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カテゴリ: ドル円

【ドル円今週の予想(3月18日)】
*予想レンジ:ドル円=147.00円~152.00円
*今週のドル円は、日米の金融政策の会合を受けてドル買い・円売りが強まりそうだ。

日銀は18、19両日に金融政策決定会合を開く。春闘での賃上げを追い風にマイナス金利解除など政策修正を行うと報道された。それによると、23年10~12月期実質GDP成長率のプラス改定や連合が15日に発表した春闘の第1回回答集計の平均賃上げ率が5.28%と33年ぶりの高水準となったことを受けて、日銀は賃金と物価がそろって上昇する好循環が実現する確度が十分に高まったとみている。

日銀はマイナス金利解除後も緩和的な金融環境を維持する方針で、事実上のゼロ金利政策に移行することを想定しているという。長期金利の急上昇を避けるため、解除後も国債の買い入れは続けるが、市場を安定させる目的で続けてきた上場投資信託(ETF)の新規購入は停止する方向ともは報じられた。

また、日本経済新聞によると、現在は-0.1%となっている短期の政策金利を0.1ポイント以上引き上げて短期金利を0-0.1%に誘導する案が有力となっている。マイナス金利政策の解除とあわせて大規模緩和の柱となってきた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も撤廃する方針という。

マイナス金利が解除されたとしても、その後の連続的な利上げは無く緩和状態が継続される事になるため、円買い要因にはなりにくいだろう。日銀の内田副総裁が2月に、金融政策について、金融環境は極めて緩和的で、「マイナス金利解除後でもどんどん利上げするパスは考えにくい」と述べたが、それに沿った展開となりそうだ。週明け18日の日経平均株価は、一連の報道を好感して1000円を超える大幅高となった。


米連邦準備制度理事会(FRB)は19、20日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を据え置く公算が大きい。2月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)がともに予想を上回る伸びを示したことで、利上げ時期の後ずれ予想が強まった。18日の午前9時におけるCMEフェドウオッチによると、3月と5月は金利据え置き確率が90%を超えているが、6月の利下げ確率は53%となっている。

前回のFOMCでは、FRBは0.25%ずつ年3回の利下げを行う見込みだったが、今回の金利見通しをでFOMC参加者の政策金利見通し(ドットプロット)が、どう変化するか目される。WTI原油が中東の地政学リスクや米国在庫の減少を受けて1バレル=80ドル台に上昇しているが、米国でのインフレが再び高まる可能性もあり、市場が期待するほどには「ハト派」的にはならないかもしれない。利下げ見通しが年2回に低下した場合、ドル買いが強まり、節目の150円を突破するかもしれない。

*CFTC建玉:3月12日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-10万2322枚(前週比+1万6521枚)。

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【ドル円今週の予想(3月11日)】
*予想レンジ:ドル円=144.50円~149.500円
*今週のドル円は、日銀の金融政策正常化をにらんで、戻り売りが継続しよう。先週は、米連邦準備制度理事会(FRB)がハト派姿勢を示したのに対し、日銀がタカ派姿勢を示したことで、ドル売り・円買いが進んだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6日、下院金融サービス委員会で金融政策について証言した。利下げ時期については従来通り経済指標次第と説明したが、インフレの低下を踏まえると「今年のある時点で」開始が適切になるとの見通しを明らかにした。7日には上院銀行委員会の公聴会で、FRBが利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する確信は「そう遠くない」将来に得られるとの考えを表明した。一連の「ハト派」的な姿勢を受けて、FRBが6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに動くとの見方が強まった。

労働市場の軟化を示唆する指標も米早期利下げ期待を強めた。米民間雇用サービス会社ADPが発表した2月の非農業部門民間就業者数は市場予想を下回った。1月米雇用動態調査(JOLTS)も、非農業部門求人数が市場予想を若干下回った。2月米雇用統計は、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比27万5000人増と伸びは1月の22万9000人増(改定)から拡大し、市場予想(20万人増)も上回った。ただ、1月就業者数は、当初の発表から12万4000人の大幅下方修正となった。失業率は3.9%と、前月から0.2ポイント悪化し、米雇用情勢は底堅さを保つものの、勢いがやや失われていることをうかがわせた。インフレに影響する平均時給は前年同月比4.3%上昇と、伸びは前月(4.4%)から若干減速した。米国のインフレ率は2022年半ばのピークから大きく低下している。今年1月個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.4%上昇と、FRBが目標とする2%に近づいた。インフレ鈍化を踏まえ、FRBは年内の利下げ開始を視野に入れるが、今月19、20日の金融政策会合では、利下げ時期を探るとみられる。

