米下院の立法への懸念が、企業の上向きな内容の決算を打ち消した。投資家心理を反映し、世界最大の金上場投資信託(ETF)、SPDRゴールドシェアーズの金保有高は15日に919.66トンに減少したが、依然約3年ぶりの高水準を維持している。

*NY白金は4日ぶりに反発。890.70ドル(+1.50)。
パラジウムは最高値更新。1735.00ドル(+38.40)。、史上最高値を更新した。

*16日のNY原油は、石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産が継続されるとの期待などを背景に買いが優勢となり、3営業日ぶりに反発した。53.36ドル(+0.55)。OPECのバーキンド事務局長は15日、OPECと非加盟産油国は2020年以降も原油市場の安定維持に努めると強調した。これを受けて、20年3月まで日量120万バレルの協調減産で合意しているOPECとロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」が、12月の会合で一段の減産に踏み込むと期待された。外国為替市場で、ドルが対ユーロで下落し、ドル建てで取引される原油に割安感が強まったことも買いを後押しし一時53.74ドルまで上昇した。一方、国際通貨基金(IMF)は15日に発表した最新の世界経済見通しで、米中貿易摩擦の影響を踏まえ、19年の成長率予想を下方修正したことは依然として相場の重石となった。

*16日のシカゴトウモロコシは続落。391.75セント(-1.50)。米国産トウモロコシの収穫が進んでいることや、米中貿易協議の先行き不透明感が重石となった。 米農務省は15日、同国産トウモロコシの収穫率が22%となり、前週の15%から向上したと発表した。5年平均の36%は下回っている。市場は、中国からの新たな米農産物需要に引き続き注目している。トランプ大統領は、チリで来月11〜17日に開かれる国際会議に合わせて習近平国家主席と首脳会談するまで、中国との合意に署名しないと述べた。

シカゴ大豆は続落。928.00セント(-6.00)。米中貿易協議をめぐる不透明感や、米中西部で進む収穫が圧迫した。米国産大豆の収穫率が26%になった。前週は14%だった。5年平均の49%は下回った。米中西部では今週、天候がおおむね回復することが予想されている。トランプ大統領は、チリで来月11〜17日に開かれる国際会議に合わせて習近平国家主席に会うまで、中国との貿易合意に署名しないだろうと話した。


*16日のNYダウは、低調な米消費関連指標を受け、小反落した。2万7001.98ドル(-22.82)。9月米小売売上高は前月比0.3%減少。0.3%増と見込んだ市場予想に反し、7カ月ぶりのマイナスとなった。米中貿易戦争の長期化を受けた製造業の業況悪化の影響が個人消費にも波及してきたとの警戒感が強まった。米下院は15日に香港の自治と人権の擁護を支援する「香港人権・民主主義法案」を可決。貿易協議で「部分合意」に達した米中間の対立が再び激化するとの懸念も広がった。一方、今週から2019年7〜9月期決算の発表が本格化する中、好業績企業には買いが集まり、相場の下値を支えた。調査会社リフィニティブによると、米主要企業500社の7〜9月期の純利益は前年同期比5.2%減となる見通し。


【17日の経済指標】
09:30   (豪) 9月 新規雇用者数  3.47万人   
09:30   (豪) 9月 失業率  5.3% 
17:30   (英) 9月 小売売上高(除自動車) [前年同月比]  2.2%  ―
17:30   (英) 9月 小売売上高 [前年同月比]  2.7%
18:00   (欧) 8月 建設支出 [前年同月比]  1.1%  
21:30   (米) 9月 住宅着工件数 [年率換算件数]  136.4万件  132.0万件 
21:30   (米) 9月 建設許可件数 [年率換算件数]  142.5万件  134.8万件 
21:30   (米) 9月 建設許可件数 [前月比]  8.2%  -5.4% 
21:30   (米) 10月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数  12.0  9.1 
21:30   (米) 前週分 新規失業保険申請件数
22:15   (米) 9月 鉱工業生産 [前月比]  0.6%  -0.1% 
22:15   (米) 9月 設備稼働率  77.9%  77.7% 


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【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は上昇した。週前半は米中通商協議への懸念から5.44円に下落したが、週後半は米中協議の楽観的見通しから反発に転じ、5.6円台に上昇した。9月の消費者物価指数は前年比3.0%、前回3.16%、予想3.2%と予想よりインフレ低下という結果になり、メキシコ中銀の利下げ観測が高まると見られた。

*今週のメキシコペソ円は、堅調に推移しそうだ。メキシコ中銀は9月26日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き下げた(8.00%⇒7.75%)。メキシコ中銀は2会合連続で金利を引き下げた。メキシコのロペスオブラドール大統領は9月30日の定例会見で、メキシコ銀行(中央銀行)に対して物価上昇だけでなく「経済成長にも配慮すべきだ」と話した。経済成長が停滞する中、さらなる利下げを要求した。ロペスオブラドール大統領は金利引き下げについて「すばらしい決定」と称賛した上で、物価上昇だけでなく経済成長への配慮もすべきだと注文をつけ、さらなる引き下げを暗に求めた。同氏は会見で「もちろんメキシコ銀の独立性は尊重する。私の単なる意見だ」とも話した。