一方、日銀は3月18、19日に開く金融政策決定会合で、一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通しであることが6日にわかった。日銀が政策判断で重視する消費者物価指数は、これまで1年半以上にわたり目標としている2%を上回って推移している。今年の春闘で、昨年を上回る賃上げへの機運が高まる中、賃金と物価の好循環が実現する可能性も強まっている。政策委員の過半数(5人以上)が3月の会合でマイナス金利の解除が妥当と判断すれば、議長である植田総裁が多数意見を取りまとめて提案し可決される。解除となれば、2007年以来17年ぶりの利上げとなる。逆に、解除への賛同が少数にとどまれば、政策変更は4月以降となる。

週明け11日に公表された23年10─12月期実質国内総生産(GDP)2次速報は前期比0.1%増となり、1次速報の同0.1%減から一転プラスに転換した。年率では1次速報のマイナス0.4%からプラス0.4%に上方修正され、予想通りにリセッション(景気後退)を逃れたことも朗報だろう。24年春闘に関しては、連合がまとめた賃上げ要求や、関連する調査・統計を踏まえると23年実績を超えるとの期待が高まっている。いずれも、日銀のマイナス金利解除観測を強めるものとなろう。

CFTC建玉では2月下旬時点で、円売りポジションが13万枚まで拡大していた。3月5日には11.8万枚まで減少したが、玉整理とおう観点からはまだ不十分だろう。ファンドの円買い戻しが拡大する可能性があり、円買い圧力が継続しよう。

*CFTC建玉:3月5日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-11万8843枚(前週比+1万3862枚)。

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【ドル円今週の予想(3月4日)】
*予想レンジ:ドル円=147.00円~152.00円
*今週のドル円は、堅調な地合いながらも経済指標や要人発言に揺れる展開となろう。

米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ見通しは6月以降になるとの見方が強まっている。先週は、ボストン連銀コリンズ総裁が「年後半に緩和政策を開始することが適切になる可能性が高い」と発言した他、アトランタ連銀ボスティック総裁も「今夏にも最初の利下げが行われると予想」との発言が出た。ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁も「今年後半の利下げを検討可能」と発言し、利下げ開始は上半期ではなく下半期に行われる可能性が高いことを強調したため、利下げは6月か7月に着手されるとの予想が強まった。4日午前10時のCMEのFEDWATCHによると、金利据え置き確率は3月が95%、5月が68%となり、利下げ確率は6月が52%となっている。

今週は、5日に2月米ISM非製造業景況指数、6日に2月ADP雇用統計、1月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、7日にもパウエルFRB議長発言、8日には2月雇用統計と重要な指標やイベントがある。

経済指標やパウエル議長発言から利下げ時期を探る展開が続きそうだが、経済指標の結果が強い場合やパウエル議長の発言がタカ派的であれば、利下げ見通しはさらに7月に後ずれする可能性もある。経済指標は、2月米雇用統計が最重要視される。市場では非農業部門雇用者数は前月比+20万人弱と見込まれているが、直近2カ月連続で同+30万人超の伸びとなった後に底堅い結果が続いた場合、利下げ時期がさらに後ろ倒しされるとの見方が強まるだろう。

一方、先週は1月の本邦消費者物価指数(CPI)が上振れしたことや高田日銀審議委員のよタカ派的な発言を受けて、日銀による早期正常化期待が再燃した。日銀参与の吉川洋東京大学名誉教授も、日本経済がインフレの状態にある中で、日本銀行は金融政策を正常化すべき局面にあるとした。しかし、植田日銀総裁が2月29日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、大規模金融緩和策を修正する時期に関連し「物価目標の持続的、安定的な達成が見通せる状況には、今のところまだ至っていない」と述べたことで、金融正常化政策にややブレーキがかかったようだ。やはり、賃金動向を見極めるため、春闘を判断材料にしたいところだろう。となれば、日銀のマイナス金利解除は早くて4月会合になりそうだ。そして、仮にマイナス金利を解除しても、日銀が利上げサイクルに入ることは難しいと思われ、日米の金利差が改めて意識されて、ドル買い・円売りが続くことになりそうだ。

今週は、5日に2月東京都区部消費者物価、植田日銀総裁の発言、8日に1月消費動向調査などが発表される。

*CFTC建玉:2月27日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-13万2705枚(前週比-1万1927枚)。

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【ドル円今週の予想(2月26日)】
*予想レンジ:ドル円=147.00円~152.00円
*今週のドル円は、押し目買いが継続し、29日発表の1月米個人消費支出(PCE)価格指数の結果次第では、ドルが一段高となりそうだ。

1月の米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が強い結果だったことから、インフレ圧力が再認識され、米長期金利は4.2%台に上昇し、1ドル=150円に上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)はCPIよりもPCEをインフレ指標として重視している。PCEは直近数ヶ月は総合コア共にインフレ鈍化傾向を示していているが、原油価格が12月の底値から上昇した1月分のデータを含むのでエネルギー価格を含んだ総合PCEは高くなる可能性がある。食品とエネルギーを除いたPCEコア指数は前月比0.4%上昇の見込み。上昇率は過去2年の大半で低下してきたが、1月は昨年12月に続く2カ月連続の上昇となった事が予想される。このデータを年率換算すると、いずれも2%以上に戻ることになる。昨年12月は目標の2%を下回っていたが、この見方通りになれば、FRBによる利下げ見通しは一段と後ずれするため、ドル買い・円売りが強まろう。

また、日経平均の史上最高値更新などの世界的な株高、日銀の利上げ観測の後退なども円安圧力を強めている。円は対ドル以外でも下げ幅を拡大している。カナダドルが111円台と2007年以来17年ぶり高値を更新したほか、ポンドが190円前半、豪ドル98円半ば、ニュージーランドドル93円前半と、ともに2015年以来9年ぶり高値を付けた。ユーロも162円後半と3カ月ぶり高値圏を推移している。株高を背景にリスクオンの「円キャリートレード」が強まっていると言えよう。

ドル円は昨年11月に付けた1ドル=151円90銭を超えて、為替介入に向けた節目として意識される152円を目安に円安が進む展開が想定される。

*CFTC建玉:2月20日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-12万0778枚(前週比-9242枚)。

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【ドル円今週の予想(2月19日)】
*予想レンジ:ドル円=147.00円~152.00円
*今週のドル円は、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ見通しの後退に加え、日銀の金融緩和が長期化するとの観測のもと、押し目買いが続くだろう。米国のインフレが再び強まっている。1月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.1%と予想+2.9%を上回り、1月コアCPIも同+3.9%と予想+3.7%を大幅に上回った。1月米卸売物価指数(PPI)も前年同月比+0.9%と予想+0.6%を上回った。前月比では+0.3%と伸び率は前月-0.1%から再び加速し、昨年8月+0.6%上昇以来の高水準となった。経済指標も良好。米新規失業保険申請件数は21.2万件と予想22.0万件を下回り、2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は+5.2と予想-8.1を大きく上回った。2月ニューヨーク連銀製造業景況指数や2月NAHB住宅市場指数も市場予想を上回る結果で、粘着性のインフレに加え強い経済活動が示唆されたため、市場ではFRBによる利下げ開始は今年半ば以降になるとの観測が強まっている。アトランタ地区連銀のボスティック総裁は15日、FRBはインフレ圧力後退で大きく前進したが、リスクは依然存在し、自身はまだ利下げを求める準備ができていないとの認識を示した。インフレ高進に対する勝利宣言はまだ尚早とし、自身はまだインフレ率が2%の目標に向けて疑いなく低下しているとは言えないとした。

一方、日本経済は昨年10-12月に2四半期連続のマイナス成長となり、リセッション(景気後退)懸念が強まっている。内閣府が15日発表した実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率-0.4%と市場予想の+1.1%増を大きく下回った。しかも前期比では-0.1%減と2四半期連続のマイナス成長となった。GDPの半分以上を占める個人消費が停滞したことが背景。日本銀行は1月の物価・経済情勢の展望(展望リポート)で景気は緩やかに回復しているとし、先行きも緩やかな回復を続けるとしたが、金融政策の正常化が足踏みする可能性がある。仮に、マイナス金利を解除しても、利上げサイクルに入ることは困難だろう。先週、植田日銀総裁は「先行き、マイナス金利解除を実施したとしても緩和的な金融環境が当面続く可能性は高い」とハト派的な発言を行い、日銀の金融緩和の長期化を示唆した。