メキシコ経済はロペスオブラドール政権の下で停滞が鮮明になっている。メキシコシティ新空港の建設中止や油田鉱区入札の無期延期など、民間主導による経済成長を目指した従来政権の施策を矢継ぎ早に破棄してきた。投資環境が混乱し、雇用や消費にも影を落としている。2019年の経済成長率は1%を割り込み、金融危機の影響が出た2009年以来の低水準となるのが確実視されている。先週発表された9月消費者物価指数は前年比3.0%、前回3.16%、予想3.2%と予想より低下していた。インフレ低下という結果を受けて、メキシコ中銀の利下げ観測が高まると見られている。通常、利下げは通貨安を招くが、今は景気が落ち込んでいることから利下げにより景気浮揚が計られると思惑されよう。今年7~9月の実質GDPは-0.8%とマイナス成長に転落した。次回会合は11月14日に開催される。

【メキシコ経済指標】
*特になし

peso1015

*予想レンジ:5.3円~5.80円


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【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は、地政学リスクを受けて下落した。7日、シリア北東部に駐留していた米軍が撤収を始めた。その後、トルコ軍は8日未明にかけて、クルド人部隊によるシリア北東部での補給を阻止するため、シリアとイラクの国境地帯で軍事攻撃を開始した。今回の攻撃について、シリアでの軍事作戦に先立ち、イラク・シリア間の輸送ルートを遮断することが主要な目標と説明。シリアへの輸送や武器を含む支援を断つと語った。

一方、トランプ大統領はツイッターで、IS掃討作戦で協力してきたクルド人勢力を見捨てたとの見方を否定。トルコが主要な貿易パートナーで、北大西洋条約機構(NATO)加盟国だと強調した。シリアからの米軍撤収決定を巡っては、米与野党から批判が相次いでいる。トランプ大統領は、トルコが「禁じ手」に出ることがあれば、トルコ経済を「壊滅させる」と牽制もした。ホワイトハウスの報道官はこの日、トルコのエルドアン大統領がトランプ大統領の招待を受けて11月13日に訪米すると発表した。


*今週のトルコリラ円は、戻り売りが優勢となろう。トルコ軍はテロ組織と見なすクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」に対する攻撃を継続している。トルコはトランプ大統領がシリアからの米軍撤退を表明してから数日以内にシリア北東部での攻撃を開始。空爆と地上戦開始に続く攻撃で、戦闘員だけでなく民間人の死者も出ている。トルコはシリアの国境沿いに「安全地帯」を設け、シリア難民を帰還させることが目的と説明。クルド人勢力は多くのISの戦闘員の身柄を拘束しているため、混乱に乗じてこうしたIS戦闘員が逃げ出す恐れがあると指摘しているが、エルドアン大統領は、こうした戦闘員がこの地域で勢力を再び拡大させることは容認しないと表明。

一方、シリア北部を実効支配する少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)を中心とする勢力は13日、隣国トルコ軍の越境攻撃に対抗するため、シリアのアサド政権軍と協力することで合意したとの声明を出した。これを受け、アサド政権軍は14日、トルコ国境に近い地域へ進軍した。今後、YPGに対する攻勢を強めるトルコ軍とアサド政権軍との衝突に発展する恐れが出てきた。地政学的リスクの高まりを受けて海外の投資資金がトルコから流出する可能性が高い。トルコリラは先週、対ドルで1カ月ぶりの安値を付けた。トルコの主要株価指数も下がり、ドル建てソブリン債は2日連続の下落となった。

トルコ中銀は7月以降、2度利下げを実施した。今月4日に発表された経済指標でインフレ率が10%を切り、約3年ぶりの低水準となったことで、追加利下げも予想されている。しかし、地政学リスクを受けてトルコリラの下落が加速すれば、再び通貨危機が懸念される可能性がある。格付け会社S&Pグローバル・レーティングは9日、トルコがシリアで開始した軍事作戦を受け、トルコの通貨リラや国際収支のリスクが高まると指摘。ただ、同国のソブリン格付けへの現時点での影響は見込んでいないと述べた。トルコの観光産業は昨年から今年にかけて好調で、民間部門の回復力や競争力を示しているが、同産業に打撃となりかねない治安への見方が軍事作戦開始を受けて影響を受ける恐れがあるという。

これにより、雇用や外貨準備の水準、為替相場の安定性に被害を及ぼすまでに、外貨収入の総合的な回復が遅れる可能性があるとした。S&Pグローバルのトルコの信用格付けは「Bプラス」で、見通しは「安定的」。トルコ中央銀行のウイサル総裁は9日、インフレ率が目標圏まで低下するよう、金融政策において慎重なスタンスを維持すると表明した。 総裁は議会委員会に対して、最近の指標は景気が引き続き緩やかに回復し、国内の銀行が外貨の流動性で十分なバッファ(余裕)があることを示しているとの見解を示した。

【トルコ経済指標】
14日月曜日
16:00 8月鉱工業生産前年比前回-1.2% 、予想-0.7%

15日火曜日
16:00 小売販売前年比前回-3.7%、予想-2.8%
16:00 7月失業率前回13.0%

10月16日水曜日
16:00 9月住宅販売前年比前回+5.1%
20:30 8月住宅価格指数前年比前回+3.54%

17日木曜日
時間未定:EU首脳会議(トルコ制裁協議)


lira1015

*予想レンジ:17.50円~19.00円

情報提供:㈱ミンカブジインフォノイド
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