日米の金融政策の方向性の違いからドル買い・円売りが継続しよう。昨年、一昨年の高値水準である152円が近づいたことで、日銀の介入も警戒されるが、ファンダメンタルズ的に円買いが継続する可能性は低いだろう。今週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や、複数の米金融当局者の発言が相次ぐ。FOMC議事要旨で早期利下げに慎重な姿勢が明らかとなる場合や、米当局者よりタカ派的な姿勢が示されると、ドル買いが一段と強まりそうだ。

先週は、日経平均株価がバブル後の最高値を連日更新するなど、株式市場の上昇が顕著だった。1月から大幅に拡充された新NISAにより、米国市場への投資がドル円の押し上げ要因にもなっている。

*CFTC建玉:2月13日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-11万1536枚(前週比-2万7306枚)。

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【ドル円今週の予想(2月13日)】
*予想レンジ:ドル円=146.00円~151.00円
*今週のドル円は、日米の金融政策の違いと金利差の観点から押し目買いが継続しよう。

米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測は後ずれしている。先週は米連邦準備制度理事会(FRB)当局者が早期利下げに慎重な姿勢を見せた。FRBのクーグラー理事とボストン連銀のコリンズ総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、リッチモンド連銀のバーキン総裁はいずれも、約20年ぶりの高水準にある政策金利の引き下げをいつ開始する可能性があるかについて明言しなかった。リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、現時点ではかなりの不確実性が残っているとし、「到達すべきところに到達するために、忍耐強くあることを強く支持する」と語った。FRBのクグラー理事は、インフレ率が低下し続けることを「楽観」しているとしながらも、政策立案者は金利を引き下げる前に、それが事実であることをより確信する必要があるとした。一方、ボストン連銀のコリンズ総裁は、経済が自身の予想通りに推移すれば、今年のある時点で利下げに着手できるとの考えを示した。またミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、年内に2~3回の利下げを実施する公算が大きいとの見方を示した。

当局者4人のコメントは、パウエルFRB議長の過去1週間の発言にほぼ沿った内容だった。パウエル議長はインフレ率が当局の目標である2%に向かっていると当局者が確信するまで利下げを開始する準備は整わないと強調し、「3月利下げの可能性が高いとは考えていない」と発言した。9日時点のCMEフェドウオッチによると、市場が織り込む3月の利下げ確率は16%と1週間前の53%から大きく低下した。また、5月の利下げ確率は52%と低下している。

一方、日銀による金融緩和は長期化が予想される。清水日銀理事は「マイナス金利を解除しても緩和的な環境が続く」、内田日銀副総裁は「マイナス金利解除後もどんどん利上げするパスは考えにくい」「緩和的な金融環境が大きく変化することは想定されない」、植田日銀総裁は「先行き、マイナス金利解除を実施したとしても緩和的な金融環境が当面続く可能性は高い」といずれもハト派的な発言だった。

今週は13日の1月米消費者物価指数(CPI)が注目される。市場予想よりも強い結果となった場合、利下げ織り込みが一段と後退して節目の150円を超える公算が大きいだろう。逆に、市場予想通りであればドル買いは一服するかもしれない。15日の1月小売売上高も注目される。個人消費の強さが判明するとインフレ懸念からドル買いが強まろう。

*CFTC建玉:2月6日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-8万4230枚(前週比-3775枚)。

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【ドル円今週の予想(2月5日)】
*予想レンジ:ドル円=146.00円~151.00円
*今週のドル円は、押し目買いが優勢となり堅調に推移しよう。

1月31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、パウエルFRB議長は記者会見で、インフレ率が2%へ低下すると確信しているが「さらに大きな確信」が求められるとし、今後指標をさらに見極める必要があるとの見方を示した。その上で「3月までに利下げを確信する水準に達成する可能性があるとは考えていない」と発言した。昨年12月のFOMCは「ハト派」色をにじませた会合だったが、今回は「タカ派」色が濃い会合となった。これに加え、1月米雇用統計が予想以上に強い内容だったことから、3月会合での利下げの可能性は大きく後退しただろう。

2日に公表された1月雇用統計は、非農業部門就業者数が前月比35万3000人増と、市場予想(18万人増)の2倍近く増加し、労働市場の堅調さが改めて示された。インフレに影響する平均時給の伸びも加速し、市場からは「想定を吹き飛ばすような数字」との声が上がった。労働市場の過熱は賃金上昇を招き、インフレ圧力を高める可能性がある。

パウエルFRB議長は4日夜(日本時間5日午前)に放送されたCBSニュースの番組「60ミニッツ」で、金融当局として3月以降まで利下げに踏み切るのを待つ公算が大きいと語った。

一方、日本銀行は1月の金融政策決定会合の「主な意見」を公表したが、市場ではマイナス金利解除観測が一段と強まった。主な意見では「経済・物価情勢が全体として改善傾向にあることを踏まえると、マイナス金利解除を含めた政策修正の要件は満されつつある」といった声や、2%物価目標実現の確度について「具体的な経済指標を確認することで見極めていく段階に入った」など、金融政策正常化に前向きな声が多く出た。日銀が正常化に向けて動き出したものの、FRBの利下げが後ずれしたことで、ドル円は押し目買いが優勢となろう。昨年の高値を目指す可能性が出てきた。

*CFTC建玉:1月30日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-8万0455枚(前週比-9810枚)。

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【ドル円今週の予想(1月29日)】
*予想レンジ:ドル円=146.00円~151.00円
*今週のドル円は、31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けてドル買いが強まると予想する。

先週は、日銀の金融政策決定会合の結果発表と植田総裁の記者会見を受けてドル円は上下した。週後半にかけてはマイナス金利解除観測を背景とした株安や国内金利の上昇につれ、ドル円は上値が重い展開となった。

日銀は22~23日に開いた金融政策決定会合で、マイナス金利を含む大規模な金融緩和政策の現状維持を全員一致で決めた。金融政策のフォワードガイダンス(先行き指針)も変更せず、政策修正のタイミングは示唆しなかったが、2%物価安定目標の実現に対する認識を前進させた。

会合後に公表した新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価(コアCPI)の先行きについて「見通し期間終盤にかけて物価安定の目標に向けて徐々に高まっていく」とした。その上で、先行きの不確実性は高いが、「こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている」との表現を追加した。

植田総裁は会合後の会見で、物価目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況となれば、マイナス金利を含めた大規模金融緩和策の継続の是非を検討していくことになると語り、今年の春闘の動向を含め、各種データを丹念に分析し、賃金と物価の好循環が強まっていくか確認していきたいと述べた。このため、3月会合での政策変更はないだろうとの見方が強まった。「マイナス金利を解除しても極めて緩和的な環境が続く」とも発言し、週末に発表された東京都区部消費者物価コア指数が大幅に鈍化したことで、日銀による金融緩和の長期化観測が強まった。

今週30~31日に開かれるFOMCでは、政策金利は据え置かれる見込み。市場の関心は、3月会合で利下げが決定されるかどうかだが、26日時点のCMEのFEDWATCHによると3月会合で0.25%の利下げとなる確率は47%程度に低下している。昨年末には90%、年初は70%程度だった。5月会合での利下げ確率も48%強で、市場の見方は確信的ではないようだ。

そのため、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見と、議長がそこでどのようなシグナルを出すかが注目される。ただ、ウォラーFRB理事が「利下げを急ぐ必要は無い」と発言していたことから、パウエル議長が今回、3月利下げを示唆する可能性は乏しいだろう。

今週はFOMC以外にも多くの米指標が発表される。30日の求人件数と消費者信頼感指数、31日の1月ADP全米雇用報告、また四半期雇用コスト指数は消費支出の見通しがどの程度強いかの判断になる。最も重要なのは2月2日の1月雇用統計だろう。米雇用統計が市場予想を上回る場合は、米金利上昇からの米ドル買いが強まろう。

*CFTC建玉:1月23日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-7万0645枚(前週比-1万4085枚)。

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【ドル円今週の予想(1月22日)】
*予想レンジ:ドル円=145.00円~150.00円
*今週のドル円は、押し目買いが継続しよう。今週の日銀会合が現状維持の見込みで、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利が据え置かれるものの、3月の利下げについては否定すると予想される。また、新NISAに伴う外国株投資の動向が円安をサポートしよう。

今週は22、23日に日銀金融政策会合がある。昨年末には一時、日本銀行がマイナス金利を解除するタイミングは1月との見方が多かったが、元日に起きた能登半島地震の影響もあって、政策変更は4月になるとの予想が強まっている。新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)の表現や植田総裁発言の変化を市場は注視している。4月の賃上げ動向を確認したいところだろうが、大企業の賃上げが順調でも中小企業の賃上げが不十分であれば、日銀の政策変更はさらに6月に後ずれする可能性もある。

来週31日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるが、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を据え置くと予想されている。ただ、3月の利下げ見通しも後退している。FRBのウォラー理事は、インフレが再燃しなければ、金融当局は今年利下げすることが可能だとの認識を示したが、その場合でも「インフレ率は漸進的に2%へと低下しつつあることから、迅速に利下げする理由は見当たらない」とし、市場が見込む年内6回の利下げについて牽制した。シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁は、インフレ率が2%の目標に向けて低下し続けているのであれば、FRBは利下げについて考え始めるべきだが、判断の前に向こう数週間の経済指標を見極める必要があるとして早期の利下げ観測に慎重な見方を示した。アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレ率が金融当局の目標である2%に向かう軌道に乗っている証拠をより多く目にしたいとして、7-9月(第3四半期)になるまで当局が利下げを実施するとは予想していないとの見解をあらためて示した。22日のCMEのFEDWATCHによると、3月会合の金利据え置き確率は97.4%、3月の利下げ確率は48%にまで低下した。昨年は一時90%に達していたことがあった。一方、据え置き確率は50%を上回った。

こうした金利動向からドル円は押し目買いが継続しよう。また、新NISAに伴う海外株(主に米国株)への投資が円安をサポートしよう。野村総研によると今年の15日までの7営業日だけで公募投信への純流入額は6000億円に上ったという。そのうち外国株には5500億円が流れており、円安圧力になっている。新NISAにより、世界株や米国株などへの投資が増え、年2兆円規模で円売りが増えるとの見方が出ている。


*CFTC建玉:1月16日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-5万6560枚(前週比-611枚)。

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【ドル円今週の予想(1月15日)】
*予想レンジ:ドル円=142.00円~147.00円
*今週のドル円は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ見通しが強いものの、能登半島地震や新NISA効果を受けた円安要因から下値も堅く、レンジ相場で推移しよう。

市場が注目していた昨年12月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%上昇と、伸びが前月の3.1%から加速し、市場予想の3.2%上昇を上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比3.9%上昇と11月の4.0%上昇から鈍化し、基調的なインフレ圧力鈍化が続いていることを示した。インフレ率がFRBの目標である2%に向かって着実に鈍化しているとはいえず、ドル買い要因となった。

しかし、昨年12月米卸売物価指数(PPI)は前月比0.1%下落と、市場予想の0.1%上昇に反して下落した。財(モノ)の価格が下落する一方、サービスの価格は変わらずだった。11月分は前回発表の横ばいから0.1%下落に改定された。前月比での下落は3カ月連続。インフレが引き続き沈静化し、FRBが年内に利下げを開始できる可能性が示唆され、ドル売り要因となった。

週明け15日の午前10時におけるCMEのFEDWATCHによると1月31日の会合では政策金利は据え置きが見込まれているものの、3月会合では0.25%の利下げとなる確率は70%を超えている。3月会合までは雇用統計とインフレ指標がいずれも複数回発表されるため、今後のデータ次第では織り込み確率も変動するだろう。

一方、日本に関しては能登半島地震による経済への影響や中小企業の賃上げへの先行き不透明感から、日銀の早期政策修正期待が後退している。このため、行き過ぎた円高にはなりにくく、ドル円に140円は維持されそうだ。また、日経平均株価は上昇基調が続き、週明け15日もバブル崩壊後の最高値を更新し、1990年2月以来、約34年ぶりの高値水準に達した。株高を背景に円安基調はサポートされそうだ。さらに、投資上限額が拡充された新たな少額投資非課税制度(NISA)のスタートで、個人の投資意識が高まっているが、これも円安をサポートする要因になっている。新NISAにより、世界株や米国株などへの投資が増え年2兆円規模で円売りが増えるとの見方がある。

以上から、ドル円の下値は堅い一方で、FRBの利下げ観測から上値も重くなろう。


*CFTC建玉:1月9日時点のファンドの円買い・ドル売りポジションは、-5万5949枚(前週比+1246枚)。

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